「文学横浜の会」

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2022年04月07日


K『父・そしてディアスポラたち』 太田龍子

<書き込まれた感想>

遠藤さん 2022/2/25 22:48 投稿

太田さんとインテリなお父さんとの思い出がハートフルな感じで伝わって来るエッセイだと思います。
太田さんのお父さんも太田さんも慶應出身という事で、太田さんの頭の良さは、お父さん譲りなのかもしれませんね。
そんな優秀なお父さんも、太田さんが次から次へと新しいお話をせがむ為、困り果てて、苦し紛れに、星に願い(笑)を込める辺りは、微笑ましく、ユーモアのきく人柄であると思いました。

浅浅丘邦夫さん 2022/3/12 18:54 投稿

父親をこよなく尊敬し、愛してあたこと、良く伝わってきます。

森山里望さん 2022/3/14 14:59 投稿

折も折、ロシアのウクライナへの侵攻が勃発し、空爆や銃撃戦、失意の避難等々のニュース画像に胸を痛めていた最中に読みました。繰り返す権力者の愚行でウクライナの人々が21世紀の新たなディアスポラになることのないよう、決してそうならないようにと強く願いました。
「空から君のための長い長いお話が降ってくる」ユーモアあるこの言葉からは、お父様の大きさ、愛情をを感じました。太田さんがかけがえのない唯一無二の愛しい娘で、その未来が明るく開けているのだと、それはまだストーリーのない素敵な物語なんだよ、とおっしゃっているようで、なぜだか嬉しくなりました。

清水 伸子さん 2022/3/18 14:25 投稿

「ディアスポラ」という言葉とその意味をこの作品で初めて知りました。やはり私も今、ウクライナの方々のことが胸をよぎります。短い作品ですが、お父様の人物像がくっきり浮かび上がると共に、太田さんのお父様への思慕が静かに伝わってきました。

中谷和義さん 22/3/21 13:21 投稿

父親が大好きなんだなと、よく伝わってくる。私にも娘がいるが、とてもこんなふうには思ってくれないだろうと反省させられた。

石野夏実さん 2022/3/26 16:32 投稿

お祖父様の仕事の関係で、大正12年に香港で生まれ旧制中学入学までかの地で育ったお父様の生涯を書かれていました。観光で自由に行ける香港ではあったのに、一度も行こうとしなかったのはディアスポラ(故国喪失者)であったのかもしれないと。
当初、ディアスポラとはユダヤ人に対して使われた言葉であったが、戦後ナチスの関係者が南米へ逃避し隠れ住む時も使われた。今では香港からイギリスへ、アフガニスタンからは新政権タリバンから逃れるため現地人がアメリカや日本へ保護を求めていると書かれている。いずれも政変による糾弾を恐れてのことであり世界中でディアスポラは生まれていると。まさに今、日々ウクライナから大量のディアスポラが。ロシアからも。
「お話して」とせがむと「ほら吹き男爵」とか「ガルガンチュア物語」←知りませんでしたがwikiを読みました〜をめちゃくちゃ改ざんした面白くて全く教育的でない物語を聞かせてくれた=以下のふたりの会話がとても愉快で印象的で、太田さんはお父様がすごく好きだったんだなと思いました。「だましにかかる詐欺師野郎に弱い」では、噴き出してしまいました!

成合武光さん 2022/3/28 11:44 投稿

ディアスポラとは、故国喪失者のこと。「女三界に家無し」と同じような意味であり、父もそうだったとのこと。それで卑屈になったり、悲しむというのではなく、「世論へのへそ曲がり」からもそうしたのだとある。防衛大学の教授になり、当時の自衛官への罵声に逆らった、と。誠に当時の自衛官への罵声を知る者には、胸の打たれる話です。昨今たくさんの働きに感謝の念が高まってきている。それには、誰しも頷かれるのではないでしょうか。とはいっても戦争で亡くなる人がいないことを願っています。

林 明子さん 2022/3/28 23:47 投稿

ドイツ人少年の会話には驚きました。
もしかしたらその少年だけではなく、少年のように同じ考えを抱いていながらナチスに属することしか許されない人々がいたのではないかと思いました。
また、ディアスポラと難民とは何が違うのか、いい機会をいただいたので調べてみました。
「難民とディアスポラの違いは、前者が元の居住地に帰還する可能性を含んでいるのに対し、後者は離散先での永住と定着を示唆している点にある。」(Wikipediaより引用)
作中の「ディアスポラは今日も世界中で……」とあるように、難民であれディアスポラであれ、時代が変わっても人々の悲しい移動はまだなくならない事実にやりきれない思いがします。

金田清志さん 2022/3/29 06:52 投稿

ディアスポラの意味を改めて知った思いですが、このエッセーでは父親の存在が大きく、
性格形成上でも影響も受けたように書かれています。がそれは恐らく誰しも同じで、命を繋ぐとはただ肉体だけではないのでしょう。

山口愛理さん 2022/4/1 14:14 投稿

異色の体験をもつ父との思い出が、淡々としかし重みのある筆致で描かれている。ここに記されたディアスポラの後で、現在ウクライナ戦争が行われており、多くの犠牲者や故国喪失者が出ていることを考えると悪い意味での諸行無常を感じざるを得ない。
それにしても最後のお話に関する下りなど、映画のワンシーンのようで、とても素敵なお父さんだと思う。

佐藤直文さん 2022/4/2 19:40 投稿

この言葉を知りませんでした。香港、ウクライナ、中東、デイアスポラたちが生まれない世界は来るのでしょうか。筆者の父もその一人だったかもとの思いは驚き。スケールが大きい。知的で品のある随筆です。面白く読みました。

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