「文学横浜の会」

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2000年11月


 「プロ野球」

 今年の日本シリーズも終わった。巨人がシリーズを制して、巨人ファン、長島ファンには目出たし目出たし。 私のように野球ファンでない(ファンではなくなった)者にも、ダイエーの優勝セールが無くなって、 何処のデパートで優勝セールをするのかと(便乗でもかまわない)、そちらの方に興味がある程度だ。

 私が野球を見なくなった理由、積極的に野球番組を見なくなったのは試合内容そのものより、 現在のプロ野球にある。つまり多くの人が言うように、 今の制度は一部の金持ち球団に有利なようになっている。 或いは一部の球団が圧倒的な影響力を持っているからだ。

 優秀な選手を多く集めれば、そのチームは強くなる。 当たり前の事だが、それが易々と実行されているのがどうにも腹立たしいのだ。 以前は私もそのチームを応援したこともあったが、今は見向きもしない。たまにテレビ番組を観て、 負けていればそのまま観ることもあるが。

 どうして人気があるのか、マスコミ(特にテレビ)にも大いに原因があると思う。 シーズンになると、一部のローカル局を除いて、そのチームの試合しか放送しない。 そのチームが全国区だと豪語するのも、なるる程と思う。 つまり放送局がそのチームの宣伝に手を貸している訳だ。

 チームの関連企業の放送局ならまだしも、全ての局がそうだ。 どの局も、スポーツキャスターや司会者までもが熱烈なファンで、そうした事を全面に出す出演者もいる。 結局、人気があるから、つまり多くの支持・共感を得る為なのだろうが、純粋に野球を愛する者には苦々しい事だろう。

 そうでなくとも野球をする人口は確実に減少している。 都市部では気軽にキャッチボールが出来る空間はないし、 あってもキャッチボール禁止の公園は多い。気のせいか、車内で見掛ける少年もサッカー少年の方が圧倒的に多い。

 私も最近はサッカーを多く観る。世界の中での日本の実力もだいたい判るし、 何より野球における「巨人」のような圧倒的に発言権の強いチームが無いのがいい。 それに選手の移動も日本国内はもとより、世界がテリトリーだから純粋にサッカーを楽しむ事ができる。

 野球を面白くする為には、プロ野球全体に影響力をもつような特定の球団を作らない事だ。 それには放送局も応援する球団をセ・パ両リーグにそれぞれ1チームづつにしたらどうだろう。 ある放送局はその球団の試合しか放送しない。 ある放送局では長島をベタ誉めする人が出て、他の放送局ではそういう人は出さない。 どの局も特定の球団だけを放送するのでは、プロ野球の先は真っ暗のような気がする。

(KK)


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