「文学横浜の会」

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2002年2月2日


 「官僚の体質」

 田中外務大臣の更迭に至る過程を、報道機関からの情報を基に、日本の官僚について考えた。  私の見聞きした範囲での感想だが、そう的外れではないと思う。

 まず日本の官僚(国家公務員のT種?を合格したエリート集団)はよく働く。 霞ヶ関の官庁街は夜遅くまで電気の消える事はない。国家を動かしているという気概を持って働いているし、 それだけの権限を持って何十億、何百億の国家予算を動かしているから、 働く意欲はそこいらのサラリーマンとは桁違いだ。十二時過ぎの帰宅も珍しい事ではない。

彼らはだいたい2年で職場を移動する。同じ職種に長くいると業者との馴れ合い等、弊害が生じるからだ。 それに多くの職種を経験する意味もある。 何年かすると班長になり、必ず課長になれる。そして審議官、局長にまでなれるのは一部で、 同期でも事務次官を出せるとは限らない。その間の色々な役職は詳しく知らない。 事務次官にまでなれれば、後は優雅な天下り人生が待っている。

同期の誰かがが本省の局長になると、局長になれなかった同期は退任すると聞く。 どうしてそう言う事になったのか知らないが、それが慣習だそうだ。 そして政府関連機関へ天下りする。肩叩きの一種なのだが、民間と違う事は役所が一生次の職場の面倒を見る点だろう。 つまりそれだけ天下り先が必要な訳だ。

 官僚がよく働くと先に言ったが、確かに働くのだが疑問に思う。 その働く内容なのだ。絶えず職場を変わると言ったが、よけいな仕事をしていないか? 聞くところによると、人が変わる度に方針が変わり、やり方まで変えられてしまう事もあると言う。 彼らはほどよく頭がいいから、自分の意見を言いたがる。 権力を持っているから下から見れば仕事が増えるだけだ。無駄だと思わないか?

何か問題が発生すると団結する。一生面倒をみてくれるのだから団結力も強い。 黒を白とするための資料は例え徹夜してでも作りあげる。 絶対に間違いはあってはならないし汚点を残してはいけないのだ。 その為の打合せや辻褄あわせの資料作りもする。 今回の外務省のNGO問題でも、どんな打合せや資料作りが行われたか…? これも無駄な仕事だ。

 民間の無駄使いは会社を破産させるが、官の無駄使いは国を滅ぼす。 これも構造改革の一部だと思いたい。 この際、役所の退庁時間を決めたらどうか。 時間内に出来ない仕事はしない。変な資料作りはさせない。 間違いは間違いとして認め、次に繋がる糧とするような制度を設ける。

仕事に追われて余裕のない人間に、どうして国家の予算を預けられ、 国の有り様を考えられるのか。

(KK)


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