「文学横浜の会」

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2002年4月3日


 「八分の七法案」

 どうしてこんなに、不快な事ばかり続くのだろう。 例年より早い四月の陽気にも、うきうきした気分とは程遠い気持なのは僕だけじゃないと思う。 政界のスキャンダルにはもう食傷気味だが、この景気の悪さにはうんざりする。

政令都市の横浜で、37歳の新人市長が誕生したとのニュースを聴いて、 少なくとも都市部での政党離れは本物だな。それとは直接関係ないけど、 戦後培ってきた諸々の価値観を、冷静に見詰め直し、考え直す必要があるんじゃないかなぁ。 しかもそれは急務なんだ。 景気の悪さも、そうした事と関係していると思うよ。

つまり、急速に高齢化していく将来に、多くの人が不安を抱えて、消費を控えているんだよ。 また、情報化の進展と共に、市場のグローバル化が急速に進んで、中国などから安い品物が入ってくる。 これらが不景気の原因になっているのは明らかなんだ。

前者は日本だけの現象だが、後者はどんな先進国も一度は通らなければならない問題だし、 加えて、不良債権の処理問題が依然尾を引いているんだよね。 いわば、日本は今、三重苦に喘いでいるんだなぁ。

 とここまで書いて、この先は専門家に任せるとして、何か面白い事はないかと思う。

どうせ八方塞がりなら、笑いながら乗り切れたらいいと思うんだ。 こんな事を言うと、不況に喘いでいる人にはそんな悠長な事は言っていられない、と言われるだろうな。 この不況を、政府は早くなんとかしろ、なんて言うだろう。ごもっとも、ごもっとも。

でもねぇ、価値観を大胆に変えるいい機会だと思うんだけど…。 何も地価の高い都心に住む必要はないじゃない。 自分で食べる物は自分で作れば、何もお金なんて必要ないじゃない。 幸い、人口が急激に少なくなるから、益々地方は過疎化が進み、耕せる土地は幾らでもあると思うんだ。 豊かさとは、何もお金を沢山持っている事とは繋がらないと思うんだけどなぁ。 と、お金のない僕が呟いても誰も聞いてくれないか。

うん、少子化が進むのも、将来的には決して悪い事ではないな。 自給自足が基本なら、何も都心に集まる必要は無いから、人口の分散化も進み、地方の活性化にも繋がるよ。 人口が三千万ぐらいになれば、都心でも今の十倍の敷地で暮らすのも、そう難しくはないかも知れない。 土地神話も過去の事となり、昔はそんな事もあったと、そんな時代になるかも知れないね。

 こう考えると少子化もそんなに悪い事ばかりじゃないんだけど、急に、だからいけないないらしいんだ。 何事も激変するのは良くないと言うけど、歴史を振り返れば「明治維新」や「第二次大戦後」の社会変化は、 まさに「激変」だったんじゃないかなぁ。所謂、痛みを被った人達もいるよ、きっと。

で少子化が、どうしても変えられない趨勢なら、「八分の七法案」でも出したらどうだろう。 つまり、年齢を生存年月と切り離して、八分の七を掛けた値を年齢とする法案なんだ。 昔は人生五十年と言ったけど、今は人生八十年の時代じゃない。「八分の五法案」でもいいけど、 まずは「八分の七法案」を公布すればいい。

 僕もまだまだ若いぞぉー。
 でも、まだ働かなければいけないと思うと、元気が無くなっちゃうよ。
 僕のような怠け者には、この法案は良くない。

(KK)


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