「文学横浜の会」

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2002年12月5日


「不況、まだ続くの〜」

 不況だぁー、不況だぁ〜、と言っても、もう鈍感になってしまった。 それだけ不況慣れしてしまっているのだが、明るい先が見えないのはなんとも憂鬱だ。 こんなに長く不況が続いているのに、物は溢れているし、師走ともなると繁華街は賑やかだ。 失業率が高いと言っても、コクミンはなんとなく生活が出来ちゃっている。 その日暮らしで困っている人もいるんだろうけど、ぼくの知っている昔の不況と比べたら、 こんなの不況の内に入らない、と昔の人は言うだろうね。

 ぼくの知らない時代の事だけど、「勝つまでは、我慢しよう〜」 「贅沢は敵だ!」なんて言う標語まで創って、戦争をしていた時代もあったそうじゃない。 その前は、昭和の大不況で、農村では娘を泣く泣く売らなければならなくなった、と言う話もあったし…。 そのもう少し前には「からゆきさん」と言って、主に東南アジアにだけど、 女の人が出稼ぎに行ったんだって。それも身を売って。

出稼ぎと言えば、円が1ドル360円の時代、日本から海外に働きに出た人もいたよね。 特定の人を除いて、海外に出るのが難しい時代がずっと続いていたんだ。 兎に角、この30年ぐらいだろうね、生活感覚がぐっと変わったのは。 昔の人が今ここに急に出てきたら、「うゎぁー、なんと良い時代なんじゃ。おれもこんな時代に生きたかった」 なんて言うかも知れないよ。きっと。

 そうは言っても不況で、世の中がなんとなく暗いのは確かなわけで、これを不況と言わずになんと言う。 それで政治家の先生方がオロオロと努力しているらしいんだけど、これがなかなか難しい。 原因は色々あって…、とてもぼくに書けるような事じゃない。

 不況の原因の一つに、物価が安くなった、と言うのがあるんだそうだ。つまり中国などの外国から 安い物が入って来て、それで物価が安くなる。ただ安くなればいい、って言うもんでもないらしい。 それだけ自分の労働の価値が安くなるんだからね。 これまでの概念では、物価が安くなると言うのは、機械の導入等による生産性の向上によってもたらされたのに。

そう言うことなら、安売り店で物を買うのは”罪悪”なのかも知れないね。 これからは絶対に100円ショップなんかでは買わないぞ!  でも、ぼくは行っちゃうだろうな。ビンボー人だから。

 この不況は、何時まで続くか解らないほど複雑で混沌としているけど、今すぐ不況を脱するとは考えられない。 それなら、不況だ、不況だ、と言わないで過ごした方がいいんじゃないか。 今の生活が普通で、昔と比べたらとっても幸せな世の中なんだ。そう思う事にするのさ。

今は購買力はそれ程じゃないのに、相変わらず、ゴミはすごく多いし、 不法投棄も後を絶たない、と言うじゃない。 ちょっと前までは「使い捨て」だとか言って、じゃんじゃん棄てていた時代もあったけど、 もうそんな時代じゃないんだ。 今月からは構造基準が強化されて、適合しない焼却炉の使用が禁止される。

何時だったか、ゴミの山を見て「これは宝の山だ」なんて言った人がいたけど、 ほんと、宝の山に変える技術なり方法なりを作り出した人がいたら、きっとノーベル賞物だと思うよ。 人類に貢献する、と言う意味ではすっごい貢献だと思うなぁ。

大量消費に慣れた人類に、昔のような生活に戻れ、なんて言うのは無理だから、 きっとこれからも大量消費が続く。 それに、消費が途絶えると不況になってしまう社会構造になっているんだ。

 そう言う意味でも、ゴミを資源化する技術ができたら、人類にとってはすばらしい貢献だと思う。

 閑話休題

 今年も、もうひと月なくなった。全く、月日の経つのは「光陰矢のごとし」だ。 先人の言葉にもあるくらいだから、この感覚だけは何時の時代も変らないらしい。 今ほど時代変化(社会変化と言ってもいい)はめまぐるしい時代はない、とぼくらは思っているけど、 きっとどんな時代でも同じ感覚なんだろうね。 

 明治維新、戦後改革と二つの大きな改革をやり遂げた日本だけど、 今の状況は改革前の混沌なのだろうか?  最近のセイジ状況を見ると、ずっと続いている自民党政治も、中では与野党に別れてゴタゴタしているし、 最大野党の民主党も、党首がこけて、混乱状態が続いている。 与野党の正常な政権交代が出来なかったつけが、今になって出てきたとしか思えない混乱ぶりだ。

ここは一つ、明治維新、戦後改革の前例に習って、旧来勢力にはお引き取り願って、 3・40代の若い世代に全てを任せてはどうだろう。

でも駄目だろうな。もっともっと決定的に悪くならなければ、真の改革なんて出来ないのかも。 政治の混乱は、要するに国民自身の問題なんだ。国民が選んでいるんだから。

<K.K>


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