「文学横浜の会」

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2003年1月5日


「若者よ怒れ!」

 去年の1月には何を書いたのかなと、 1年前のものを読んでみると「デフレ不況」の事を書いている。 今年も状況は全く同じで、益々ひどくなっているのが実感だ。 将来の希望が見えないのも同じで、この1年、日本の政治家は一体何をしていた、 と言いたくなるのはぼくだけじゃないだろう。

この閉塞感はしばらく続くらしい。 もうバブル時のような事は起らないし、相変わらず世の中の仕組みは変りそうもない。 当分この状態が続くようだ。それなら今の状況を受け止めて、これが当り前とした方がいい。 つまり今は不況じゃないんだよ。 皆が不況だ不況だと言うから暗くなるんで、これからは不況とは言わないようにしよう。

 年末、それも暮れも押し迫ったある日、横須賀の米軍基地の近くを通りかかったら、 何やら懐かしい音が聞こえて、好奇心の強いぼくは音のする通りへ行ってみた。 ぴっぴー、ぴっぴー、と笛の音と共に道路に繰り出したデモの一団だった。 懐かしいね、と思うと同時に、なんと少人数のデモなんだ、とぼくは思った。

それでもヘルメットを被って、手拭で覆面をした集団だから、その周りは機動隊に囲まれていた。 昔のデモを知っているぼくからみると、なんともみすぼらしい。 周りを囲む機動隊の数の方が圧倒的に多いじゃない。 ヘルメットになんと書いてあったか見なかったけど、 チュウカク派とかカクマル派とかの生き残りだろう。まだそう言う人達がいたんだ。 そんな事を言っても、今の学生には珍紛漢紛だろうね。

この頃は街頭宣伝車と言えば、右翼の車しか余り見掛けないけど、 ぼくらが若かった頃は街頭に繰り出して大いにデモったものだ。 最も、ぼくは貧乏学生だったから、アルバイトに明け暮れていたけどね。 この頃の学生は一体どうしているんだろう、全く。

その頃と比べても、就職事情は格段に良くないし、 国の借金は何百兆円にもなって、結局は今の若い世代が返す事になるんだよ。 若い人が怒りの声を挙げてもよさそうなものだ、とぼくは思うんだ。

ぼくが若かったら、真っ先にゲバ棒を持ってデモに参加するぜ。 年令構成に合った社会構造に変えろ! 若者が希望の持てる社会を作れ!  若者に働く場を提供しろ! と。
こんな事を書くとぼくもいっぱしのアジテータになったような気分になるなぁ。

その頃の言葉で、「まず、破壊せよ」と言う言葉が流行ったように思うけど、 まさに今言うべきではないだろうか。 旧来の秩序や慣習を破るには、何より若者のエネルギーが必要なんだ。 時にそれは破天荒にも思われるけど…。

 でも、今の若者は動かないだろうな。 昔と比べると不況とは言え楽しみは一杯あるし、不満の捌け口も一杯あるから。 それに親のすねがあるから当分食べていけるからね。 デモなんてちゃんちゃらおかしいし、かったるいと思うだろうね。 でも、何時までも続くと思うなよ。そのお父さんだって居場所の無くなる時代なんだぜ。

こんな状態がいつまで続くんだろう。 もしかしたら今はマグマが少しづつ溜まっているのかも知れないな。 そして何時か爆発する日が来るのかも……。

〔閑話休題〕

 やっぱり箱根駅伝は駒沢大が強かった。2区のエース同士の戦いには感動した。
 アメリカは本当にイラクを攻撃するんだろうか。
 北朝鮮問題はこれから一体どうなるんだろう。
 何時の時代でもそうだが、世論が雪崩をうったように同じ方向に傾いている時は、要注意だね。
 今年は、一体どんな年になるんだろう。

<K.K>


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