「文学横浜の会」

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2003年12月7日


「ちゃらんぽらんの奨め」

 今年は雨が多い。秋から冬にかけて、そんな感じを持っている。これも地球温暖化と関係あるんだろうか?

 11月には総選挙があって、何かが変るかと思って、密かに何かを期待したが、終わってみれば何も変らない。 そんなに期待した訳ではないけど、何時も何かが変るような気がするのは僕だけなんだろうか。 終わってみれば2大政党化が進み、つまり自民党と民主党の比重が大きくなった。小選挙区制での選挙だから当然そうなるよね。

これからの日本は少子高齢化が進み、憲法問題と共に、問題が山積しているようだけど、 我々が日々過す上ではそんな事を意識しながら生活している訳ではない。 日々楽しく幸せに生活できればいい訳だけど、よくよく考えてみると、実生活では色々なくだらない事々が不快感の原因だったり、 不幸せの原因だったりする。僕みたいなちゃらんぽらんで鈍感な人間でも、時に不快感を持つ事だってある。

ちゃらんぽらんで鈍感な事そのものが、他人に不快感を与えている事だってある。 そう言う事を含めて、それが生きていると言うことなんだね、きっと。

 でもちゃらんぽらんと厳格なのと、どっちがいいかと考えてみた。と言うのはアルカイダとか、保守キリスト教とか、 つまり本来人を幸せに導くための宗教が、余りに厳格にその教義を守ろうと、結果的に他人に害を与えると言う事があるからだ。

信念を持った人間は、見ていて気持がよく頼もしく思う事もあるが、時にははた迷惑と感じる時だってある。 ジハードとか十字軍とか、一方からみれば正義で、他方からみれば悪、なんともやっかいだ。 「そんなに熱くなるなよ」と言いたくなるが、そんな事を言ったらきっと両方から「神を冒涜している」なんて言われかねない。

ちゃらんぽらん同士では、他人に迷惑を掛ける事はあっても、絶対殺し合いをしたりはしない。 だから僕はちゃらんぽらんがいいと思うんだ。そんな事を言ったら、両方から「無神論者」と言われるかも知れないけど、 そうじゃない。神というか、そう言う絶対的な人間の力では及ばぬ絶対的なものの存在を認めたとしても、 それが一つだけとは思わない。そこが違うのかも知れない。

 今中東で生じている混乱は、宗教が絡んでいるから大変だ。それに何やら石油と言う利害が絡んでいるから余計複雑にしている。 そんな処に、宗教にはまるでウブな日本が行って、どうなるの? そんな事は承知で只只アメリカに加担するためなのか……。

僕はこの際、日本は今まで通り、ちゃらんぽらんでいいと思うよ。何も「毅然とテロと戦う」などと恰好つける必要はないと思う。 毅然とした姿はみていて気持がいいけど、後々振り返るととんでもない事だって往々にしてある。 僕が生まれる前の日本でも、「聖戦完遂」「勝つまでは戦い貫くぞ!」等と勇ましい標語を掲げていた時期もあった。 そんな時代でなくて良かったと思うと同時に、自分が恰好悪いからかも知れないけど、耳障りが良くて恰好いい物言いに、 僕は嫌悪感を持つんだ。

本当に必要な援助は、その国の国民自身が自らの力で自国を立て直す為の手助けをする事で、何が必要かを共に考える事だと思う。 不足している物や人材が必要なら、それから出せばいい。何より統治権をいち早くその国に戻す算段をすべきだ。

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 今年も早いものでもう一月なくなった。このページを試験的に立ち上げたのが99年12月だから、もう4年経った。 その頃から不況は続いていて、日本はまだ不況の中にある。そして先が見えない事は同じだ。 政治が悪い政治が悪い、と言ってはいられない状況だ。その政治家を選んでいるのは、曲がりなりにも国民なんだから。

世界をみれば、今年も昨年アメリカで起こった「9・11テロ事件」を引きずってきた。 日本もそれに引きずられて「右往左往している」と言う感じだね。 何世紀にも亘る「ユダヤとイスラムの戦い」のようにならなければいいが……。

<K.K>


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