「文学横浜の会」

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2004年5月3日


「イラク戦争終結宣言から1年」

 ゴールデンウィーク。今年は7連休、9連休の会社もあると言う。 しかしサービス業等はゴールデンウィークなど、単に忙しい時季にしか過ぎない。

以前は家にじっとして居られなくて、この時季にはよく出掛けたものだが、 出掛けなくなってもう何年にもなる。 家にじっとして居られなかった頃は、休みになると身体がそわそわしてきて、 頭の中に日本地図が浮かび、あそこにはまだ行ってないなと思い、 そうなるともう出掛けるしかなかった。その日に思い立って出掛けた事もある。

ずっと以前は国鉄(その当時)の周遊券だったし、二十代の後半からはバイクを駆使しての旅行だった。

しかし何年も出掛けないでいると、そうした思いも薄らいで、何がなんでも出掛けたい、 と言う気持ちはなくなった。好奇心がなくなった訳ではない。 ただ人出の多い場所には行きたくなくなっただけだ。好奇心はまだまだある、と思っている。

 さて、去年のこの欄(5月)で、確かアメリカのイラク戦争終結宣言を書いた。 一年経って、戦争はまだ続いていて、アメリカ兵の戦死者の数は去年を上回っていると言う。 それに日本の自衛隊が、非戦闘地域への人道支援を名目に、戦後初めて派遣されている。 まあ何処の国も「人道支援」や「治安の回復」を名目に軍隊を派遣するのだが、 派遣される国では、全ての国民がそうは思わない。 国民性や歴史的な背景、それに宗教がからんで、寧ろ敵対する勢力もいる。

一度軍隊を出すと、撤退する時期も的確に捉えなければならない。 早すぎてもまずいし、遅いと、それも何かと憶測を呼ぶ。

 さてさて、イラクでの日本人人質事件が大きく取り上げられた。 人質になった方が「イラクへの自衛隊派遣に反対だった」との報道から、 何やらおかしな厭な雰囲気なったように思う。 「自衛隊の派遣に反対するのは国賊だ」と言う議員が出たり、 自己責任論が浮上して「救出に要した費用を請求しろ」というような事を言う議員までいた。 なんともみみっちい話だ。

どんな状況であっても、国民の生命財産を守る、それが国家というものだ。 それを放棄して、どうして国といえる。与党の政策に反対意見だから守る必要はない、 と言うのであれば見識を疑わざるを得ない。 もともとイラクへの自衛隊派遣に、国論は二分されていたのだ。 事情は異なるが、北朝鮮に拉致された日本人を救出するために、 政府はあらゆる努力をしているではないか。

 先の大戦についての総括が未だ行われていない日本で、 自衛隊のイラク派遣を総括するのは無理だろうか。 しかし戦後初めての自衛隊海外派遣である。ここはしっかりと総括しておく必要がある。 自衛隊派遣に要した費用、派遣先での自衛隊は何をなしえたかを明確にしたい。 そうした総括をしてこそ、真の意味での「世界の中で日本がなし得る貢献」に繋がる。 そのためにも情報開示は不可欠だ。大本営発表の情報だけなんて、もうそんな時代じゃない。

アメリカでは「イラクへの戦闘行為が正当だったか」についての議論がなされている。 何事も白黒はっきりさせ、攻撃する事をいとわないアメリカは嫌いだが、 国の政策を振り返って、情報を公開し、どんな反対の意見も抹殺しない良さも持っている。 アメリカが好きな理由の一つだ。 それができるのも政権がある政党に独占されていないからだと思う。 日本のように、政党間での政権移譲があまりない国では、真の情報公開は無理なのだろうか。

自衛隊のイラク派遣が、対アメリカ政策だけだった、なんて言うんじゃないだろうね。 それならそれで、変な理由付けをせず、そう表明すればいい。

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 年金問題が色々言われている。
 昔は考えもしなかったけど、我々の年金はどうなるんだろう。

色々な年金があるんだね。議員年金もあるなんて知らなかった。 それも掛け金よりずっと多い年金が貰えるなんて……。 無論、税金で補填するんだ。

それに年金制度そのものも複雑なんだそうだ。 国民年金を支払わなかった未納議員が新聞に載っていたけど、 全部の議員を調べれば、もっといるんじゃない。 第一、働いてもいない学生でも、国民年金に加入し支払わなければいけない制度なんて良くない。 三人の未払い閣僚を「未納三兄弟」と攻撃していた野党の党首も、 結局未納期間があったと言うじゃない。これは笑い事では済まされない。 そんな複雑な制度は改めて、もっとすっきりさせてほしい。

そんな中で、将来の支払い増となる年金法案が成立しそうな雰囲気だ。

<K.K>


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