「文学横浜の会」

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2004年12月5日


「平均印刷部数」

小説現代  39,416
小説新潮  35,518
小説すばる 24,000
新潮    12,542
文学界   12,525
群像     8,458
すばる    8,166

日本雑誌協会が「マガジンデータ2004」で公開した、 最近1年間の実際の印刷部数に基づく平均発行部数だそうである。 これまで自己申告の発行部数でしかわからなかった発行部数が、少なくとも印刷部数として明らかになった。 ここに挙げたのは、所謂、文芸誌とよばれる雑誌である。

この数字をみて、みなさんはどう思いますか? 
一冊の値段を仮に千円として、1万冊売れて、 売り上げは1、000万円。一番発行部数の多い「小説現代」で3,941万円、 一番発行部数の少ない「すばる」で816万円、の売り上げという事になる。 その売り上げから販売マージン・取り次ぎマージンを指し引いて、執筆料を支払い、社員の給料を支払い、 事務所の諸経費を賄わなければいけない。 無論、広告収入もあるだろうから、発行される雑誌からの収入はそんなに単純ではないが、如何にも厳しい。 しかも発行した雑誌が総て売れる筈はないのだから、実体はもっと惨めなのかも知れない。

小説現代や小説新潮は兎も角、新潮・文学界・群像・すばる、といった文芸誌を出すことは出版社にとって、 きっと「それ以外の何かを期待して」の出版に違いない。何を狙って出版しているのかは知らないが、 出版利益はあてにしていない事だけは確かだろう。 こういう数字が出ると、きっと広告を出すのを躊躇う企業も出てくるかもしれない。 海嚥や文藝といった月刊雑誌は消えたが、赤字覚悟で何時まで出版し続けられるか、他人事ながら気になる。

 昔の発行部数は知らないが、発行日がくれば普通の本屋さんに行けば、そういう雑誌も置いてあった。 それが見られなくなって久しい。こんな発行部数では、普通の本屋さんに行っても置いてないだろうなと思う。 いや、今は普通の本屋さんが町の中から消えてしまった。

かく言う僕も、昔は文芸誌を購入していた時期もあったが、今はとんと買わない。 買わない理由は「お金を出して買って読むような内容じゃない」と勝手に思い込んだからだ。 中には1作2作、いい作品があっても、つまらない作品の方が圧倒的に多い。 売れなくなったのも当然だ。

 こう書いていくと「文学」の行く末が気になるが、そんなに悲観的になる必要はない。 衰退しているのは「文学」ではなく、「文学」を供給する企業・産業だろう。

以前は通勤時に車内で見掛ける光景と言えば、新聞や本(文庫本)を読んでいる光景だった。 しかし今は携帯電話の画面を見つめている人の方が多くなった。 中にはゲームに興じている人もいるだろうが、何かを読んでいる人もいる。 つまり、携帯電話が移動端末になったのだ。無論、活字も(本も)読める。
いやはや、何かが大きく、変化しているなと思う。

ちなみに他の雑誌の印刷部数は、
論壇誌;現代    99、375
    正論    94、371
    諸君!   83、375
    中央公論  43、166
    論座    20、250
(11月18日、朝日新聞朝刊より)

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 今年もあと一月、町にはクリスマスの飾り付け見えるようになり、ジングルベルが聞こえるようにもなった。 気が早いと思いつつも、毎年そんな風に12月は始まる。 今年は「オレオレ詐欺」という言葉が新聞紙上を賑わし、詐欺の仕組みも段々複雑になってきていると言う。 携帯電話や自宅のパソコンには怪しげな電子メールが勝手に届き、 取り締まりができないものかと忸怩たる思いもするが、 捜査も時代に追いつけないのだろう。

携帯を使った犯罪も急増している。 インターネットで自殺志願者を募って、自殺に及ぶ記事を目にするようにもなった。なんともやりきれない。

快適なインターネットの利便性を得られるようになるには、まだまだ時間がかかるのかも知れない。 そうなら、我々自身が自ら心がけ、自分を守らなければいけない。
肝に銘じよう。

<K.K>


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