「文学横浜の会」
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2004年12月5日
「平均印刷部数」
小説現代 39,416
日本雑誌協会が「マガジンデータ2004」で公開した、
最近1年間の実際の印刷部数に基づく平均発行部数だそうである。
これまで自己申告の発行部数でしかわからなかった発行部数が、少なくとも印刷部数として明らかになった。
ここに挙げたのは、所謂、文芸誌とよばれる雑誌である。
この数字をみて、みなさんはどう思いますか?
小説現代や小説新潮は兎も角、新潮・文学界・群像・すばる、といった文芸誌を出すことは出版社にとって、
きっと「それ以外の何かを期待して」の出版に違いない。何を狙って出版しているのかは知らないが、
出版利益はあてにしていない事だけは確かだろう。
こういう数字が出ると、きっと広告を出すのを躊躇う企業も出てくるかもしれない。
海嚥や文藝といった月刊雑誌は消えたが、赤字覚悟で何時まで出版し続けられるか、他人事ながら気になる。
昔の発行部数は知らないが、発行日がくれば普通の本屋さんに行けば、そういう雑誌も置いてあった。
それが見られなくなって久しい。こんな発行部数では、普通の本屋さんに行っても置いてないだろうなと思う。
いや、今は普通の本屋さんが町の中から消えてしまった。
かく言う僕も、昔は文芸誌を購入していた時期もあったが、今はとんと買わない。
買わない理由は「お金を出して買って読むような内容じゃない」と勝手に思い込んだからだ。
中には1作2作、いい作品があっても、つまらない作品の方が圧倒的に多い。
売れなくなったのも当然だ。
こう書いていくと「文学」の行く末が気になるが、そんなに悲観的になる必要はない。
衰退しているのは「文学」ではなく、「文学」を供給する企業・産業だろう。
以前は通勤時に車内で見掛ける光景と言えば、新聞や本(文庫本)を読んでいる光景だった。
しかし今は携帯電話の画面を見つめている人の方が多くなった。
中にはゲームに興じている人もいるだろうが、何かを読んでいる人もいる。
つまり、携帯電話が移動端末になったのだ。無論、活字も(本も)読める。
ちなみに他の雑誌の印刷部数は、
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今年もあと一月、町にはクリスマスの飾り付け見えるようになり、ジングルベルが聞こえるようにもなった。
気が早いと思いつつも、毎年そんな風に12月は始まる。
今年は「オレオレ詐欺」という言葉が新聞紙上を賑わし、詐欺の仕組みも段々複雑になってきていると言う。
携帯電話や自宅のパソコンには怪しげな電子メールが勝手に届き、
取り締まりができないものかと忸怩たる思いもするが、
捜査も時代に追いつけないのだろう。
携帯を使った犯罪も急増している。
インターネットで自殺志願者を募って、自殺に及ぶ記事を目にするようにもなった。なんともやりきれない。
快適なインターネットの利便性を得られるようになるには、まだまだ時間がかかるのかも知れない。
そうなら、我々自身が自ら心がけ、自分を守らなければいけない。 <K.K>
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