「文学横浜の会」

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2006年 5月 7日


「5月、雑感」

 サイボーグ技術が進んでいる。
 所謂、人間の臓器を人工物に置き換える技術で、究極、人造人間だ。 心臓にしろ血管にしろ、およそ人間の臓器を人工物に置き換えるのは、夢のことだと思っていたが、 近年急速に進歩しているらしい。らしいというのはぼくはその分野は全くの素人で、 聴いてはいても実際に目にしたことがないからだ。でも技術は確実にすすんでいる。

ぼくの周りにいる人にも人工心弁を埋め込んだ人や、人工血管を埋め込んだという人がいる。 映画に出てくるような「サイボーグ人間」の世界にはまだ時間はかかるだろうが、 医療の世界では確実にそうした技術が取り入れられている。 そうした医療の進歩はいいことではあるが、将来、どういった起こるが起こるだろうか。

 人工救命器具を外したことが新聞紙上を賑わしたのは最近のことだ。 初めは「医師が不用意に外して、寝たきりの患者を死に追いやった」 というイメージでそのニュースが報道されたような気がする。 今、医療の進歩で快復の望みのない患者が、植物人間としてただ生命を維持しているだけという例も多くある。 これからも増えるだろう。その結果的、医者そして残された家族に大きな負担を強いることになる。 とりわけ家族にはそうした医療を何時まで施すのか、費用の支払いはどうする、等々の問題を残すことになる。 快復の望みのない患者を、ただ生かしておくだけの医療が、医療と言えるのかという問題もある。

ぼくは「そんな医療はしないでほしい」と今から意思表示しておくつもりだ。

ぼくが書きたいのは「脳インターフェイス、ネットワーク」の世界だ。 脳の研究が進んで、神経の研究と共に、サイボーグの分野に取り入れる研究が進んでいる。 ぼくらが手を動かしたり、目に映る世界を認識できるのも、脳と神経との密接な関係があるからだ。 つまり脳と人間の臓器・手・足・眼、等々のあらゆる部分は張り巡られた神経によって脳と繋がっている。 人間の体内そのものが神経ネットワークの世界なのだ。

体内に流れる神経系統へは微弱な電流のようなものが流れて、末端に伝え、複雑な動きをする。 脳のどの部分から、どういった指令が出ているかが解明され、 何処からどんな指令が脳に流れているかが解明されれば、人工の手・足も可能となる。現にそうした研究も進んでいる。 微弱な電流のコントロールが可能になったことから、そうした研究も可能になったのだ。

ネズミでの実験で、ネズミの脳をコントロールすることによって、意のままに動かせることも可能になった。 そうした研究は益々進むだろう。 その結果どんなことが起こるのだろうか。自分の意思で手足を動かしたり、 究極、記憶したり考えたりすることができるサイボーグも出現するかも知れない。 そんなことになったら人間とは一体なんだ、と考え直す時期がきっとくる。

その前に、そうした技術が軍事の面に応用されるのは時間の問題だ。これは空想の世界ではなく現実に取り入れられ、 サイボーグ技術を帯びた人間、あるいは機械が攻撃の最前線に立つ。そうした研究が急ピッチで進んでいる。 それには膨大な研究費用が掛かる。アメリカはそうした新しい兵器の開発研究に莫大な経費を割いているという。 大きな財政赤字を抱えながら、そう言った分野に費用をつぎ込むのは、軍事面で絶えず優位に立ちたいという、 国家としての意志があるからに違いない。 その結果、応用価値が高い技術には、例えどんなに費用がかかろうと研究を続けるだろう。

日本は米軍の再編にトータル「3兆円」もの経費を支払う、との報道があった。 それが事実かどうかは兎も角、日本での駐留経費を含めて、日本が米軍に相当の経費を支払っているのは事実だ。 見方を変えれば、アメリカ軍は新しい戦争技術に研究費を掛けるあまり、日本に米軍の負担を求めている、とも言える。

膨大な財政赤字にも関わらず、なんでもお金で解決しようとする、そんな風潮がまだ日本の政治家にはあるようだ。

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いわゆるホリエモン裁判が、 「公判前整理手続き」という、昨年11月から始まった制度が適用されるという。 この制度は法廷で実際の裁判が始まる前に、 検察官、弁護士、裁判所が捜査で集められた証拠をみながら話しあって、 お互いに何を主張し、どんなスケジュールで進めるのかを決めて裁判を行う制度なのだそうだ。

普通の(これまでの)裁判は、検察官がまず「冒頭陳述」(事件の全体像を説明する)を行って、 それを裏付ける証拠を検察官が一通り示した後、弁護士は捜査の弱点を探して反論する。 それに備えてというわけではないが、検察官も、重要な証拠は「隠し球」として残しておいて、 裁判の途中で新証拠として提出したりする。 こういうやり方だと、裁判に長い時間がかかることが多い。

新しい制度では証拠の「後出し」は出来ない。 証人の数や日程も事前に決めてしまう。だから証人の日程さえつけば、 一週間連続で裁判を開くこともできるし、一日で終わることも可能となる。

この制度は裁判員制度が09年度から始まることと関係がある。 普通の人が裁判員となるこの制度では、普通の人が長い間、 仕事を休んで裁判に来てもらうわけにはいかないからだ。

新しい制度でやるかどうかは、弁護士や検察官の意見を聞いて、最終的には裁判官が決める。

「非公開の話し合いで事前に争点が決まってしまうから、 事件の背景が深く掘り下げられるか」と言う問題が指摘されているが、 日本の裁判では長い期間が掛かる、という事には辟易している。新しい制度には問題点も出てくるだろうが、 まずはスタートさせて、出てきた問題点は見直して改善する。そうした視点も必要だ。

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 ゴールデンウィークももう終わり。
 何か浮かない気分だ。全く!!
 愚痴をもう一つ、なんでこんなに原油が値上がりするんだ!  産油国と非産油国との格差は開くばかりだ。産油国は別になんの努力もしていないのに、莫大な富を得ている。 これは究極の差別だ! それも一部の人に片寄っている。これが或る限り中東のいざこざは収まらないぞ!!

 日本は世界に先駆けて「水素発電所」を造れ!
 原油に依存しない社会構造にしろ!

<K.K>


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