「文学横浜の会」
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2006年 6月 4日
「地震と駐車違反取締り」
梅雨入りしたような空模様が続いている。日照時間も少なく、農作物の生長に影響を及ぼしそうな雲行きだ。
耐震強度の擬装問題についての報道が下火になった矢先、インドネシアで震度6.3の大きな地震が発生した。
5千人以上の犠牲者が出ていると言う。例え日本で震度6程度の地震が起きても、そんなに多くの犠牲者は出ない、
と報道されていたが、耐震強度の擬装問題が明るみに出て「自分の住宅は大丈夫かな」と不安になった人も多かろう。
擬装問題では幾つかの問題点が明るみに出た。一つは制度そのものの曖昧さ、二つ目は制度を実施する側の問題、
三つ目は制度をチェックする側の曖昧さである。
まず制度の曖昧さだが、耐震強度を計算する数式が一つではないと言うことだ。
どの計算式を使うのかの明確な取り決めがないということも判り、
一度は強度が足りないと言われた建物が、別の計算式を適用すれば大丈夫だ、とそんな報道もあった。そんなことってあるか!
それが正直な感想だ。どんな地震がくるか判らないのに、一つの建物の耐震強度を計算する計算式が幾つかあって、
結果も違うとしたらどちらを信用すればいいのか迷う。費用の安い方に行くか、
建築主の意向によるしかないが、そう言う事実は知らされていなかった。
どうしてこういう曖昧なことになったのか、これは明らかに制度を作った官側の問題だろう。
二つ目の耐震強度を設計する側の問題だが、今回の問題が明るみに出て初めてそんな建築士がいたのか、
と初めて知った者も多いのではないか。ぼくもそうだが、建築士とは建物の外観とか形の設計をする職業だと、
漠然と思っていた。考えてみれば強度の裏付けがなければそうした建築は出来ないわけで、
強度の設計が最も重要な建築士の役割だ。その耐震強度の計算方法が、制度の変更によって変わり、昔と較べて難しくなった。
そうしたことに対応の取れない建築士が出てくる。それに耐震強度を専門とする建築士は、地味な仕事だけに数も足りない。
目に付きにくい分野だけに手抜きの対象になりやすい。
三つ目として、それならそれをチェックする体制は、となるとこれもまた全く機能していなかったことが明らかになった。
建築届けを提出する先の役所でのチェックは、全くないと言ってもいい状況で、チェックを専門に行う機関にしても、
役所の天下り機関に過ぎず、形だけのチェックしかしていなかったことが判明した。
これらの問題は耐震擬装に限ったことではなく、日本のあらゆる分野に内在しているのではないかと思う。
そしてそれは日本の体制そのものの“構造疲労”のように思える。
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「警察OB36法人に」と言う記事を目にした。6月1日から始まった「民間人による駐車違反の取締り」である。
警察が業務を委託した民間74法人をアンケート調査した結果、回答した法人の7割が警察の再就職先だったというのである。
法律に則り駐車違反を取り締まる、と言うことは大いに賛成である。
警察官の再就職にも別に問題はない。ただ再就職先が警察からの業務の委託先だと言うのが問題なのだ。
小泉内閣の「官から民へ」の掛け声のもとに、業務の委託先を決めるに当たっては入札制度が導入されるようになった。
「民間人による駐車違反の取締り」業者を決めるに当たっても入札が行われた。
「業者は入札によって行われたから問題はない」と警察は言うだろう。
他の官庁でもそうだが、入札の仕方、公募要領等によっては適切な競争が行えないケースが多々ある。
つまり形だけの競争入札になっている。なんのための入札なのかと思わざるを得ないケースもある。
或る省庁の入札による委託先を調べると、応札に応じた業者数が1件、入札した業者は財団法人、社団法人、
或いは独立行政法人といった事業者が圧倒的に多い。何れも高級官僚の天下り先である。
これは何を意味するかというと、入札が形骸化している事を意味している。
官僚は自分達に都合の悪いことには敏感で、形骸化には天才的にたけている。
この問題でぼくの言いたいのはそれだけではない。
6月1日を境に、ちょっと駐車しても駐車違反で処罰されなかったのが、
今度は処罰するというのがどうも気になる。今までは駐車違反していても、捕まらなければ駐車違反ではなかった。
つまり6月1日までは見逃してやっていたのを、今度は見逃さないぞ、と言うのだ。
人が判断するのだから多少の違いはあるにしても、法の執行を大胆に変えるということがどうも納得できない。
法は法で、忠実に執行するのが役人だろうし、「さじ加減」で執行されてはたまったものではない。
でも、よくみるとそう言うことは「駐車違反」ばかりではない。
日本ではギャンブルは違反だけれど、パチンコは違反ではない。従ってパチンコはギャンブルではない。
パチンコがギャンブルではないと思っている人はいるだろうか。
そう言えば「自衛隊は紛争地には行かない、従って自衛隊のいるところは紛争地ではない」と言うのもある。
日本の総理大臣の言った言葉だ。
立法(国会)、行政(内閣)、司法(裁判所)の中で、裁判所は憲法や法律にもとづいて裁く権能や、
法律や命令・規則などが憲法に違反していないかを判断する機能をもつが、
それが正しく行われているのか疑問に思うことがある。もっともっと立法や行政に物申してもいいのだ。
<K.K>
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