「文学横浜の会」

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2007年4月7日


「公務員の再就職もハローワークで」

 今月から年金制度の一部が改正された。その中に「離婚時の厚生年金の分割制度」の導入がある。

この制度は、 「離婚等をした当事者間の合意や裁判手続により按分割合を定めたときに、 その当事者の一方からの請求によって、婚姻期間等の保険料納付記録を当事者間で分割することができる」 制度で、この制度の導入により、離婚しても男が独り占めしていた年金が元妻にも分割支給される。

考えてみれば当たり前と言えば当たり前の制度だが、 昨今離婚件数が増加していることからこうした制度ができたのだろう。 一度結婚してしまえば、それが死ぬまで続く、そうした旧態依然とした考えに基づく制度がこれ以外にもあるのではないか。

例えば、今与党で盛んに議論されている公務員の再就職に関する法案だが、これも日本と言う国家構造の旧態を晒したものだ。 ここで問題になっている「公務員」とは、一部の上級(エリート)公務員のことである。 上級公務員とは、上級職試験(今はT種試験か)に合格した職員のことで、原則、課長職までは約束されている。

それから昇進して、最高の次官職にまで上りつめられるのは一人、同期からは出ない場合もある。 そして問題なのは 「自分より遅く入省した者が自分より上位の地位に就くと、多くは肩叩きにあって省(或いは庁)を去らなければならない」 慣習があり、公務員の再就職が問題となっている。

それで問題なのは、
1、国が発注する企業に、仕事を発注することを前提に再就職先に人を押し付けたり、 民間でも国からの仕事を前提に多くの公務員を受け入れてきた。当然、市場原理にはそぐわない金額での発注となり、 税金の無駄遣いとなっている。

2、特殊法人や財団法人という、つまり国の管轄下にある法人に役員として送り込み、 多くは1・2期勤めて、次の法人に移動する。移動の度に多額の退職金を懐に入れる。 そした法人の多くは殆ど国からの仕事を請けて運営されており、つまりここでも巨額の税金が遣われているのだ。 早ければ50歳にもならない元エリート公務員が、いきなりそうした法人の専務や常務といった役員になる。 幾ら入省時にはエリートだったにしても、肩を叩かれた時にはとんでもない者もいる。

これは随分おかしな話だ。
面倒みがいいのはいいが、全て税金を使ってのことなのだ。
まず「肩叩き」というそんな慣習は無くせばいい。 民間会社ではそんな慣習などない。昇進できなければ昇給もできないのも当然だ。

それに再就職を業務とする機構としては、既に「ハローワーク」があるではないか。
公務員だけは特別で、元エリートだけは特別だなんて、おかしい。

<K.K>


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