「文学横浜の会」
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2007年9月6日
「環境問題は人口問題」
安倍内閣の新しい顔ぶれが明らかになり、様々な批評が飛び交い、
早くも遠藤武彦農水相が辞任しと、なんとも動きの早い世の中だ。
今回の農水相辞任では与謝野官房長官と麻生幹事長の間で根回し、もはや首相の影は薄くなっている。
自民党内では密かに次の「顔」を模索する動きがあり、何時噴出するのかの形勢だ。
参議院での野党優位という今まで経験したことのない政治状況の中で、これからどのような議論が繰り広げられるのか、
内在する諸問題にどうとり組むのか注目したい。
諸問題の中に「少子化問題」と「環境問題」がある。
ぼくは少子化問題は問題ではないと思うのだが、少子化対策担当大臣を置くぐらいだから、
政府としては大きな問題として捉えているのだろう。
日本の国土面積で、人口が5千万を切るようなら問題にしてもいい、と思うのだが、、、。
少子化の問題は人口が少なくなるから問題なのではなく、
急激に人口が減ることと、それによる年齢構成がいびつになることに尽きる。
確かに、今の税制等の様々な制度からいえばそうかも知れない。
今の制度は、戦後、今の60代前後の人達が生まれて、所謂、団塊世代の成長にあわせて出来上がったものだ。
しかしその団塊世代が定年を迎えて続々と第二の人生を迎えようとしている。
それで少子化問題なのだが、ぼくには制度問題を少子化問題にすり替えているように思えて仕方ない。
年齢構成に見合った、或いは平均寿命が延びた時代に合った制度に変える必要があるのに、
制度そのものは従来のままで、子供を増やすだけの少子化問題に矮小化しているように思う。
少子化問題、しいては人口問題と直接関係しているのが環境問題だ。
環境問題を思う時、基本的に人間が生存することは多かれ少なかれ地球に害を及ぼしている、
と言うことを自覚しなければいけない。
文明が進むに従って、一人の人間が環境に及ぼす悪影響の度合いは多くなった。
特に、石炭や石油と言った地下資源を消費し始めた20世紀以降の文明の進化の過程で、その年数だけで、
それまでの何世紀ぶんもの地球の環境破壊に匹敵する。いやそれ以上かも知れない。
文明の進歩はエネルギーの高消費に繋がっており、各国は文明化への道を競っている。
しかも文明の進歩を止めることは出来ないし、低開発国の文明化への道を止める事はできない。
となると環境問題への最たる解決法は、エネルギーを消費しない文明化への道を探ることと人間の数を少なくすることだ。
特に、近代西洋文明にどっぷりと浸かった文明人を減らすことに尽きる。
西洋化文明にどっぷり浸かった人の存在そのものが地球環境に害を及ぼしている。
近代西洋文明の中でどんなに環境問題に取り組み対処しても、完全な対処法はない。
環境破壊を幾分緩めるための手段に過ぎない。
となれば環境問題を解決するには、エネルギーを消費しないシステムを構築することであり、
究極的には文明人を減らすことに他ならない。
少子化問題に対処すると言うのは、つまり環境問題の解決に反する事になる。
文明の進歩を止めることはできないが、人口の抑制はできる。
世界各国、特に先進諸国は人口半減政策を勧める必要がある。 <K.K>
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