「文学横浜の会」

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2007年11月4日


「小沢党首辞任?」

 食品不正に関するニュースには、些か食傷気味になっている。 こんな報道が立て続けになされると「またか」と関心が薄れてしまった自分の感覚に呆れてしまう。 情報やニュースが瞬時のうちに世界を駆けめぐる時代、諸外国の人達は、事件が発覚するたびに、 画面に映し出される「最敬礼をする一団」をみて、きっと奇異な感じを受けるだろう。

最敬礼すれば問題は解決したのではなく、問題解決はこれからなのだ、 ということが画面のこちら側に伝わってこないもどかしさを感じるのはぼくだけではないだろう。 兎に角、まず謝ってしまえと言う風潮ならゆゆしきことだ。

 と同時に、このようなニュースが取り沙汰されるのはコンプライアンス、 つまり法令遵守の精神が浸透してきた現れとみたいのだが、たんに「風潮」に流れているように思えて仕方ない。 ただルールを守りなさい、法律を守りなさいと言うだけでは、この利益至上主義の中で、 いつまた起こるかも知れないし、今でもまだ表面に現れていない同様なことが幾らでもあるのかも知れない。

「表示はちょっと違うが、風味がそんなに悪くなっている訳ではないし、別に体に悪い訳でもさらさらない。 表示がちょっと違うだけではないか。そんなことで一々非難される謂われはない」そんな風に思っている経営者も多かろう。 でもそれはもう許されない時代なのだ。以前の常識はもう通用しない時代になったと自覚しなければいけない。

 こういうことが明るみになるのは、内部告発による事が多いと言う。告発する側の心理を読めば、様々な事情があるだろう。 告発行為が横行する社会は、あまり良い社会とは言えない。 でも内部告発抜きには、組織ぐるみの不正は暴かれないのも事実だろう。

 自民党と民主党の党首会談が行われた。党首二人だけの会談も行われて「二大政党の大連立の話か、」と色々憶測をよんだ。 二人だけの会談内容はまだ藪の中だが、自民党の福田首相から政権へ加わるように民主党への働きかけがあったことが、 報道された。この話は結局、民主党が拒否したが、大連立の話はまだくすぶっている。

と書いている最中に小沢党首の辞任報道さ入ってきた。意外とうか、どうして? という感じだ。

どうやら大連合を民主党幹部全員から否決されたことが原因だと、報道された範囲では、そう言うことらしい。 小沢党首は先の参議院選挙での公約を実現するためには、大連合なくしては出来ない、との考えらしい。 それで大連合なのだが、どうも不可解というか、無責任ではないのか。

ぼくはこの件には憤慨している。日本における政治の貧困は、長らく自民党一党による政権が続いて、 政権交代が行われなかったことにあるとみている。 一時期、細川政権が誕生したことはあるが、余りに短すぎて政権交代とは言えない。 自民党に代わる政権党を目指して民主党ができたのだろうし、多くの国民もそれを望んでいる。 それが大連立では民主党を支持してきた多くの国民を裏切ることになる。

 こういう話がでるのは、国会運営、ついては国政、とりわけ対外政策の一貫性を願うからだろう。 政権が代わったからといって、年金制度が変わったり、対外政策が変わったりしたら国民は混乱するし、 諸外国からの信頼を無くすことなる。だから大連立というのでは余りに短絡的すぎる。

だからそういう事を避けるための党首会談でなければならなたった筈だ。 国会で大いに政策の議論をし、どちらの政策が正しいかの決着がつかない場合には党首会談で結論を出せばいい。 そのための党首会談なら大いにやればいい。でも二人だけの密室での会談はいただけない。

<K.K>


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