「文学横浜の会」
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2008年12月4日
「総選挙の時期は少し遠のいたが?」
総選挙の時期が少し遠のいた。
今、耳に入ってくる声、或いは活字は「不況」の一字だ。考えてみれれば昨年までは好景気と言われていたが、実感はなかった。
新卒の就職にしても、ここ何年かは引く手あまてで、
優秀な新人を獲得するために各社の人事担当の職員は苦労しているとの事だった。
それが今年、会社によっては「内定取り消し」を通知する会社も出て、内定を貰った学生もうかうかとしていられない。
世の中の動きが早くなったとはいえ、昨年といわず何ヶ月前と比べても世の中の空気は一変し、
今は不況ムード一色に落ち込んでいる。
これから暫くは不況と言われているから、就職も大変だろう。
でも急激に不況風が吹いたのだから、いずれ収まると考えるのは落胆すぎるだろうか。
世の中、誰もが不況だ不況だと言うから、一人ぐらい楽観的なコメントを出す人がいてもいいのではないか。
それでなくても日本の国民性として、全体的に大きく振れる傾向がある。
不況期に卒業するのは「不運だ」といえばそうだが、人生はそれだけではない。
長い目で見れば好況・不況は絶えず繰り返しているのであり、いずれ景気のよくなる時期もくる。
不況の時期に社会に出るのは確かに不運だが、社会に対する見方も、
苦労せずに就職できた学生に比べれば深いものになってもいよう。
とは言うもののやはり社会に出るスタートで躓いた学生には、ほろ苦い体験だろう。
昔ほどではないと言うが、まだまだ日本の企業意識として、新卒正社員の意識は強く、中途採用・非正規職員との格差はある。
取り分け非正規社員、つまり派遣社員との格差は大きな社会問題になっている。
つまり卒業した年に、たまたま不況で、企業が採用を手控えた為に就職出来なかった世代だ。
そうした多くの若者が低賃金の派遣労働者に甘んじている。
そうした年代を救う対策が望まれる。企業側には中途採用の幅を広げるなり、社会的な責任を果たしてほしいものだ。
企業の側でも社員の年齢構成は重要なファクターではないのか。
いびつになっていれば、技術移転もスムーズに出来ないし、将来的な企業活動にも齟齬をきたす要因になる。
年齢構成を考えた社員を確保すること、継続して事業を続けるためにもそうした対策が必要だと思うが、、。
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話は変わるが、最近「さまよえる癌患者」というNHKの番組を観た。
番組を観ていない方に概要を説明すると「病院側の経営上の問題から、癌患者が病院を追われて、
行く病院がない」と言う。
医療改革による問題なのだが、これからますます高齢化を迎えるに当たって、このまま放置しておけば更に深刻になるだろう。
これは医者を増やせば解決すつという訳ではなく、医療費にかける“お金”に付随する。
つまり医療の高度化とそれに付随する費用の増加、それに少子化、この二つとは切り離せない問題だとおもう。
そうした事を考慮しないで、ただ病院の実態だけを捉えて問題を解決しようとしても無理だ。
保険料は昔のままで、患者の3割負担、という基本的な事項にもいずれ立ち入らなければいけないし、
医療全般のシステム構築と患者の意識改革も必要だと思う。
考えれば昔、保険の本人負担は2割負担とかであった。それが全て3割負担となったのだ。
高齢者老人医療の自己負担は昔は無料だったが、現在2割負担と認識している。
もしそうなら高齢者の老人医療費も再考すべき時期にきているのではと思う。
高齢者ほど医療に罹る度合いは多くなり、負担は増えるが、ここは国民的な議論も必要だ。
無論、その前に医療行政、病院側の無駄を徹底的に排除して、無駄な薬投与、ジェネリック薬品の徹底等、対処すべきだ。
それになんでも総合病院に行く、というのも考えものだ。
ちょっとしたことでも病院に行く者もいる一方、余程のことでない限り病院には行かないという者もいる。
どちらがいいとかと言う事ではないが、本当に医者の治療が必要な患者が必要な医療を受けられない、
と言う事態だけは避けなければいけない。
なんでも3割負担ではなく、頻度によって負担の割合を変える、
或いは金額によって負担の割合を変える、と言うのもあっていいのではないかとも思う。
何れにしても医療全般に渡る見直しがこの際必要ではないか。それも早急に。 <K.K>
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