「文学横浜の会」

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2009年7月5日


「総選挙に向けて」

 梅雨明けが待ち遠しいこの頃である。

 3日に都議選がスタートして、12日には都民の投票結果が判明する。 今回の都議選の結果次第では政局へ大きな影響を与えると言われているが、 果たしてどんな結果になるのか都民でなくとも気になるところだ。

政権与党が過半数割れに追い込まれれば、麻生総理も安閑としてはおれず、総理の座を引きずり降ろされるとの報道もあるが、 与党の動きが激しくなるのは確かだ。 直近に迫った総選挙の趨勢を占う上では、 首都東京ではあるが、最早「一つの地方の選挙に過ぎない」と言ってはいられない選挙になっている。

 先の宮崎県東国原知事の「自分を総裁候補とするとの条件を自民党が受け入れれば」との発言に、 多くの国民は“注目”したのではないだろうか。あくまでも政権を持ち続けたいとの自民党の執念は解るが、 ここに来ての自民党内の混乱振りは見ていて情けない。

東国原知事のあの発言を誘発させたのは、首相の“格”が落ちたからに違いない。 知事になってまだ一期も終えていないのに、ただ人気があるからと、我が政党に加勢をと動く方も方だ。 思えば、小泉首相から、自民党は“国民の人気”を第一に総裁を選んできた。 そして安倍首相、福田首相、そして麻生首相と、首相としての“器”が極端に落ちたのも結果を見れば明らかだ。 俺でも首相ができそうだ、と思っている方も多かろう。 それなのにまた“国民の人気”を第一に自民党は総裁を選ぼうとしているのだろうか。

 日本は今大きな借金を抱えている。これから益々高齢化が進んで福祉・年金予算等が膨らむのが解っているのに、 選挙を控えているからと、或いは百年に一度の不況だからと言って、安易に予算を膨らませていいのだろうか。 ここ何十年か日本の借金は増え続けるばかりだった。今不況なら、好況だった時期もあった筈なのに、 国の借金が減ることは無かった。せいぜい増える率が下がっただけに過ぎない。

こういう事を考えると、今まで一体何をしていたんだ、と言いたくなる。 このまま行くと日本の借金は膨らむ一方で、何時かは破綻する。 戦中、戦費拡大による国債の大増発によって敗戦後の経済が大混乱したように、 このままでは日本の経済は何時かは破綻する。 それなのに日本の政党は、ただただ自分の党が政権を取りたいと、ただそのためだけの政局に貧しているように思える。

幸い総選挙が六十日余りで実施される。 選挙民としては、政党を選択するに当たって、 これからの日本をどうするのか、借金はどうするのか、年金・福祉はどうするのか、 等々各問題毎にどう取り組むのかを見極めたい。

また、日本の抱える諸問題は与党だけで解決できるほど単純ではない。 問題解決に当たっては政党の枠を越えて真剣に取り組んでほしいし、 政党の枠を取り去って、問題毎に真摯に取り組んでほしいと切に思う。

これは報道するマスコミの姿勢にも大いに関係があるが、現在の政治状況をみると、 互いのあら捜しをしているだけのように思えてならない。 現状は利害をむき出しに政党間でいがみ合っている状況ではないし、 政党間のマイナスイメージ合戦をしている場合ではない。

総選挙では日本をどういう国にするのかをマニフェストに掲げて競争し、 選挙が終わったら各問題毎に政党の枠を取り去って議論し方針を決めてほしい。

<K.K>


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