「文学横浜の会」

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2009年12月5日


「日本は、今?」

 「事業仕分け」と言う言葉がマスコミに賑々しく取り上げられて、それなりに国民の関心も高いようだ。 国が行う事業の一部を取り上げたに過ぎないのだが、税金の使われ方に国民の注目が集まったのは悪い事ではなく、 これからも大いに進めてほしい。「事業仕分け」の遣り方に色々な問題点も指摘されているが、 改善はしつつ凡ての事業についても取り上げてほしいと思う。 同時に予算策定スケジュールも考え直すべきではないか。

今回は政権が変わって初めてで、それに既に前政権からのレールに乗っていた予算策定作業だがら仕方ない面もあるが、 来年からは予算策定作業をもっともっと前倒しにしてもいい。 従来から続いている事業なら、「事業仕分け」作業は、年度早々、着手してもいいのではないか。 11月になって取り上げる事業は「新規事業だけにする」と言うようなスケジュールにすればいい。

 国の予算の使い方の監査のあり方も改善した方がいい。 「事業仕分け」で決まった事業なら、監査内容は事業の結果だけにした方がいい。 それにはその分野の専門家を動員する必要があるが、少なくとも今ま言われているような「1千万円の予算だと、 約10センチの厚さの報告書ファイルが必要だ」と言うような事はなくなる。

そして予算の使い方にも細かい「取り決め」も止めた方がいい。 国の事業を受け、監査資料を揃えるには特有のノウハウが必要だと言われているが、 それは事業を受ける側には大きな負担となっている。 間接費を少なくするためにも、そうした負担は少なくする。関係省庁や財務省の負担も減るだろう。 そのためにも「事業仕分け」をしっかり行い、予算を決めたら、結果だけを厳しくチェックする体制があればいい。 その結果を次年度の事業に反映し、或いは結果の内容によって、費用を交付しないと契約書に明記すればいい。

 今年の流行語大賞に「政権交代」が選ばれたようだが、当に今年は政治の年だった。 少なくとも向こう2年以上は衆議院の選挙はないだろうから、民主党を主体とした政権が続く事になる。 小泉郵政選挙にも感じたことだが、どうも日本における「民意のブレ」、その大きさに幾分の危惧を持つ。 小選挙区制の弊害でもあるが、国民の質にも関係があるのか、と思ったりする。

今回の民主党の「圧勝」が日本の政治を、大きく変えるきっかけになる事は確かだが、その結果は誰にも判らない。 もっとも自民党政権があのまま続いていたとしたら、日本全体を覆っていた閉塞感は国民を憂鬱にさせていたに違いない。

どんな国家も、歴史を見れば未来永劫、繁栄し続けた国家はない。 「国」と言えども成長期があって繁栄期があって、そして衰退期がある。その間には様々な混迷期もあるだろう。 日本においては室町時代や徳川時代等があり、世界史をみてもギリシャの黄金時代やローマ帝国時代、等等。

そうした視点で今の日本を見ると、どの当たりになるのかと考える。戦後の混迷期を介して暫くは成長期だった事は確かだ。 バブルの頃が繁栄期だとは思いたくないが、「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と言われた時代もあったのだから、 その頃が繁栄期だと言ってもあながち的はずれではないだろう。 とすると現代は(?)となるが、混迷期である事は確かなような気がする。

さて、混迷期の後に、と言う事になるが、バブルの頃が一番の繁栄期だったなどとは思いたくない。

<K.K>


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