「文学横浜の会」

 エッセー


INDEX 過去のエッセー

2011年9月6日


「災害年の中での野田首相誕生」

 台風12号の上陸と共に9月が始まった

 今年1月、霧島山(新燃岳)が 噴火して降灰被害のニュースが駆け巡り、3.11の衝撃的な地震・津波・原発事故、 そして8月から9月の台風12号による豪雨被害と、これ程に自然災害の続いた年はあるまい。 今年はまだ四ヶ月も残していて、一年の纏めをするには早いが、今年は自然災害の年だ。もうこれ以上の災害は沢山だ。

多くの災害の中で、原発事故は自然災害とは言い難い。 減原発とか原発廃止とか、原発に対する国民の嫌悪感は増しているが、「原発はすぐ廃止」とは言えない社会構造になっている。 原発にかわる自然エネルギーは「価格」と「安定供給」と言う点でまだまだ原発に代われないのは確かだ。 だからこれ以上原発は作らない、いや作れない、が将来的には廃止の方向で暫くは稼働させる、と言うのが大方の見方だ。

まあ、そう言う方向に行くのだろうが、気持的には忸怩たる思いがある。 事故が起こっても人間の力では制御できない、増える一方の使用済み核燃料の始末も出来ない、 等の危険な核物質を扱わなければならないのがどうも釈然としない。

日本のように自然災害の多い国で、今度のような事故は絶対にゼロにはできない。 考えれば地球上の大陸は長い期間をかけて移動し、現在の陸地を構成している。 と言う事は、地球のどこでも大地が動くと言う事だ。 それが徐々にか急激にか判らないが、動く事は確かなのだ。 それを思うと、原発は地球上にあってはならない物だ。

確実に放射能を制御でき、コントロールできる技術が確立してから使用すべきだ、とぼくは思う。

 *

 野田新総理が誕生した。この5年間、ほぼ1年に1人の割合で総理大臣が誕生したそうだ。

そうなると来年はまた違う総理大臣かな、と連想してしまう。 そんなにコロコロとトップが変わっては国政に直接携わる官僚諸氏には迷惑に違いない。 それとも頭に誰が就こうとも、そんなの関係ねいや、と言う感じなのだろうか。 下々にはそんな風に思えるが、長い目で見れば日本にとっては良くない、と僕は思うのだが…。

3.11以前から日本の抱えていた諸問題は、民主党政権に代わってからも一向に改善しないし、解決の目途さえ示せないでいる。 財政の健全化、これから益々増える医療費・年金財政への対応、そして少子化への対策、と言った従来からの懸案の上に、 東北大震災と原発事故対応と言った大きな問題を抱えている。 それなのに日本の政党は政党間の駆け引きや政党内の権力闘争に明け暮れているように見える。

そうした状況の中で党内融和を掲げた野田政権が誕生した訳だが、まずは一歩前進と思いたい。 新政権は「どじょう」に例えているらしいが、どんな風であれ、着実に少しずつでも日本の抱える諸問題に取り組んでほしい。 団塊世代が次々とリタイアして行く年代になり、取り分け、財政問題の解決に残された時間は長くない。

これは今の若い世代の問題でもある。若い世代に大きな借金を残しては、高齢者も安心して医者に掛かり、年金を受け取る事はできない。

<K.K>


[「文学横浜の会」]

禁、無断転載。著作権はすべて作者のものです。
(C) Copyright 2000-2004 文学横浜