「文学横浜の会」
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2013年10月4日
「日本はどちらに向かっているか」
以前読んだ本から、日本の政治で成功したた時代と失敗した時代について思った。
成功した例では、明治維新から日露戦争でなんとか日本の勝利で終わらせた頃まで。
勝利したと言っても内実は当時の日本の総力を出し尽くしての勝利だった。
もし、当時のロシアがもっと戦争と続けていたら、間違いなく日本はもう戦いを続けられないほど疲弊して負けていたかも知れない。
無論、ロシア国内も日本以上に戦争を続けられない状況だったことは間違いないが、
国力としては当時の日本以上に余裕はあった。
そうした事を踏まえても、明治維新により近代化した過程は日本の政治が上手く機能した例だ。
が、当時の日本は開国したばかりで、国民の意識が未熟だった。
つまりロシアとの戦いに勝利したのに何故もっと、解りやすく言えば、もっと勝利した見返りがないのかと不満をもった。
そして日露戦争勝利がいたずらに国民の大国意識を芽生えさせ、国力以上に助長した。
それがその後の第二次世界大戦につながり、敗戦に至った遠因になったとも考えられ、
上手くいったシステムが永く続かない例だ。
失敗した例では先の戦争、第二次世界大戦あるいは太平洋戦争に至った経緯と、敗戦に至った過程だ。
様々な資料が残されていて様々な方が調査・検証し、多くの本が出ている。
立場によっては様々な見方があるが、確実に言える事は日本は負けたのだ。
敗戦という言葉を嫌ってか、終戦という識者もおられるが、やはり敗戦と言った方がいい。
敗戦で終わる太平洋戦争に至る以前に、
軍部による中国への侵攻が政治を離れて行われたという、制度的な欠陥も大きい。
そうした欠陥を正せなかったことが何より大きな問題だったが、
多くの方が気づいていて、正そうにも、軍部の力が余りに大きく、正せなかったのが実情だろう。
成功した時にはそれなりの人物が出て、システムも適正に改革・修正して機能しており、
失敗した時には無能な人物が政権を握ってシステムも硬直化して機能していない、と言うことが判る。
敗戦によって多大の犠牲者を出して、日本は新しいシステム、つまり憲法が制定された。
大きな犠牲を払った戦争直後と言う事もあり、日本は平和を旗印に経済発展に努めた。
政治の分野でも新しい人材が出て、経済も世界が驚く程の発展を遂げた。
がどんな成功も永くは続かないのたとえ通りに、経済発展もバブル経済につながり、弾ける。
そうして日本の経済はデフレと言う長い停滞期が続いている。
その間に好況期を経験している政治家、多くはそれを支持する国民あっての事だが、
経済活性化の名目の基に国は借金を重ね、今では国の借金は1千兆円を数える。
政治面では派閥政治と言われ、派閥を維持するための金集めの上手な派閥の長が永く日本の政治を仕切った。
つまりそれなりの人物が政治をしていたとは言い難く、閉塞感は高まった。
そうした事もあって小選挙区になって選挙システムは変わた。
小選挙区制の欠点は大きく振れる事だ。それも直前の社会状況によって選挙結果が左右される傾向にある。
民主党が政権を取ったのは、当時の自民党政権の不甲斐なさもあったが、小選挙区制が大いに幸いした事もあろう。
その民主党政権も散々の結果だった。
政権を運営した経験も、何より党首の国家リーダーとしての心構えが希薄だったように思えてならない。
まぁ、良い面としては民主党が国家運営を短い期間とは言え経験した事だろう。
で今の日本はと言う事になるが、果たしてどちらに向かっているのだろうか。
結果は5年後か、10年後には必ずはっきりするだろう。
消費税を上げる事を決めて、それで終わりではない。
軍部の中国大陸への進出を食い止められなかったように、国の借金を減らせるかどうかが注目点となる。
良いシナリオとしては、国債残額が少しづつ減っていく。
結果は5年後に…。
<K.K>
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