「文学横浜の会」

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2013年12月3日


「防空識別圏」

 中国が突然公表した防空識別圏で関係諸国間が揺れている。

厄介な問題だ。一方が強行に主張すれば一方も強行に主張する。 どちらも引くに引けなくなれば行き着くところは実力行使、と言う筋書きは絶対に避けなければいけない。

往々にしてこう言う事態に陥ると強硬派が活発になる。 言う事が勇ましいから、日本の戦前のように日米開戦派が勢いづいて、ついに太平洋戦争に突っ走った。 開戦派が勢いづいたのも、国民が真実を知らされていなかった、からだとも言える。

日中間の緊張が昔のようにはならないとは思うが、現総理の資質には危ない臭いがする。 と言うのも安倍総理は就任前から、「戦後レジームからの脱却」とかの発言があり戦前への回帰の思いが見受けられるからだ。 戦前の日本の全てが間違いだったとは思わないが、何を脱却したいのかがはっきりしない。

そこで問題になるのは与党の提出した秘密保護法案だ。 野党の多くが反対し、マスコミ関係者や識者の多くも懸念を表明している。 国会審議で与党の担当大臣が説明するが、説明内容が一貫していないとも言う。 条文には曖昧な表現があり、こう言う解釈されたらどうするのかとの野党の質問に応えてはいるが、 一旦法案が通ってしまえば、その条文だけが残る。

日本の憲法にしても、条文の解釈を変えよう、内閣によっては変えることができるとの意見が公然と言われている。 憲法でさえそうだから、条文の解釈など、裁判長の考えかた次第だ。 戦前の治安維持法にしても、当初は国家転覆を目論む共産党員等を取り締まる意図で法制化されたと聞くが、 戦争に反対する者すべてがその対象にされてしまった。

と言う事を考えても、一度、法が制定されれば、その条文だけが残る。 つまり、法案審議の過程でこう言う解釈ですと説明しても、それは条文には反映されない。 一度制定されれば、条文だけが独り歩きする。

一度制定された法は時の政権によって、司法の解釈によって適用される。 三権分立とは言っても、権力者によってはどんな運用のされ方をするのか、不安が残る。 そんな不安の残る法案には反対だ。でも国会の構成から言うと、今の与党はなんでもできる。

無論、国家に機密を守らなければいけない事には誰も反対しないだろう。 要は、その条文なのだ。

現政権にしろ前の民主党の政権、その前の自民党の政権にしても、法案を作成するのは役人だ。 それがいけないと言う訳ではないが、政権はちゃんとしたチェックしたかが問題だと思う。 行政は何でも隠したがる癖がある、と忘れてはならない。

30年後、50年後、あの時、あんな政権でなかったらよかったのだが、とならなければいいのだが。

歴史を振り返ると往々にそう言う事がある。
そうした政権は往々にしてその時は人気のある政権なのだ。

<K.K>


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