「文学横浜の会」

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2015年 3月 9日


「民主主義と司法のあり方」

 18歳から選挙権が与えられる。早い人で高校生から国政への選挙権が与えられることになる。

良い事かどうかはぼくには判らない。ただ今の今の制度、つまり20歳以上に選挙権がある制度の中で、 選挙権を行使する人は50数パーセントだ。そう言う状況では国会が国民の総意を得ているとはとても思えないが、 例え18歳に引き下げたとしても投票率が上がらなければ、何のための選挙なのかと言う疑念は消えない。

現状は宗教や主義者、或いは特定の利益代表者に国政が牛耳られていると思われても仕方がない。 国会の議論をみてもつまらない揚げ足取りや、 細かな政治資金の些末な失点探しに多くの時間を費やされているように思えてならない。 自民党が野党になった時もそうだったし、民主党が野党に戻った今も同じだ。

そんな欠陥だらけの政治資金規制法なら改正すればいいと思うのだが、それはスムーズにいかない。 企業・法人・団体からの政治資金の流れを禁止するか、禁止しなくとも全てを明らかにする事にすればいいと思うのだが、 侃侃諤諤、纏まらないのが今の国会だ。

それなら巨大与党の今、強引に制度改正すればいいのに、そう言うことになると中々腰が重いのがなんとも歯がゆい。 皮肉な見方をすれば、与野党の議員の中に、政治資金の流れは曖昧のままにしていた方がいい、 との思いがあるのではと勘ぐりたくなる。

 さてさて、今の国政がどうあれ選挙権が2歳下がった事は良い事だと思いたい。 何故なら国の借金はどうしても若い世代に残り、 ハイパーインフレでも起こさない限りこれから生まれてくる日本人にも重くのしかかると思われるからだ。 国の借金は今や1千兆円を超えているのに、アベノミクとやらで円安を促す政策で益々借金は積みあがって行く。 よくぞ借金を重ねたものだと思う。戦後日本は一度も戦争をしなかったのに、二回の大戦争をした程の謝金をしている。

謝金をした方の論理としては、全国何処にでも車で行ける便利な国土にした、 これはこれから生まれて来る子供達にも大きな利益となる、というのだろうが果たしてそれだけだろうか。 無論、謝金はそれだけに費やしたのではないが、過剰な国土開発は自然を破壊したのも確かだ。

国の借金の原因は、 全国津々浦々景気回復の恩恵に預かっているかは兎も角、全国津々浦々、舗装された道路や箱物予算に費やした事は確かだ。 それは人口増の過去のスケジュールに乗って、なんの方向転換もせずに予算を付けてきた結果だ。 そしてもう一つの大きな要因として人口推移を見越した考慮もせず、ただ選挙民に阿る政策を進めた結果だ。

投票率が上がらない理由の一つは政治が面白く感じない事だろうが、原因の一つに一票の格差問題もある。 一票の重みをできるだけ平等になるようにする努力が見られないし、 是正したとしても小手先だけのちょっとした修正で済まそうとする。 そもそも政治家に定数を決めさせるのが間違いだが、そうした実態をみている国民は政治に不信感を抱く。

政治が面白くない原因のもう一つに、民主主義のあり方、特に三権分立のあり方を上げたい。 国会で憲法論議をするのはいいが、合憲か違憲かの議論を聞いていると議論のための議論をしているように思える事がある。 本来、合憲かどうかは三権分離の観点から司法の判断に任すべき事ではないか。 司法が駄目だと言うなら、それにかなう憲法なり法律を作る、単純に考えればそうなるのだと思う。

最も、司法府がそうした判断をずっと避けてきた事が、今の日本の政治状況を招いたと思えてならない。

選挙権年齢を下げたのはいいが、今の国の現状を隠すことなく曝し、国の問題点を明らかにし、 そして投票率を上げる努力もするべきだ。
将来を語るのはいいがバラ色の事ばかりを言うのが政治ではない。

<K.K>


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