「文学横浜の会」

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2016年10月11日


「白票も正しいのでは」

 今、次期アメリカ大統領選挙に、世界中が注目している。

新しいゴシップが出てきて、形勢はクリントン有利、との情報がながれているが、 これでクリントンが俄然有利なのかと言うと、選挙間近になって何かが起きれば、どうなるかは判らない。 直接選挙は、物事を決める上で、民主主義では最もわかり易く、公平だと言われているが、 どうも怪しくなっている。

イギリスEU?離脱や、フィリピンの大統領選結果、等をみると、直接選挙もなんだか怪しくなってくる。 無論、それらがこれからどうなるのかは未知数だが、選挙後の状況をみれば、後悔している国民も多くいると言う。

直接選挙で問題になるのは、皮肉な事に、国民誰にも公平な一票があることだが、 選挙対象に対する知識や関心に関わらず、誰でも公平に一票がある、というのが問題を複雑にする。 むしろ、問題にもよるが、関心がない、どちらでもいい、或いは説明を聞いてもわからない、と言うのが大勢だろう。

ならば選挙対象をよく知っている人、或いは関心のある人だけ、というわけにはならない。 それで、選挙の目的や対象事項について知らない人、あるいはどうでもいい人にも同じ一票があり、 如何にそられの人から票を取り込むかの競争になる。

正しい情報での競争ならいいのだが、まぁ、そんな選挙は残念ながら、すべてではない。 ゴシップ、或いは嘘も飛び交うからそれを見極めるのは尚更複雑になる。

それで、選挙の対象となる事項とは関係のないゴシップや、全く関係のない問題をあげ連ねての票の取り合いになる。 人の選択となれば、好きだ嫌いだ、の投票になる。

日本の選挙にしても、いくら選挙広報や演説で「〜だ。」と言っても、その党が別の方針を決めれば、それに従ってしまうのが多勢だ。 おまけに選挙期間だけにしか知らない、多くの人にとっては他人の中から選ぶのだから、 選ぶ方にしても「えい、やぁー」に決まっているし、他の要素で選んでいるに違いない。

 だけど国の大統領を選ぶとなると、その結果は国民のある意味、生殺に関わるし、取分けアメリカの大統領となれば、 世界に与える影響も大きい。

それで、アメリカの大統領選では、予備選というものを設けて、あるレベルの候補者を選び、 その中から大統領を選ぶようにしたのだと思うのだが、それでもトランプ氏のような候補が出てくる。 無論、トランプ氏がどんな大統領になるかは未知だが、氏が選挙戦で言っているようなことを実施したら、 と不安になる。

正論、まっとうな議論を通しての選挙戦を多くが望んでいると思うが、 大衆は、どーしても面白い議論を好む傾向にある。その結果、本来の議論とはかけ離れたゴシップに流れる傾向がある。 大衆を操るには、ナチスが台頭してきた時のような神憑り的な手法か、ゴシップで操るか、それしかないとするならなんとも淋しい。

で、神憑り的な事には一歩引いて見極め、多数が支持する事には疑いの目を持つ。 それで、選挙にあたっては、自分が関心がないかどうでもいい事なら、白票を投じるのも手だろう。 その代り選挙結果には何も文句は言わない。それしかないと思う。

<K.K>


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