「文学横浜の会」

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2017年 2月 6日


「東芝とトランプ大統領」

 東芝が子会社による原発関係の巨大な損失問題で揺れている。

先に同じ原発事業を含む不正会計処理問題に揺れて、一部事業を売り出してどうやら立ち直ったかに見えた矢先だ。 今回も何千億円かの損失を埋めるために、東芝のそれこそ現在の東芝における収益元とも言われているメモリ関連事業を分社化し、 株式の一部売却によって切り抜けようとしている。

大きな損失を出したのは経営者側の問題である事は間違いないが、 巨大損失となればその影響は経営者が責任を取ればいいと言うだけでは済まされない。 ましてや大会社ともなれば、その株式を介して、直接株を持っていなくとも思わぬ影響がある。 つまり年金資産の運用先として購入していれば、価値が下がれば年金資金の目減りにつながる。

まあそうした年金資金は実態として、リスク回避策として様々に資金を分散しているだろうから、仮に東芝が潰れても、 致命的な打撃は受けないだろうが、資金の目減りになるのは間違いない。

企業とはわけの分からないものだ。何兆円もの利益を出す部門があり、何千億円もの損失を出す部門もある。 大きな企業になればなるほど、その事業は様々、組織がしっかりしていないと東芝問題は何処の企業でも起こり得る。

東芝の原発事業が巨大損失を出したからと言う訳ではないが、原発事業はこのままでいいのかと不安になる。 政府は依然、原発を国のメイン電源として位置づけているようだが、本当にそれでいいのかと不安だ。 たった一度の事故でその後始末に今も巨大な資金が掛かっているし、廃炉作業もこれから何十年もかかるかそれさえ明確にはなっていない。 そして使用燃料問題も依然棚上げ状態だ。何万年も保管しなければいけないなんて、それは保管できないと言う事ではないか。

原発の怖さは人的或いは自然災害に起因する事故もさることながら、戦争による破壊の怖さの方が恐ろしい。 振り返ってみれば人類は戦争の歴史でもある。ここ何十年か、日本では戦争はないが、それはたまたまだと言ってもいい。

まぁ、巨大な殺人兵器をもった現代にあって、全面戦争が起こればお互いに破滅なんだけどね。

   *

 トランプ大統領が自国第一主義とか喚いているけど、どの国家も自国第一主義なんだと思うね。

それにアメリカをはじめとして、ロシアや中国、所謂、大国と言われる国は何時も傲慢だと思う。 国が大きく、それだけ相対的に軍事力に資金をつぎ込めるから、時には威嚇的だと周辺諸国は思う。

そうした大国の中で、アメリカは国としておおらかで包容力があり、何より自由な国だから大国としての威圧感も黙認されている、と思う。 それがトランプ大統領の出現によって世界中がソワソワとしている。アメリカ第一主義を殊更叫ぶ姿にうんざりだ。 そんなの当たり前じゃないか。みんな何処の国も自国第一主義なんだよ。 当たり前の事を声高に叫ぶのは、俺の言うようにしろ、と言っているように聞こえてしまうのだ。

何でもそうだが、当たり前の事を殊更大声で叫ぶのは、何か不気味なんだよね。

<K.K>


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