「文学横浜の会」

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2019年 1月11日


「計画性のない国」

 恐らく、日本の人口問題はこれからの30年がピークなのだろう。

ここで言う問題とは主に国の財政問題である。 つまり30年を過ぎれば今の70歳代、戦後のベビーブーム世代の大方はいなくなる。 それまでの間、年金や社会福祉関連の予算は膨らみつづけ、国の財政は大赤字になる事は間違いないのだが、 それは人口構成から言って前々から判っていたことだ。

財政をただすためには制度を変えるか増税をしなければいけないのだが、 消費税の増税となると年金生活者や圧倒的に多い低所得者には大きな負担となる。 それで消費税の増税が延び延びになっていたのだが、今年の10月に増税が予定されている。 これ以上の赤字はなんとかしたい、との財務省の焦りもあるだろう。

今や日本の借金は1千兆円を超えている。どれほど巨額なのか実感はないが、とてつもない金額だとは判る。 そんなに巨額になるまで、手を拱いていた政治家の責任は重いが、今それを言ってもなんの解決にもならない。 消費税は何れ西欧なみに20%〜25%になるのではないか、との意見も聞く。 無論、生活に直結した物への消費税にはそんな税はかけられまいが、年金生活者や低所得者には大きな負担になるに違いない。

つまりは今の年金制度や社会福祉制度が、現役世代が支えて、足りない分を国が負担する制度になっているからだ。 少子化傾向が続けば、同じ制度を維持するには国の負担が増えるのは明らかで、 人口構成や出生率を見ていれば前々から考えられていた。

そうした状況の中で、アメリカで何かあると、つまりドルが不安になると日本の円が買われる、 と言うのはどう言う事なのだろう。 こんなに借金のある国なのに、安定通貨として円が買われる理屈がぼくには判らない。 国の安定を見越してのことなのだろうか?

 何れにしても1歳からの人口構成は判っているし、出生率もそんなに変化しないのだから、30年の長期予測はできるはずだ。 このぐらい増税すれば何年にはこのぐらいの借金が増えるが、その後は徐々に借金はすくなくなり、 何年後ぐらいには徐々に返済できるようになる、との長期予想も可能だろう。 無論、予測をする場合には予測方法と根拠を明らかにするのも必要だ。 幾つかの予測がでるだろうが、要は国民を納得させ、安心させる事だ。 国民が不安を抱いたままでは少子化問題は解決しない。

 少子化問題は先進諸国では共通らしい。中国でも永らく一人子政策が続いた関係で、 既に少子化問題が起きているとの報道もある。 少子化の進む国では若い労働力が足りなくなり、外国人労働者の獲得競争を呈している。 だから日本も、と言う流れなのだろうが、今の政府がどれだけ考えて、 つまり外国人労働者を受け入れて生じるだろう様々な問題点を考慮し、対策をたてているのかが見えてこない。

取り敢えずは法律を作って、対策はこれから、と言うスタンスのように思える。 それで果たして対応できるのかはなはだ不安だ。 せっかく来た若い労働力に不満を持たれたり、国内で新たな軋轢を生じさせたりしては将来に禍根を残す事になる。

外国人の労働者が来ることには反対ではないが、それなりの対応も充分に整えなければならないのに、 この計画性のなさはどう言ったらいいのだろう。 取り分け地方での労働者不足が深刻のようだが、つまりは低所得者が不足しているのだ。 賃金がそれなりに支払われれば、労働者不足などはあり得ない。

つまり低賃金の職種に外国人労働者を、と言う構図なのだ。外国人労働者を受け入れる国は何処もそうだとは思うが、 何れ労働者を供給している諸国も豊かになる。そうなれば何も国を出て働く必要は無くなる。

諸々の事を考えれば外国人労働者を受け入れるのは一時的な事で、寧ろ人数を限定した移民政策の方がいいと思う。 人手不足の分野については技術革新を進め、必ずしも人手に頼らなくてもいいような部分はロボット化すべきだろう。

国は将来につながる計画、ビジョンを作り、国民に示すべきだ。

<K.K>


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