「文学横浜の会」
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2019年 7月13日
「盛り上がらない参議院選」
参議院選挙が告示されたがどうも熱が入らない。理由は色々あるだろうが、
与党は安定政権をと訴えているが、安定政権とはどう言う政権なのだろう。
まあ何れににしてもどんな選挙結果になろうとも、日本の社会が大きく変わる事はあるまい。
憲法改正にしても、与党の政党間で認識が異なるから、今回の結果次第でどうなる、と言う事でもなさそうだ。
いや、結果次第で、強引に改憲への流れが生まれるかも知れない。
仮に憲法が改正されて、日本が外国で戦争に参加できる国になったら、子供や孫には直接関係する。
しかしそれでも若者の選挙に対する関心は薄いから、今の老人がどうのこうの言っても、
直接痛い目をみるのは今の若い世代以降だろう。
政治にむなしさを感じるのは今に限った事ではないが、原因はなんだろうと思う。
まず一人(一政党)に政治を委ねなければいけない問題だが、
これは究極的には問題毎に直接選挙で決めるしかない。つまりは古代に遡り、村規模のシステムの全員参加に戻ることだが、
今は高度情報化によってそういうシステムを取り入れる事は可能だ。つまりやる気だけだ。
そしてキャッチフレーズ政治の問題だが、これは選挙民の意識、程度問題に尽きる。
今問題になっている年金問題にしても、「百年安心」などと説明したワンフレーズも問題だったし、2千万円問題にしても、
それだけが先行して問題の本質が隠されてしまっている。
老後に安心して暮らすには「2千万円必要だ」との中身も判らないで、
ただ「2千万円必要だ」とのフレーズばかりが飛び交うのは馬鹿げている。
問題になっている2千万円の根拠を見ると正社員として働いていた夫婦の年金(国民年金と企業年金を合わせた額)を
夫婦合わせて月21万円と仮定して、
その夫婦が安心した老後を過ごすために不足する金額として挙げたのが「2千万円必要だ」なのだ。
だけど日本社会で正社員として働いていた労働者の割合はどのくらいなのか。
正社員として働いていたとしても、国民年金以外に企業年金を貰える年金生活者の割合はどのくらいなのか。
それは議論に含まれていない。
日本社会を形成する多くの労働者の割合は中小企業で勤めている労働者が圧倒的に多い。
中小企業でも大企業に負けない企業年金をだす処もあるだろうが、多くは貧弱であり、そもそも企業年金はない、
と言う中小企業も多いと聞く。
その他にも、国民年金だけと言う年金生活者は、例え夫婦で満額貰えたとしても月14万円程度の年金額だ。
そして現在多くの派遣労働者が急増している社会で、まともに、真剣に、正直に、
こうした方々の老後の生活について議論すべきではないか。
つまり労働者の置かれた立場は様々で、決してワンフレーズで語られる問題ではない。
そもそも2千万円問題が答申されたのは金融庁の審議会だと聞く。
この低金利の時代でも日本では投資に対する抵抗感がつよいから、
少しでも個人資産を投資に向かわせよとする審議会だったのだ。
この手の政府による審議会は、多くの場合、ある意図をもって行われるもので、
結果年金行政とは別次元の内容になり、これまで説明してきた年金行政とはつじつまが合わなくなり、
政府は慌てて答申は受け取らないと言う事となったのだろう。
また憲法問題にしても、中身がちっとも見えてこない。
与党からは「自衛隊を明記する」と言うフレーズは聞こえて、「自衛隊そのものは今とは変わらない」と言うが、
それではどうして改正したいのか全く不思議だ。
無論、憲法には9条だけではなく、基本的な条項が色々あるから、何をどうかえるのか、
条項毎に国民に明らかにして、極端に言えば条項毎の賛否を取るべきだ、と思う。
と書いてきて、こんなに難しくややこしい問題に直面する政治家は大変だな、
と思い、今の政治家に任せていてもいいのかと心配になる。
自分はそんな立場に身を置きたくはないが、誰かを択ばなければいけないのも憂鬱だ。
お前が選んだ議員が賛成したんだから、間接的にお前も賛成なんだろう、と言われるのもしゃくだ。
*
参議院選挙と同時に「日韓経済紛争?」が勃発した。
雰囲気的にそちらの方に国民の関心が移っているように思える。
これも参議院選挙を睨んで、政府が仕組んだ紛争なのだろうか。
政治家のやる事はトランプ大統領を見ていると、何事も自分が再選されるようなに、
と言った行動や発言のように見えてしまう。
政治家とは何処の国でもそのようだが、兎に角政権を維持する事が第一の命題なのだ。
ベネゼエラのように国民の事は二の次、とならないように選挙民は賢くならなければいけない。
<K.K>
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