「文学横浜の会」

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2019年 9月16日


「再び、水素社会の実現へ」

 台風15号による房総半島全域に及ぶ被害は他人事ではない。

 地球温暖化による自然災害の大規模化、広域化が言われて久しいが、正にそうした災害が日本で発生した。 日本だけでなくこうした自然災害、大雨、高温、巨大台風等による被害が地球規模で起きている。

今回の台風被害は想定外の強風による被害だが、想定外と言う言葉を聞く度に虚しい気持ちになる。 人間が自然と対峙する際に、全ての自然災害を人間の力で食い止める事は不可能であり、 この程度の対策を取れば、等と考えるのは自然に対しておこがましい事だ。 人間に出来る事と言えば、災害に対して、如何に実害を少なくする事だ。

それで今回の災害で、如何に現代人は電気なくしては生きられないという事さらけ出したと言う事だ。 災害のあった地域では、1週間経った今もって電気が使用できない地域があり、断水している地域もあると言う。

温暖化をすぐに止める事はできない。 ならば被災後のダメージを少なくする社会構造にしなければいけない。

今回の災害でまず思う事は、電力を送電する仕組みの問題である。 日本の送電の仕組みは、地方に巨大な発電所を作り、多くの鉄塔を通して都市部へ送電する仕組みである。 今回の災害ではその鉄塔の幾つかが倒壊し、木々をなぎ倒したことによって、広域に渡り電力の供給が出来なくなった。

今回は強風によるが、地震によっても送電麻痺のリスクはある。 先の東日本大震災によって都市部が計画停電をせざるをえなくなり、北海道地震により北海道全域が停電した、 所謂、ブラックアウトも経験した。 と言う事は今の送電システムでは都市部全域がブラックアウトの危険性もある。 すぐ回復できるならいいが、全域に及ぶ停電発生だと、回復には多くの日数を要する、と見た方がいい。

そういう事を考えれば我々は危うい環境の中で生活をしている言わなければいけない。 安い電力を使い、電力に依存した生活をしている宿命かもしれないが、手を拱いているだけではいけない。

つまり電力に依存する生活を続けるのなら、近くで電力を供給できる体制を作るに限る。 そんなの無理だ、と言うかもしれないが、可能である。

例えて言えば、水素社会を打ち立てる事だ。 一例をあげれば水素エンジン車を普及させて、各家庭に水素発電機を備える。 或いは各家庭に水素発電機を設置して必要電力を発電する。 多量の電力を発電して、多くの無駄な電力を作る今のシステムを改める。

水素は太陽や風力等、あらゆる自然エネルギーを使用して作ればいい。 化石燃料を燃やす今のシステムは地球温暖化の元凶でもあり、地球に優しい電力を作る。

最も、問題はまだ沢山ある。主な問題点は、
・自然エネルギーから水素を作る費用の軽減
・水素の安全に保存するシステムの確立
・化石燃料の利権を持つ企業、国家の抵抗
等である。

これらの問題点は必ず解決できる。 日本は世界に先駆けて、研究開発を進め、水素社会の先駆けになるべきだ。

そしてそのシステムを世界の最貧国に届け、水素を輸入すればいい。 現在のように地下資源の在り無しで、国家間の対立を煽るような事はなくしたい。 太陽光や風はどこの国にも平等に存在する。

日本の為にも世界の為にも、水素社会を実現すべきだ。

<K.K>


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