「文学横浜の会」

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2020年 6月14日


「新型コロナ騒ぎで見えてきたこと」

 おかしな夢を見た。

亡くなった爺さんが、「国から俺に10万円もくれるなんておかしい」と言い、
申請書(特別定額給付金)は出さないと言い張っている。

「お爺ちゃん、これは国民みんなにくれるんだから、」といくら言っても納得しない。

「そんなおかしなお金を貰ったら、きっと戦争か何かに駆り出られる」等とお爺ちゃんは言い張る。

ぼくは笑って、
「もうそんな時代ではないよ、仮にそうだとしても、もうお爺ちゃんはそんなところには行けないし、 そんな心配はしなくていいんだよ」

「いやいや、お上がタダでお金をくれるなんて、絶対におかしい。
きっと何かあるに違いない。
確かに俺はもう役立たずだが、子供達や子孫に禍が及んだらどうする。
俺は絶対に申請しない!」

「困ったなぁ。それじゃあぼくが代わりに貰っていいかい。」

「駄目だ、駄目だ。
お前の子供や孫が国から酷い目にあったらどうする。」

「もうそんな時代じゃないって。
爺ちゃんは戦争時代に生きたからそう思うかも知れないけど、 もうそんな時代じゃないよ。
日本が新型コロナで大変だから、国がみんなにくれるんだよ。」

「いやいや、お上が何もしないでお金をくれるなんて、どう考えてもおかしい。」

「まだそんな事を言う。困ったなぁ。
みんな喜んで貰っているのに、惚けてるからかなぁ。 認知症なんだからぼくの言う通りにしてくれ!」

と当惑している自分を感じて目が覚めた。

 *

ぼくの所にも「特別定額給付金申請書」が届いた。 無論、申請したが、夢のせいばかりでなく、なんとなくいいのかな、と言う気持ちがある。

年金生活者のぼくが言うのはけったいだが、この新型コロナ騒ぎで、多くの方が職を失い、 収入を閉ざされ、大変な目に遭っている。

そうした中でも、たいした金額ではないが年金は頂いているし、そこそこの生活は維持できている。 そうした中で申請書は出したが、貰ってもいいのかな、と感じた方も多かろう。

貰えるものは貰うのは権利だが、しかしその財源は国民の払う税金である。 最も今の日本の財政は税金だけでは賄いきれず、多くを国債と言う借金で賄っているのが現状だ。

その借金たる国債発行額は国民総生産額の約2倍になる。 1倍でも大事で、国によってはハイパーインフレの引き金になりさえする。 そのハイパーインフレは日本では戦後の混乱時に経験し、近年アルゼンチン等の国でも起こった。 借金が膨らむと、貨幣価値を極端に下げる事によって国の借金を減らす事で、国内は大混乱に陥る。

日本の財政に占める借金の比率は世界一で、自慢できる事ではない。

もう忘れかけているが、日本の借金を少しでも減らそうとして、徐々にインフレを起こそうと、 アベノミクスとやらでインフレ率を2%程度に上げようとした。 しかしその政策も達成されないままに起きたこのコロナ騒ぎだ。 アベノミクス政策で国の国債額は膨らみ、成果が出ない中での新型コロナ騒ぎで、日本の借金は更に膨らむ。

このコロナ騒ぎで世界各国は財政出動に走り、借金が膨らんだ。 このまま借金を膨らます事は出来ないので、各国とも税収アップを検討しているようだ。

日本も当然今のような収支アンバランスを放置できない。 欧州ではこれ以上の消費税(20%ぐらい)をアップできないので、他の税(例えば富裕税)も考えているとの報道もある。

日本も他国以上に収支バランスを正常化しなければいけないのに、政治家は概して後ろ向きだ。 ハイパーインフレが起これば、極端に言えば、それまで貯えていた財産は全て無価値になってしまう。 そうなれば蓄えを年金の足しに生きている年金生活者が最も影響を受ける。
夢の中のお爺ちゃんの憂いも笑えなくなるだろう。

そんな折、我が家にも「アベノマスク」とやらが届いた。首相が発言して何ヵ月経っただろう。 これにも百億を超す予算が使われているのだが、もう「いらないよ」と言いたい!

 *

今回の新型コロナ騒ぎでは貧富の格差問題がクローズアップされている。
富める者より、より貧しい者の死傷者が多いのだそうだ。
幸い日本では、と言うより東アジアでは欧州、南北アメリカ地域と比べると死傷者数は少ないが、 貧富の格差問題は共通している。

そうした中で世界は流動している。
貧富の格差問題と人種差別問題がリンクされて、世界の若者が動き出している。 これからどんな流れになるのか見極めなければいけないが、歴史の転換点になるやも知れない。

日本においても、格差問題を解消するために、真剣に富裕税のような税を検討すべき時だ。
世界の何処の国よりも借金を抱えている日本が率先して、改革に取り組むべき時だと思う。

<K.K>


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