「文学横浜の会」
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2020年 9月17日
「菅首相、誕生」
菅新首相が誕生した。
安倍前首相の辞任発表から、あれよあれよという間に菅氏の名前が大きくなり、安部政権の後継総理としての地位を確実にし、
菅首相の誕生まで一月掛からなかった。まぁ、混乱なく新政権が誕生した事は悪い事ではない。
安部政権の継承とは言うが、長期政権に蔓延っていた忖度政治だけは継承してほしくないが、
権力に群がる体質は複雑だから、新首相の手腕が問われる。
新首相の当面の主な政策はコロナの収束は無論だが、デジタル化の推進、官僚による縦割り行政の打破、が上げられている。
Iデジタル化の推進の中には携帯料金の引き下げもふくまれているから、大いに期待したいが、果たしてどうなるかだ。
想えば、安部政権の7年間は数々の政策のオンパレードだった。最初の「美しい日本」発言に始まり、
「地方の活性化」「女性活躍社会」「IT先進国の創設」「一億総活躍社会」「アベノミクスによる物価上昇率2%を目指す」等等。
あとはすっかり忘れたが、内閣改造毎に喧伝されたフレーズだ。
中でも「アベノミクス」だけが途中で切り離されて、国債をじゃぶじゃぶ投入して円安・株高に誘導する政策がより大きくなった。
これは世界各国とも似たようなもので、自国通貨安への政策が大勢を占めている。
アベノミクスによって物価上昇率2%を目指す政策を試みたのは、世界一多い借金を相対的に減らすためだったと思う。
しかしながら物価上昇率は2%に程遠く、デフレを止めた程度だ。お金をじゃぶじゃぶ市場に流した割に、
国民の平均収入は寧ろ減ったのではないか。つまり株高誘導は、資産を持つ者と持たざる者の格差を広げた。
これは世界的な傾向である。
そしてこのコロナ騒ぎで、各国政府は更なる財政出動をしいられている。
日本の財政事情はまともに考えれば「風前の灯」と言った状況だろう。
現に借金が国民総生産額の150%余りで財政破綻した国はいくつもある。
これからの政権は誰が担当しようと、財政破綻の危機を懸念しながら国政に取り組まなければならない。
最も、日本ではそんな状況がずっと続いているので。国民も政府も麻痺している。
戦時国債を乱発し戦後の混乱を招いたように、一度大混乱が起きればそれでチャラになる、とでも思っているのかも知れない。
さて、菅新首相に望む事は、掲げた政策を着実に実行してほしいと言う事だ。
幸いにもと言うか、日本は大変な借金を抱えているのに、財政破綻、ハイパーインフレが起きないのは、
世界の国々からそれなりの信用を得ているからに違いない。
そして日本が世界から得ている信用は戦後の国民がこつこつと働いたからに違いない。
しかしその信用も永遠と言うわけではない。残された時間は少ないかも知れない。
少なくとも20年は続くであろう少子高齢化の問題を念頭に、50年後、
100年後を見据えた新しい国造りに真摯に取り組んでほしい。
そのためには目前の問題を一つづつ解決して行くしかない。
<K.K>
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