「文学横浜の会」
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2020年10月14日
「妄想」
今朝、ブファナ国政府が画期的な兵器を開発したと発表した。
同国政府の発表によると、この兵器は地球上のあらゆる生物を消滅させる威力があり、
あくまでも同国の防衛のための兵器で、いかなる国をも攻撃するものではない、と併せて表明した。
同声明によると、天才的な同国の科学者が発見した物質は、一瞬のうちに空気に紛れ込んで拡散し、
それを止めることは理論的に不可能だと証明され、まさに人類史上恐るべき革新的な発見である。
この発見はいかなる国際科学学会および科学論文誌にも公開されされることはない。
もとより他国の科学者によって模倣拡散される事を危惧するからである。
この物質の爆発散布により、地球上の如何なる生物の生存も不可能となり、従って人類も滅亡に至る、と警告する。
ブファナ国政府は、同国に敵対する、如何なる攻撃に対しても断固たる反撃をする権限を有するが、
同国が致命的な損害を被る場合には、即座にあらゆる反撃を行う権利があり、同兵器を使用すると宣言する。
つまり我が国を滅ぼそうと意図する国に対しての最大最強の反撃に他ならない。
我が国は如何なる覇権主義も拒否し、平和な世界に貢献するために新兵器を保持するものである。
なお、当兵器に関する実験は行わない。
つまり失敗しない限り、空気を必要とする全ての地球上の生命体は絶滅するからである。
元より我が国も例外ではない。
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こんな妄想を抱いたのは、ロシアが高速弾道弾の開発に成功した、と言うニュースに接したからだ。
音速の4・5倍の速さで、目標物を破壊する高速弾道弾の開発成功したと。
現在のミサイルでは撃ち落とす事は不可能だとする。
解説では、そうした兵器はアメリカや中国でも開発中だと述べる。と言う事はいずれ両国でも開発され、
兵器産業の維持推進のために輸出され広まるだろう。
そして高速弾道弾を撃ち落とすための超高速ミサイルの開発も進めているだろう。
リアルの世界は兵器の発展の歴史であり、より殺傷力が強く、破壊力の大きな兵器を生み出してきた歴史でもある。
科学はそのために発展してきたのか、科学の進展によってそのような破壊兵器の生産が可能になったのかは兎も角、
このまま行くと、行きつくところは人類は自らを消滅させる兵器に行きつくに違いない。
それも平和を守るため、自国の領土・国民を守るためと称して。
人類の猜疑心・集団性は人類が生き延びることができた大きな要素だが、人類の殺し合いの大きな要素でもある。
そう思えて仕方ない。
<K.K>
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