「文学横浜の会」

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2020年11月17日


「アメリカの民主力」

 アメリカの新しい大統領が決まったようだ。

「決まった」と言えないのは、トランプ大統領がまだ敗北を認めていないからで、アメリカでは相手が敗北を認めて、 それから勝者が勝利宣言するのが決まりらしい。 だから今回のように難癖を付けて、何時までも敗北を認めないとこう言う事になる。 正当な理由や証拠があって法廷闘争になると…、正式に決まるのが遅れる。

アメリカの大統領を決めるルールは、どうやら常識的な人間を念頭にした決まりのようだ。 しかし今回のように根拠も、たいした証拠もないのに法廷闘争に訴える、つまり常識的な思考を持たない人間だと、 新しい政権移行にも移れない。それともトランプ大統領には何か確かな理由があるのだろうか。

トランプ大統領がこうした行動をとる一端は、敗れたとは言え7千万を超える票を得たからに違いない。 前回より1千万多いと言うから驚きだ。投票の始まる前から不正を行っていると相手をこき下ろし、 自分の支持者を煽っていた。

トランプ個人の魅力と併せて、見えすいた嘘でも、それを信じてしまう支持者がいるのも確かだが、 今のアメリカに不満を持っている国民も多いと言う事なのだろう。 多民族国家故の、日本では考えられない多くの問題を抱えているのは間違いない。

今後もトランプ的な大統領が生まれる可能性はあるが、 そんな人物を再選させない底力もアメリカにはある、と言う事も分かった。 それがアメリカの民主力、底力なのかも知れない。

歴史を振り返れば、ヒトラーの政権や日本における軍国主義政権等、反対する勢力を徹底的に弾圧したが、 一方で当時の国民は熱狂的に政権を支持した。 いづれも国内に問題を抱えて、トランプの支持者のように熱狂的な支持者がいた結果に違いない。 仮にアメリカが民主主義国家でなく、中国やロシアのような全体主義的、強権国家だとしたら、 考えるだけで恐ろしい。

アメリカからのニュースをみていると、物事の何が真実なのか、それを見極める事が本当に難しい世の中になった。 我々も一つのメディアだけでなく、異なる見方も積極的に接する必要がある。

ネット情報だけではダメだ !!!

<K.K>


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