「文学横浜の会」

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2021年12月19日


「気になる事」

 コロナが蔓延して丸二年経った。

その間変異を重ねて、今オミクロン株が世界に蔓延していると言う。オミクロン株にはワクチンの効き目はそれ程ない、 との報道もあり、国としても3度目のワクチン接種へと進めているようだ。 日本では感染者数はまだそれ程ではないが、諸外国ではコロナの感染者数は増えている。 日本もこの先安閑としてはいられないが、旅行業界やサービス業界の苦境を思えば複雑だ。

感染症を収束させるのは困難だそうだが、これからコロナと付き合っていくにはワクチンに頼るしかないようだ。 日本発のワクチン開発も進んでいるようだが、早くても来年夏以降になりそうで、来年も外国産のワクチンに頼るしかない。

このコロナ禍の中、収入の途絶えた人たちが数多くいるとのことだ。 特に若い世代で、家賃が払えなくなり住む家を失ったり、日々の食べ物にも困窮する者も多くいると言う。 そういう人たちは、多くは非正規労働者或いは個人飲食店に雇われていた人で、 二・三十代の若者も多く、家族にも頼れず中々表面には出てこないが深刻な事態だ。

18歳以下を対象に10万円の給付が行われるが、そうした生活困窮者へのセイフティーネットの充実こそが大事なのだが、 取り敢えずせめて給付金なりを早急に支給すべきではないか。 その上で、兎に角、格差問題を内包した社会の中で、国としてのセイフティーネットを制度として整える事が急務だ。 貧困の連鎖を断つ政策こそ大事だと、このコロナが教えてくれているように思える。

コロナによって職を失った被害者の中には就職氷河期と言われた世代も多く、彼等彼女等ももう4・50代になる。 家族の問題を含めて個人の努力ではどうにもならない事も、複雑化した社会ではあり得る事で、 職を失った子供等になんの責任もない。貧困の連鎖に繋げてはいけない。

平穏にしていられるのも、生活を支えてくれた両親がいて、就職にも恵まれた時代だっただけなのかも知れない。
と自戒し困っている方に手を差し伸べるべきではないか、と気になる。

 一方、国の財政問題を思うとこれまた暗澹となる。

今回のコロナ騒ぎになる前から、国の借金はGDPの2倍余りで、世界のどこの国より多い。 それに今回のコロナで更に増える。経済学者の中にはまだまだ日本は大丈夫だという学者もいるが、本当に大丈夫なのだろうか。 ある日突然ハイパーインフレが起こらないのだろうか。

杞憂ならいいが、いずれ謝金は返さなければいけない。 どんな風に返すのか、将来的には子や孫の世代につけわ廻っていくのだろうが、それまで借金を増やし続けられるのだろうか。 ぼくが生きている間に、戦後の大混乱のようなことが起きるのか、それが気になる。

本当に心配だけど、政治家はそういう事を与野党とも議論しているのだろうか。
その事が一番気になる。

 *

こんなことを書いている間にまたまた悲惨な事件が起こった。コロナのによる社会不安の反映だとみる向きもあるが、 同感、全く無関係ではないと思う。

報道を聞いて思うのだが、犯罪の手段について詳細に報道し過ぎではないか、と思う。 こういう社会になると社会に、或いは漠然と不安に思っている人は多くいるだろう。 中には自棄に陥った者も出るだろう。そうした者にわざわざ犯罪を誘発させるようになりやしないか、と危惧する。

最も犯罪そのものは報道すべきだが、どのようにして、どういう方法で、と細々と報道する必要はあるのだろうか。
その事もいつも気になる。

<K.K>


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