「文学横浜の会」

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2023年 1月16日


「今、日本がすべき事」

 明治維新を経て日本はアジアでいち早く西洋文明を取り入れて目覚ましい発展をとげ、 そして先の敗戦で国土が荒廃するまでが70有余年。 そして敗戦から目覚ましい経済発展を遂げたが、現在の少子化と経済の低迷に至るまでが70有余年。

ここにきてやっと賃金引上げへの動きが見えはするが、働く者の平均年収が隣の韓国より低い現状を見ると、 いかにこの数十年、日本の経済が停滞しているかが判る。 年収は通貨レートや、高齢者の退職などにもよるだろうが、日本の産業に一時の勢いが無いのは明らかだ。

歴史をどの地点で区切るかによって見方は変わるだろうが、昨年からのロシアのウクライナへの侵略戦争が、 世界に大きな影響を与えているのは間違いない。 そして台頭してきた中国とアメリカとの覇権争いもこれからの日本に大きな影を落としている。

人類の歴史が戦いの歴史、覇権争いの歴史だとみれば、何処の国も自国の防衛、 自国民を守る為に防衛費の増額に動いているのは道理だろう。 戦争を仕掛ける方はいつも自国の防衛なのだ。

ロシアのウクライナへの侵略にしても、表向きの理由は、自国民を守るための軍事進攻、と称している。 国家間の紛争となれば史的な背景、民族、宗教等が絡まってとても複雑だ。 領土的野心、偏った民族主義思想が今の時代に突如現れた、と言うのがロシアの軍事進攻ではなかろうか。

一方で中国の台湾への自国意識への執着は国力の増大と共に強くなっている。 国力と共に軍事力の増大が台湾への強硬姿勢になっているのだろうが、隣国ゆえに日本としても大いに関心を持たざるを得ない。 中国が力ずくでとなれば、アメリカの出方によっては日本の立場は争いの前面にたたされる危険性を含む。

それらを通して今の状況を新戦前と称する向きもあるようだ。

70年前の戦争と違うのは双方に原子爆弾を持っている事だろう。 双方がそれを打ち合えば双方が敗者となる、と判っていても矛を収めようとはしない。 自国民から軟弱だとのそしりをあびるからだ。 自国民に原爆を使用すればどんな事態が生じるのか正しい知識を与えていないから、そのような事になる。

つまりは情報化の時代であっても、自由に情報が伝えられない、偏った情報しか与えていない国家、が問題なのだ。 とは言え、そうした国家は現に存在している。なんとも厄介な事だ。

でも日本にできる事は、唯一被爆国として原爆の恐ろしさをそうした国々に伝える事だ。 どんな手段でも構わない。原爆を使用したら双方が甚大な被害を受ける、と真実を伝える必要がある。

軍事費の何パーセントかを割いて、どんな手段を用いても真実を伝える必要がある。

<K.K>


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