「文学横浜の会」
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2023年 6月14日
「近未来、考」
年々、新しい何かが出てくる。これからの世界を変革するかも知れない新しい技術だ。
少し前はドローンの技術であり、今はAIの技術だ。どちらも今急に出てきたものではないが、
その技術的な進歩には目を見張るものがある。
AIについて言えば「チャットGPT」に代表される生成AI技術の急速な進歩だ。
AI技術といえば、およそもう40年も前になるが、その頃やっとAI技術開発等の言葉が出てきて、AIに適したマシンの開発、
つまり推論に適したマシンの開発等といわれた時代だ。そうした計算機の開発もなされたと記憶している。
しかしマシン、つまりその後の計算機(PC)の性能の向上は目覚ましく、推論に要する時間に耐える性能となり、
またインターネット、データーベース技術の進歩や普及もあって、大量の情報を瞬時に検索する事が可能になった。
40年ほど前のAI技術と言えば、三段論法を活用したもので、法廷等で過去の判例を基に判決を下す手助けをする、
と言うような活用が考えられていたと記憶する。
それを考えれば現在の生成AI技術は文章を作ってくれると言う優れものだ。
旅行プランも条件を入れれば瞬時に作ってくれるし、
物語の大体のあらすじを書いて脚本を書いてくれ、と指示を出せば脚本も作ってくれる。
なんとも夢のような技術だ。これからも様々な分野での活用法が出てくるだろうが、それで職を失う者もでてくるかも知れない。
様々な問題を含みつつ、AI技術はどんどん進化するだろう。
そうした動向はもう止めようもなく、社会に様々な変化を齎すに違いない。
過渡期にはそうした技術から取り残されるのは高齢者だし、
制度的な問題も起こるだろう。例えば自動運転による事故の責任の所在とか…。
現在の技術革新がどんどん進めば、所謂、単純作業は少なくなっていく。
産業の効率化のために、一人当たりの生産性向上のために、単純作業は機械に置き換えられて行くだろう。
となれば人間はより複雑な仕事に、言い換えればより想像力の必要な職に就かなければいけなくなる。
とは言え、人間はそう簡単に技術を身につける事はできないし、すべてが総て、想像力の職種に向いている訳ではない。
と言う事は、これからは如何に人間のできる仕事を多くの人に振り向ける施策が重要になるだろう。
人間は目的を持って、仕事をしなければ生きていけない生き物だ。ただ生活費を与えればいい、と言うものではない。
一方、ドローン技術の進歩は産業に浸透し、既に産業の安全性に貢献している。
空飛ぶ車の存在はドローン技術なくしては実現できないだろうし、
リモートコントロールによるドローン技術の活用は農業、産業分野での活用も進んでいる。
一方、ウクライナの戦場ではドローンの活用も進んでいて、無人機での兵器と共に、
これからの戦争を根本から変えてしまうのではないかと思われている。なんとも厄介な事だが、これが現実でもある。
我々は宇宙から監視され、街中の監視カメラで、そして小型化したドローンによって見張られる世界に生きている。
無論、為政者がそうしようと思えばの話だが…。
<K.K>
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