「文学横浜の会」

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2023年10月17日


「明るいニュースに飢えている」

 なにか明るい話題はないものかと考えたが、やはり藤井名人の8冠ぐらいしかない。

21才での8冠だからどれ程の才なのかと、将棋に疎い者でもその才能にはかり知れないもの感じて嬉しくなる。 将棋を知らない女性までもが、藤井8冠に熱狂しているのは明るいニュースに飢えているからに違いない。

大リーグ大谷選手の二刀流への挑戦、そして日本人、いや東洋人として初めてのホームラン王獲得も、 日本を明るくしてくれた。日本、いや世界中が今明るいニュースに飢えている。

それと言うのもロシアのウクライナへの侵略戦争や、そしてイスラエルと隣国との多年に亙る紛争激化により、 今、世界は危険な流れに傾きかけているからだ。国家の制度、価値観や理念が異なるのは、 それぞれの国の成り立ちが異なことからして、それは当然のことだ。

それなのにそれらの相違を力づくで解決しようとしているのが、ロシアであり、イスラエルであり、 イスラエルに対峙している国々の強硬派と呼ばれる組織だ。 ユダヤの地をめぐる戦いの歴史はローマ帝国時代、いやもっと以前からあると言うのだから、その根は深い。

そして20世紀に入ってのイスラエル建国によって、強制的に追い出されたアラブ人との争いは今に続いている。 それが今回の中東の混乱のそもそもの遠因だが、問題はアメリカやロシアといった大国が絡んでもbb代の複雑さは増している。

何れにしろ何時の時代にあっても被害を受けるのは一般の人々なのだ。 日本のように「和を持って貴しとす」と言うようにはならないものかと思うのだが、 現実は力をもって、つまりは戦争で勝った方が正義だ、とする考えの方が強い。

一言に「和を持って貴しとす」と言っても、 双方がそうした考えを理解しなければ成り立たないからだ。 強硬派と言われる、自分達の考えが絶対に正しいとする者達の政権が一国でも出来ると、 国家間の均衡は保たれなくなる。戦争とはそうした状況の表れなのだ、とも言える。

国家という概念が無くなれば、国家間の戦争も無くなるだろううが、それは現状では考えられない。 だから結局は地球上で暮らしている限り、国家間の争いは絶えない、とする意見もある。

一説によれば、地球上で争いが無くなるのは地球外生命が現れ、地球の生命体に挑んできた時だと言う者もいる。 そうなれば地球上で争ってばかりいられなくなる、と言う事らしい。

そう考えれば人間は宇宙に跳び出るしかない。
月に人間が住み、火星に人間が出掛ける日もそう遠くない未来かも知れない。

<K.K>


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