「文学横浜の会」

特集

「 箱 根 駅 伝 」

INDEX 「箱根駅伝」(面白さ、今年の見どころ、予想)

 特集、箱根駅伝 <2001年を振り返って>

  目次

 <総論>
 <往路>
 ・1区  ・2区  ・3区  ・4区  ・5区
 <復路>
 ・6区  ・7区  ・8区  ・9区  ・10区

<総論>

 今年も二・三日と5時間半、二日で十一時間余りテレビの前に釘付けになった。 一日の全日本実業団駅伝と併せて、 一年を通して最もテレビと向かい合う日だ。そんな駅伝ファンも多い事だろう。

 熱気が冷めて、振り返ってみれば順当な結果に終った。 そして今年も様々なドラマがあり、「箱根駅伝」の面白さを充分に堪能できた。

私自身の勝手な予想から大きく外れたのは東海大の棄権、往路での大東大・神大の苦戦、 早大のシード落ちがあげられる。 法大の往路3位・総合4位は見ていて気持のいい誤算だった。 2区を走った徳本以外にも充分に戦える戦力が整っていた事を実証した。

 初出場ながら外国からの留学生二人の活躍により往路を盛り上げた平国大、 一度も繰り上げスタートする事なく襷を繋いだ國學院大の頑張りも注目に値する。 年々高速化する中で、初出場で繰り上げスタートなしで襷を繋げた事は大きな自信になるだろう。

留学生の出場には色々な声を聞くが、人数の歯止めがあれば、なんの問題もない。 外からの刺激を受けて、国内の選手も大いに競ってほしい。 何より同年代の学生なのだ。 世界で活躍する事が念頭にあれば、どしどし外国から有望な選手を入れて競う事は益ある事だ。

残念な事に、東海大が2区で棄権した。テレビのコメントによると、前日38度の高熱があり、 監督も予定通り起用するかどうか迷ったそうである。 結果的には判断ミスと言わざるをえない。 20キロを超すレースでは、そうした判断ミスも命取りとなる。

動向が注目されていた早大の佐藤(敦)も、結局走らなかった。 期待されていただけに、チームにとっても本人にとっても辛かっただろう。 でも、チームは無事にゴールしたのだから、懸命な選択だったと言える。 箱根駅伝とは言え、いやどんなレースでも選手生命を掛けてまで走る必要はない。

<往路>

 1区での区間賞争い、2区でのエース対決、 そして5区での中大、順大、法大の激しいトップ争いが見ている者を釘付けにした。 百キロ余りを走ってのこのデットヒートは、まさに箱根駅伝の醍醐味だろう。

他に往路で目についたのは法大・平国大の頑張り、前評判の高かった大東大の意外な展開、 そして神大の出遅れがあげられる。

 今回は3区からの風が選手を苦しめ、走りそのものを狂わせた事は間違いない。 毎回風の影響はあるものの、今回のような強風は珍しい。

・1区、2区

 毎回、1区の出足によってその後のレース展開に大きな影響を与えるが、 今回は20秒以内に8チームが入ってきた。 という事は、今回に限って言えば2区を合わせた1・2区がレースの流れを作る区間だったと言える。

 毎回一部の飛び出しはあるものの、有力校は堅実な走りに徹して前に出て行かないのだが、 今回は中大・野村が積極的に前に出て集団を引っ張った。 各校も当然付いて行き、大きな集団がそのまま後半まで続いた。

ラスト二百メートルでの中大・野村、神大・飯島とのデッドヒートは見ものだった。 同タイムながら、僅差で野村が区間賞を取ったが、他の区間なら区間賞は二人となっていただろう。

 2区のトップ争いも見ものだった。 学生長距離界のエースが揃って、まさに意地の張り合い、我慢比べ。 有力校が僅差で2区に襷を繋げたから、 中大・板山、神大・相馬、法大・徳本、駒大・神屋、順大・岩水らがすぐトップグループを形成し、 そのすぐ後ろを帝京大・谷川、日大・藤井、その約3分後を平国大・カーニーが追う展開となった。

トップグループから相馬、岩水がまず落ちて、板山・徳本・神屋の三人に絞られた。 更に板山が落ちて、二人の一騎打ちとなった。 そこからラスト一キロ辺りで徳本が抜け出し、2位駒大に10秒差で3区に繋げる。

2区を終ってトップの法大から4位の中大までが1分以内。この4校がトップグループだった。 力の差、或いは選手のコンデションによっては、 2分の差も軽くひっくり返ってしまうのが箱根駅伝だから、 この時点での7位の日体大までがまだトップグループと言えない事もなかった。

区間賞は平国大・カーニ−が2位・徳本を1分15秒余りの差をつけて獲得。  

・3区

 海沿いに出て、風の影響をもろに受けるようになった。 このような環境下では、トップグループを走っている選手と、 その他の選手との走りに違いが出て来るのはやむを得まい。 それがタイム差となってくる。

1位の法大・竹崎は2位順大・河村とタイム差10秒で襷を受け、 2位に上がった中大・村本との差を約50秒に広げて4区に繋げる。 トップ効果もあるのだろうが、それにしても区間賞の走りは見事と言う他ない。

・4区

 この区間は強風をものともしない順大・野口の走りにつきる。 区間賞の走りで、トップ法大・中村と約2分余りあった差を29秒まで詰める。 中村の走りも決して悪くなかったが、それを超える野口の走りだった。 このような選手を何人抱えているかがチームの強さだ。

 また中大・池田も中村と同じようなタイムで走り、 その差を1分10秒に留めて5区・藤原に繋いだ。 前回の実績からすればトップを狙うには充分なタイム差だった。

・5区

 終ってみれば、中大・藤原の期待通りの走りだった。 順大・野口もそうだが、こう言う選手を多く抱えているチームが強い。 襷を受けた時には姿も見えない相手を追って、除々に差を詰め、 襷を渡す時にはしっかりと背後を捕らえる。 あるいは逆転してしまう。まさに箱根駅伝の醍醐味だ。 藤原自身の調子は余り良くなかったそうだが…。

藤原は山登りのスペシャリストと言うが、上りきってからのスピードが他を圧倒している。 きっと心肺機能が優れているのだろう。まさに長距離選手と言える。 来年は是非2区を走って、他校のエースと競ってほしい。

法大・大村の頑張りも賞賛に値しよう。チームを奮い立たせたに違いない。  藤原とデッドヒートを展開した順大・奥田の力走も印象に残る。

区間賞は藤原を2秒上回った拓大・杉山。

<復路>

 特に印象に残っているのは、6区順大・宮井の昨年の借りを返すとばかりの走り、 9区駒大・高橋(正)のガッツ溢れる走り、 それに10区での山梨大・長谷のブレーキだ。

前評判の高かった大東大は往路13位で開き直ったか、復路2位の走りで総合6位。 同じく往路12位と出遅れた神大も、復路3位の走りで総合5位。 これが箱根駅伝の怖さだ。 有力校と言えども、間違えばシード落ちも覚悟しなければならない。

 持ち駒の多さが結局は順大の勝利を齎したのだが、 他大学につけ入る隙がなかったかと言えば、そうとは言えない。 復路のスタート時点では、1位・中大、2位・順大(8秒差)、 3位・法大(55秒差)、4位・駒大(2分24秒差)で、 優勝はこの4チームに絞られていた。

山を下った時点で、宮井の快走によってトップは順大に代わったが、 2位中大との差はまだ36秒余り。 3位・駒大との差は3分8秒(実際は法大のスタート遅れで4位)。 まだまだ充分にトップを覗える位置にありながら、攻めの姿勢が見られなかったのが残念だ。

9区で駒大の高橋が意地を見せてくれたが、レースの主導権は順大に移っていたように思える。 力の差だと言ってしまえばそれまでだが…。

箱根駅伝では、どんな位置にあっても黙々と走り、 確実に前を詰めていく、そんな選手を何人抱えているかがチームの強さだ。 トラックなどとは違い、力と精神力とコンデションが良くなければ難しい。

・6区

 前回と同じように、永井と宮井の並走となったが、今回は宮井が勝った。 前回の永井の記録を上回るタイムで走り出し、そのまま崩れる事無くゴール。 8秒とは言えトップでスタートした永井は安全にと自重したのだろうか。 それとも突っ込み過ぎと、宮井を追わなかったのだろうか。

いずれにしろ、前回のような粘りが感じられなかった。 このあたりは1日置いた微妙な心理差もあったと思われる。

区間賞は大東大・金子。

・7区

 前を行く順大・坂井、追う駒大・揖斐の構図になった。 その間に中大・杉山がいたのだが、高校時代のあの切れのある走りは見られなかった。 昨年から故障が多く、やっと出てきたと言うから、やむを得ないか。

偶然かも知れないが、高校時代に活躍した杉山、揖斐、早大・中尾がこの区間を走った。 杉山、中尾も大学に入学して以来、これと言った実績を上げていない。 高校時代の活躍を知っている陸上ファンには一寸さみしい。まだまだ活躍する機会はある。 活躍を待っているファンもきっと多くいる。体調管理をしっかりして、練習に励んでほしい。

 スタート直後はペースの上がらない揖斐だったが、途中、 コーチのアドバイスでペースを上げたのには力を感じた。 十キロを過ぎてからのペースアップは力が無ければできない。

神大・吉村の区間2位の走りも特筆に値する。 チームに勢いをつけるだけでなくシード入りの功労者だろう。

区間賞は駒大・揖斐。

・8区

 襷を受けた時点で、2位中大・花田とは2分12秒、3位駒大・武井との差は2分47秒。 前を行く順大・榊枝を武井が追って行く。 直線の道で遠くに見える差だが、力の差があれば確実に差を詰め、逆転可能な差だ。

武井は区間賞の走りで、2位の上がりトップとの差を28秒に詰める。 

・9区

 この区間は区間賞を獲得した駒大・高橋の走りに尽きる。 襷を受けた時点から、まるで怒っているような形相で走り出し、 オーバーペースではないかと思われる走りで、みるみる前を行く順大・高橋との差を詰めて行く。

少々オーバーペースでも、前に喰らい付いていこうとする勇気ある走りには、 見ている者をぞくぞくさせた。 相手は実績ある順大の高橋だから、その気合には脱帽だ。 優勝への執念が走りになったのだろう。 またそれを可能にさせたのも、しっかりとした日頃の練習があったからに違いない。

 ラスト1キロ辺りでスパートして、順大を突き放す。

・10区

 トップ駒大・高橋と約17秒差で順大・宮崎。その差をみるみる詰めて、並走が続く。 しかし二人の走力の差は明らかだった。暫く並走した後、だんだん離れて勝負は決まった。 勝手な事を言わせて貰えれば、もっと粘って、9区の走りを受け継いでほしかった。

区間賞は大東大・真名子。 

(金田)


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