コントラクトブリッジ

改訂:2004/08/19-24  


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ミニブリッジをプレイされる方には,ミニブリッジとコントラクトブリッジの違いから説明したほうが分かりやすいでしょう.次の順序で説明します.


@ミニブリッジとどこが違うか
Aオークション
Bスコア
Cこれからどうするか
Dブリッジの面白さ

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■ミニブリッジとどこが違うか

ミニブリッジのゲームの流れは下図のように4つの過程に分けられます.

@ カードを配る
A コントラクトとデクレアラーを決める
B コントラクト攻防のプレイをする
C 結果を評価する

コントラクトブリッジもゲームの運びは同じですが,次の点が違います.

@ コントラクトはオークションで決める.
A コントラクトはパートスコアの種類が増え,スラムがある.
B ダミーのハンドはオープニングリードの後で公開する.
C スコアの付け方が複雑になる.

以下,順に説明しましょう.

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●コントラクトはオークションで決める

ミニブリッジでは,デーラーから順に自分のHCPをアナウンスして,デクレアラーを決めました.そして,ダミーがハンドを公開して,デクレアラーはダミーのハンドをみて,コントラクトを決めました.HCPの多いほうがプレイします.

コントラクトブリッジでは,コントラクトをオークションで決めます.デーラーから順に,4人のプレイヤーが「コール」して「コントラクト」のセリを行います.

使用できる「コール」は、1から7までの数詞、5つのデノミネーション(4種類のスーツと「ノートランプ」)を組み合わせた35の「ビッド」と、「パス」,「ダブル」,「リダブル」の3語を加えた38語しかありません.

そして、「ワン・スペード」、「ツー・ハート」、「ツー・スペード」のようにしてセリを行います。この場合、ビッドは前のビッドよりランクが高くなければなりません。そして,パスが3回続けば最後のビッドが「コントラクト」になります。

HCPの少ないペアでも,セリに勝てばコントラクトを買えます.


ビッドのランク
1C < 1D < 1H < 1S < 1NT < 2C < 2D < 2H < 2S < 2NT <
・・・
・・・・
<
6C < 6D < 6H < 6S <
6NT < 7C < 7D <7H < 7S < 7NT

オークションの例を下図に示します。

図1 オークション
W N E S
      1
2 2 パス 3
パス パス パス  

この例では、Sがデーラーで「ワン・スペード」からスタートしました.Wが「ツゥ・ハート」とオーバーコールします.そして,コールが続いて,「スリー・スペード」のあと「パス」が3回続いたので、N/Sペアが「スリー・スペード」でこのデールを落札したことになります。即ち、コントラクトは3Sで,スペードを切札にして、9トリックとることを約束します。そして,デクレアラーは最初にスペードをビッドしたSで,Nがダミーになります.

ミニブリッジではダミーのハンドをみてコントラクトをきめましたが,コントラクトブリッジでも,コントラクトを決めるには,パートナーのハンド情報が必要です.このため,オークションで使うコールにハンド情報を付加して,情報交換をしています.会話しているわけです.詳しいことは別のコーナーで説明します。

●コントラクトはパートスコアの種類が増え,スラムがある.

ミニブリッジでは,コントラクトは下表のように10種類しかありませんでした.

ミニブリッジのコントラクト
種類 コントラクト
 ゲーム   3NT, 4H, 4S, 5C, 5D
 ノーゲーム  1C, 1D, 1H, 1S, 1NT

しかし,コントラクトブリッジでは,セリでコントラクトを決めるので,パートスコアの種類が多くなります.

また6レベル以上のコントラクトをビッドして作れば,スラム・ボーナスを出すようになりました.


コントラクトブリッジのコントラクト
種類 コントラクト
 スラム  6C,6D,6H,6S,6NT; 7C,7D,7H,7S,7NT
 ゲーム  3NT, 4H, 4S, 5C, 5D
 パートスコア  1C-4C, 1D-4D, 1H-3H, 1S-3S, 1NT-2NT

●ダミーのハンドはオープニングリードの後で公開する.

ミニブリッジでは,ダミーのハンドを観察し,パートナーのHCPを考慮して,オープニング・リードができました.

コントラクトブリッジでは,オープニングリードする時,ダミーのハンドは未公開です.このため,自分のハンド,オークション,コントラクトを勘案してリードすることになるので,スーツを決めるのが難しくなります.

スーツが決まれば,カードの選ぶ要領はおなじです.

●スコアの付け方が複雑になる.

ミニブリッジでは,ボーナスは2種類,トリックスコア,ペナルテイは1種類と単純な採点方式でした.
コントラクトブリッジでは,スラムボーナスが増えたことと,バルネラブル,ダブル,リダブルの競技係数が増え,スコアが複雑になりました.ブリッジはトリックをとるゲームですが,実は,それによるスコアでゲームを決めるゲームなので,これによって,ゲームが面白くなりました.


 
  P

バルネラブルというのは.

 
  T

バルネラブルというのは,プレイ条件です.バルネラブの指定があったとき,ゲームやスラムのボーナスが増額になり,ダウンすればペナルテイも増えるのです.ハイリスク,ハイリタンです.詳しくは,採点法のところで説明します.

では,オークションについて,お話しましょう.

■オークション

オークションでは,プレイヤーは「コール」を使いますが,実はこれでハンドの情報を知らせているのです.必要な情報はHCPとスーツの枚数です.

このハンド情報の割り付け方によって,いろいろなビッデング方式があります.

現在は、「スタンダード・アメリカン」、「エイコール」、「プレシジョン」などがよく使われています。パートナー間では同一の方式を使わなければなりません。
違う方式を使えば、情報交換ができなくなります.最初は,「スタンダード・アメりカン」から始めたらよいでしょう.


  T:

前に示したオークションのコールの意味を説明しておきましょう。


W N E S
1
2 2 パス 3
パス パス パス  

「スタンダード・アメリカン」の場合,コールには次表のとおり、セリ本来の意味とハンド情報が含まれています。


ビッド セリ ハンド情報
1 スペードで7トリック スペード5枚、13-21ポイント以上。
2 ハートで8トリック ハーto5枚、10-16HCP。
2 スペードで8トリック スペード3枚、6−9ポイント。
パス(E) パス サポートできない。
3 スペードで9トリック ポイントが上限ならレイズしてください
パス(N) パス 下限なので、レイズできません。

 
  P

ポイントとは何ですか。

  T:
@絵札点だけ、
A絵札点と長いスーツ点、
B絵札点と短いスーツ点、
C絵札点と他の要素など

ミニブリッジでは,A=4; K=3; Q=2; J=1 と数値化して,ハンドの強さを示しました.コントラクトブリッジでは,右図のように,これにスーツの長短も数値化したものを付加して,ハンドの強さを表しています.これは流派によって違いますが,この数値化したものをポイントといいます.

  P

スタンダード・アメリカンもいろいろな流派があると聞きますが。

  T:

そうなんです。
スタンダードアメリカンというのは,北米で標準的に使われるビッデング方式ですが,大きく分けると,3つぐらいに分類されます.
アメリカでは、アメリカコントラクトブリッジ連盟(ACBL)が5冊のテキストを出しています。このうち,3冊はJCBLから訳本が出ています.この他にも、有名なプレイヤーやライターや,ブリッジ・スクールがテキストをだしております。

日本では,JBTA(日本ブリッジ教師会)がテキストを出しています。

  P

どういう風に違うんですか。

  T:

基本的な仕組みは同じと考えてよいでしょう.ビッドを繰り返すことで,ハンド情報の正確度を増やすしくみになっています.

ハンドの評価方法やハンドの強さの分類基準,ビッド・シーケンスの約束事の決め方などが流派により少しづつ異なります.
ハンドの強さの分類基準の違いというのは、1NTのオープンを例にとれば,15−17とする方式,16−18とする方式,これをHCPで示すか,或はポイントで評価するとか,すこしづつ違います.

ビッド・シーケンスの約束事というのは、例えば、1S:3S はゲームフォーシングなのか、リミット・レイズなのかといったことです。

いずれにせよ,ビッドが示す「ハンド情報」を理解できなければ,情報交換がうまくいかず,適正なコントラクトを買うことができません.


  P:

ところで、ゲームフォーシングとかリミットレイズってなんですか。

  T:

ビッドをしたあと、パートナーにパスされると困ることが生じます。このような時、特定のビッドに「必ずビッドを続けなさい」という要求を持たせることがあります.これをフォーシングといいます。
これには、ゲームまでビッドを続けることを要求する「ゲーム・フォーシング」と,1回ビッドすることを要求する「ワンラウンド・フォーシング」の2種類がありがあります。
ビッドの強さとスーツ枚数をほぼ正確に判断できるビッドをリミット・ビッドといいます。
リミットレイズはパートナーのスーツをサポートする時に使うリミットビッドです。例えば,ポイントは10−12で,サポートが4枚ある時に使います.
 

  P:

どの方式を覚えればよいのでしょうか。

  T:

これはパートナーと相談して、自分達にあった方式を徹底的にマスターして自分のものにすることです。

新しいパートナーとペアを組む時は、事前に打合せをして,方式の違いを確認し,修正しておく必要があります。

他の人のビッデングシステムは自分のと違うと思いなさい!!

  P:

では,スコアについて説明してください.

  T:

■スコアリング

ブリッジの採点法は、スラム・ボーナスが追加され, 競技条件にバルネラブルやペナルテイ・ダブルが設定され、ミニブリッジにくらべると複雑です。この複雑さがブリッジを面白くし、今日の隆盛をもたらしたものなのです。ブリッジは最終的にスコアを争うものですから、しっかり覚えてください。

バルネラブルはプレイの条件を定めたものです。コントラクトをつくれば、ゲームやスラムのボーナスが割増になり、つくれなければ、ペナルテイが大きくなります。

ペナルテイダブルは、オポーネントが無理にコントラクトを買おうとした時に使います。ダブルをかけられて、ダウンすると、ペナルテイが大きくなります。
例えば、バルで2ダウンすると、ペナルテイは200ですが、ダブルがかかっていると500になります。

しかし、つくればトリックスコアは2倍になります。

リダブルはダブルに対し、「いや、作ってみせる」というコールです.

スモールスラム[6C - 6NT]と グランドスラム [7C - 7NT]を作った時にスラム・ボーナスがでます。


  P:

覚えられるかな。

  T:

大丈夫ですよ。携帯用のスコア・カードもあります。
ACBLのスコア表はこちら

参考まで、デュプリケート・スコア表をまとめておきます。

(1)基本得点

トリック・スコア
マイナースーツ 20×トリック数 
メジャースーツ 30×トリック数
ノートランプ 30×トリック数+10
  • ダブルメーク  ×2
  • リダブルメーク ×4
ボーナス
  ノンバル バル
パートスコア 50 50
ゲーム 300 500
スモールスラム 500 750
グランドスラム 1000 1500
ダブルメーク 50 50
リダブルメーク 100 100

オーバートリック
  ノンバル バル
普通 トリックスコア トリックスコア
ダブル 100 200 
リダブル 200 400 


(2)コントラクトを作った時のスコア

コントラクトを作った時は上記の基本得点表から関係スコアを求め,それらを加算します.

スコア=トリックスコア+オーバートリック+ボーナス

 
  T:

例1: バルの時、3SXで10トリック取れば、スコアは


トリック・スコア
180 =30×3×2
オーバートリック 200 =200×1
ゲームボーナス 500  
メークボーナス 50  
合計 930  

となります。
リダブルなら、上記の場合は1360になります。計算してみてください。


 
  P:

それは、トリックスコアが360で、オーバートリックが400、ゲームボーナスが500、メークボーナスが100だから、でしょう。


 
  T:

そのとおり。

では,ダウンしたときのスコアを調べてみましょう.

(3)ダウンした場合

  ノンバル バル
  通常 ダブル リダブル 通常 ダブル リダブル
ペナルテイ
1 50 100 200 100 200 400
2 100 300 600 200 500 1000
3 150 500 1000 300 800 1600
4 200 800 1600 400 1100 2200
5 250 1100 2200 500 1400 2800
6 --- --- --- --- --- ---

ダブル,リダブルのしくみはつぎのようになっています.

  • リダブル=ダブル×2
  • ノンバルのダブル=100+200+200+300+300+---
  • バルのダブル=200+300+300+300+---

例2: バルの時、2ダウンした時のペナルテイは.

ペナルテイ=200+300=500500です.


これで、採点方法はおわりです。シカゴもこの採点法で計算できます。

あとは、ビッデングを覚えて実地でプレイしてみることですね。


 

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