初級室    
 

プレイ計画 

 
  2005.01.10  

 

スート・コントラクトの場合

スートコントラクトでは、最初に、トップトリックではなくルーザー数えます。そのあとの手順はノートランプの場合と同じです。


(1) ルーザーを数える。
(2) 許容ルーザー以下なら,(4)へ.
(3) 多ければ、ルーザーを減らす手法を検討・決定する。
(4) 手順を間違えないように、計画を実行する。

□ ルーザーの数え方

ルーザー(Losing Tricks)は、確実に勝てるトリックを除いたものです。(プロモーションは考慮するけど、フィネスは考慮しません。)
ルーザーは切札の長いハンド(普通、デクレアラー)を基準にして数えます。

例1.

ダミー 1096 K1096 J109 Q4
デクレアラー A5 AQJ74 A32 AK3
ルーザー 1 0 2 0

切札はハートです。ルーザーは全部で3になります。

クラブの3はダミーのQで消せますから、クラブのルーザーは0です.

例2

ダミー QJ965 K75 A54 86
デクレアラー K10732 9 K32 KQ32
ルーザー 1 1 1 3

切札がスペードです。ルーザーは全部で6です。クラブは、KAを追い出せばQがウイナーになるので、ルーザーは3になります。

□ 練習問題

次のハンドのルーザーはいくつですか。番号にさわれば、答がでます。
(1) (2) (3) (4)
QJ7
1094
A86
9765
4
A1096
9872
A865
K753
A643
K972
5
64
9876
AK72
854
AK
J76
K72
QJ1082
A86
KQJ85
A4
943
A862
K75
A104
A64
AK82
A1054
83
AK6
 
 

□ルーザーを減らす方法

ルーザーを減らすには、@ラッフィング,Aデスカーデング,それとBフィネスの3つ基本的主法があり,その方法は次表のとおりです.

手法 説明
ラッフィング 主に,ダミーでルーザーをラフする.
デスカーデング ダミーのウイナーでルーザーを捨てる.
フィネス カードパターンがフィネスに適している時,ダミー,デクレアラーの区別なく使う.

フィネスやノートランプで使った手法は、オポーネントがラフできなければ,有効です。

ラッフィングとデスカーデングの説明に入る前に、切札のドローイングを説明しておきましょう。

□切狩りのタイミング

スート・コントラクトでは、オポーネントにラフされる危険性があります。従って、スート・コントラクトでは、まず「切狩り」(Trump Drawing) して,オポーネントに切札を使わせないことを検討します。

切狩りを優先する時

  ルーザーが許容範囲内にある時.
  ダミーに短いスートがない時.


しかし,ダミーでラフする時,またデスカードする時は、「切狩り」のタイミングが大切です.

次の例は,トランプ・ドローイングを遅らせる場合です.

例1  ラフに十分な切札がない時

4H/W.   OL=J
A764
A1076
A2
AQ2
2
9543
K765
K654

ルーザーは5です。
(S=3; H=2; D=0; C=0;)

オープニングリードをダミーで勝ち、スペードをリードしてAで勝ってスペードラフします。クラブでハンドに入り、スペードをラフします。もう一度、クラブでハンドに入り、最後のスペードをラフします。
これを、先に切狩りを続行すると、オポーネントに切札のコントロールをとられ、ダミーの切札が足りなくなり3回ラフできなくなります。

例2 デスカードする時に,切札のトップカードがない時。

4H/W.   OL=Q
4
K10732
A63
KQJ10
AQ5
QJ965
954
72

ルーザーは4です。
(S=0; H=1; D=2; C=1;)

ハートとクラブのルーザーは消し様がありません。スペードのフィネが成功すれば、ダイヤモンドのルーザーをAで捨てることができます。Aで勝ち、すぐスペードをフィネスします。Qで勝てば、Aでダイヤモンドのルーザーを捨てます。切狩りすれば,フィネスするチャンスはありません.

 

例3 切狩りを途中で止める時

4S/W.   OL=K
AK876
A7
K54
QJ10
432
954
AQJ103
32

ルーザーは4あります。
(S=1; H=1; D=0; C=2;)

ルーザーを消すにはダイヤモンドのエスタブリッシュしかありません。ラフ防止のため,Aで勝ち、直ぐ2回切狩りをしますが,Qが落ちません.この場合は、切狩りを中止して、ダイヤモンドで走ります.

 
 

■ラッフィング

切札の役目は、次のとおり、デクレアラーとダミーで違います。

デクレアラーの切札 ドローイング用
ダミーの切札 ラフ用

ラッフィングはダミーで行うのが普通です。しかし、デクレアラーでラフすることもあります。

ラフするときは、オーバーラフされないよう注意しましょう。

□ダミーでラフする場合

例1

4S/W.   OL=J
AK4
AJ10987
A85
3
32
KQ6
J762
Q652

ルーザーは4です。
(S=1; H=0; D=2; C=1;)

Qをカバーすると,SKで勝ちAをリードしてきました.これをラフし,スペードをA,Kとプレイし, 4Kでラフします.あと,切狩りすればコントラクトは作れます.

例2

4S/W.   OL=Q
8764
QJ10
A2
AK32
109532
AK6
K76
65

ルーザーは5です。
(S=3; H=0; D=0; C=2;)

オポーネントのスペードが4−0でない限り、クラブのルーザーをダミーでラフすれば、ルーザーは3に減りコントラクトはつくれます。
ダミーの切札は2枚あればよいので、クラブリードをAで勝ち、直ぐ切狩りをします。そして、リード権を得るたびに、切狩りを続けます。その後で、クラブのルーザーをダミーでラフします。

例3

4H/W.   OL=K
A764
AQ1043
2
K32
10
KJ65
A7653
Q65

ルーザーは5です。
(S=3; H=0; D=0; C=2;)

オープニングリードをAで勝ち,すぐスペードをリードして.これをKでラフします.次に,スペードのAでハンドに入り(この時点で切札の分布がわかります),次のスペードのルーザーをラフします.次に,ダイヤモンドでハンドに入り,スペードをラフし,スペードのルーザーをクリアします.これで,ルーザーは2に減少し,5Hができます.

□クロスラフ

デクレアラーとダミーの両方でラフする手法です。クロスラフする場合は,対象外のスートのA,Kを事前に勝っておくことが肝要です.

例1

4S/W.   OL=4
AK873
A7632
-
J85
QJ1092
4
109543
32

ルーザーは7(S=0; H=4; D=0; C=3;)です。

ダミーでハートのルーザーをラフすれば、ルーザーは3になります。ハンドへのエントリーはダイヤモンドをラフして確保します。

例2

4H/W.   OL=6
3
AKQJ9
973
A854
A942
10872
8654
3

ルーザーは6です。
(S=0; H=0; D=3; C=3;)

クラブのルーザーをラフすれば、ルーザーは3になります。

ハンドでリード権をとるにはスペードをラフします。オープニングリードをAで取り,Aをプレイします.8をラフし,ダミーのAをプレイします.9をラフして,ハンドに入り,クラブのルーザーをラフします.これを続けてると,コントラクトはメークします.


□ダミーでラフできない場合

ダミーに短いスーツがない時は次の手段を検討します。

ルーザー 処理
許容値以下 すぐ切狩りをする。
許容値を超える時 デスカードの可能性を探す。
デクレアラー側で,ダミーのルーザーをラフする.(ダミーリバーサル)
デクレアラー側でラフして,ダミーのスートをエスタブリッシュし,デスカードを図る.
ウイナーを数えてみる.

□ダミーリバーサル

デクレアラーがラフの主体となる手法です.

例題1 デクレアラーがラフし,ダミーがドローする例

4S/W.   OL=Q
KQJ75
9
AQ53
J65
A109
A872
K84
432

ルーザーは4です。
(S=0; H=0; D=1; C=3;)

ダミーはダイヤモンドが短いけれど、ラフするのは無理でしょう。
ルーザーをダミーで数えると、ルーザーは6になります(S=0; H=3; D=0; C=3;)。しかし、ハートのルーザーをデクレアラーでラフすれば、ルーザーは3に減ります。オポーネントの切札が3−2の分かれなら、ダミーで充分ドローできます。


例題2 デクレアラーがラフとドローの中心となる例。

4S/W.   OL=Q
AK652
7
A64
A743
873
AJ95
K83
K92

ルーザーは4です。
(S=1; H=0; D=1; C=2;)

ダミーに短いスーツがないのでダミーでラフできません。また、ダミーリバーサルのように、ダミーの切札は強くありません.ここで、発想の転換です。

ウイナーを数えると、クラブが2、ダイヤモンドが2、ハートが1、スペードが2、合計7トリックあります。デクレアラーの残りの切札をハートのラフに使えば、全部で10トリックとれます。
オープニングリードをAでとり、2回切狩りします。ハートのAでダミーに入り、1回目のラフをします。Kでダミーにはいり、2回目のラフをします。次にKでとり、3回目のハートのラフをします。

例3 オポーネントの切札の分れが予想外の例

4S/W.   OL=Q
AKQ52
83
K64
A74
876
AK95
A103
932

ルーザーは3です。
(S=0; H=0; D=1; C=2;).

ルーザーが許容値なので,まず,切狩りを考えます.QAでとり、切狩りをしました。ところが、Nが2回目にダイヤモンドをデスカードしました。切札の分れが4−1です。計画の変更が必要です。
ウイナーを数えてみると8(S=3; H=2; D=2; C=1;)あります。ハンドでハートを2回ラフできれば10トリックとれます。
3回切狩りをして、Sの切札を1枚にしてから、ハートをA,K,5とプレイします。Sがラフすればクラブを捨て、フォローまたはデスカードしたら、ラフします。Sがフォローしたのでラフし、Aでダミーにはいり、最後のハートをリードします。今度は、Sがラフしたので、クラブをデスカードします。これで最後の切札とKがウイナーになります。(この手法を「クー・アン・パッサン」といいます)


□ラフィング・フィネス

オポーネントがカバーしなければ,ルーザーを捨てる手法です.
普通のフィネスと比べ,ルーザーが減るメリットがあります.

Q85
-
-
65
-
QJ
-
A32

左図で,スペードが切札です.Eから,Qをリードします.SがKをカバーしなければ,6をデスカーします.カバーすれば,ラフして,クラブでダミーに入り, J6をデスカーします.普通のフィネスでは,失敗してもルーザーの数は変わりません.


例1

5D/W.   OL=A
Q85
6
AKJ952
K65
-
AQJ103
Q10743
1032

ルーザーは6です。(S=3; H=0; D=0; C=3;).

オープニングリードをダミーでラフし,2回切狩りします.その後,A,Qとプレイします.SKをカバーしなければ,クラブをデスカードします.カバーすれば,ラフします.そして,スペードをラフして,リード権をとり,Jをプレイし,クラブを捨てます.

フィネスに失敗しても,クラブで2トリック取られるだけで,コントラクトはメークします.

例2 

4H/W.   OL=9
5
AKQJ42
Q753
43
KJ987
95
AK8
1092

ルーザーは4です。
(S=1; H=0; D=1; C=2;)

Sは1NTオーバーコールをしています.オープニングリードをQで勝ち,3回切狩りします.オポーネントの切札はクリアされました.

ここで,8をフィネスします.SはQで勝ち,クラブをA,K,Qとリードしてきました.これをラフし,ダイヤモンドでダミーに入り,Kをリードします.Sがローカードをプレイしたので,ダイヤモンドをデスカードします.Aでカバーしたら,ラフして,ダイヤモンドでダミーには入り,Jでダイヤモンドを捨てます.


□エスタブリッシュ

デクレアラーでラフして,ダミーのスートをエスタブリッシュする手法です.

例1

4S/W.   OL=Q
AQJ72
986
52
A65
K104
853
AKQ74
103

ルーザーは6です。(S=0; H=3; D=0; C=2;).

オポーネントはハートをキャシュして,クラブをリードしてきました.

Aで勝ち,2回切札をドローした後,ダイヤモンドをA,Kとキャッシュし,7をJでラフします.その後,切札でダミーに入り,ダイヤモンドでクラブのルーザーを捨てます.

 

例2

4H/W.   OL=K
72
QJ10986
52
A65
J10
AK3
AK974
J93

ルーザーは4です。
(S=2; H=0; D=0; C=2;).

オポーネントはスペードをK,Aとキャシュして,クラブをリードしてきました.

Aで勝ち,ダイヤモンドをA,Kとキャッシュし,4Qでラフします.次に,切札でダミーに入り,7をJでラフします.これで,オポーネントのダイヤモンドは5-1の分れでない限り一掃されます,10をプレイした後,ハートでダミーに入り,ダイヤモンドでクラブのルーザーを捨てます.


 

■ デスカーデング

ダミーの余っているウイナー(エクストラ・ウイナー)でルーザーを捨てる手法です。
ダミーでラフできないときは、デスカードをまず考えましょう。

5D/W  OL.=    
A3
2
KQJ108764
32
KQJ
J107654
3
A76

ルーザーは3です。
(S=0;H=1;D=1;c=1;)

許容ルーザーは2ですから、1つ多いことになります。

 

E KQJ   J Q K
W A3   A 3 *

ここで注意して欲しいのはスペードです。3はQで捨て、スペードのルーザーは0ですが、Kは余っています。これをエクストラ・ウイナーです。

このエクストラ・ウイナーで、他のスーツのルーザーを捨てるのがデスカーデングです。この例では,クラブのルーザーをすてます.

例1 すぐデスカードする例

4S/W.   OL=K
KJ1072
A62
A7
A95
Q863
875
KQ94
76

ルーザーは5です。
(S=1; H=2; D=0; C=2;)

ダミーのダイヤモンドにエクストラ・ウイナーが1つあります。

直ぐAでとり、ダイヤモンドを A,K,Q とプレイして、Qでハートのルーザーを捨てます。その後で、切狩りをします。

これで、ハートのルーザーは1になり、クラブのルーザーはラフできるので、コントラクトはメークします。

この場合、デスカードする前に切狩りをしてはいけません。オポーネントは切札でリード権をとれば、残りのハートをキャッシュしてしまいます。

ダイヤモンドのリードなら、切狩りを優先します。

例2 すぐ切狩りする例。

4S/W.   OL=K
AQJ102
AKQ
943
43
8753
5
A62
K9762

ルーザーは5です。
(S=1; H=0; D=2; C=2;)

ダミーのダイヤモンドをハートでデスカードすればダイヤモンドのルーザーをラフできます。

直ぐAでとり、ハートを A,K,Q とプレイし、ダイヤモンドの6,2をすてます。それから、ダイヤモンドをラフし、Aでハンドに入り、最後のダイヤモンドをラフします。

これで、ルーザーはスペードが1、クラブが2となり、コントラクトはメークします。


□ルーザー・オン・ルーザー

これはオーバーラフの可能性がある時に有効な手法です.

例1

4S/W.   OL=10
AQ105
85
J4
AKQ83
KJ7
A10632
1032
J9

ルーザーは3です。(S=0; H=1; D=2; C=0;).

オポーネントはQ,Kと勝ち、Aをリードしてきました。デクレアラーがラフすると、切札が短くなります。

この場合、ラフせずハートをデスカードします。このあと、リード権を得たら、切狩りをしてクラブで走ります。

例2

3H/W.   OL=K
AK5
KQJ1065
653
5
432
872
84
AJ432

ルーザーは5です。
(S=1; H=1; D=3; C=0;)

ダイヤモンドをK,A,Qとリードしてきました.ダミーでラフらずに,スペードを捨てます.


 

□エクストラ・ウイナーの作り方

エクストラー・ウイナーがないときは、フィネスやエスタブリッシュで新しくエクストラウイナーを作ることができます。この場合は、オポーネントのラフやオープニングリード・スートのストッパー等を考慮しなければなりません。

例1 フィネスをする例

4S/W.   OL=Q
K10962
9
A65
KQJ10
QJ875
AQ6
432
32

ルーザーが4です。
(S=1; H=0; D=2; C=1;)

ダミーでラフできるスーツはありません。ハートのフィネスが成功すれば、A がエクストラ・ウイナーになります。すぐ、フィネスします。
フィネスの前に切札をドローすれば、ダイヤモンドを攻撃されます。

例2  ソリッド・スートを使う例

4S/W.  OL=2
AK8764
A2
K5
QJ10
32
543
AQJ1043
32

ルーザーは4です。
(S=1; H=1; D=0; C=2;)

ダイヤモンドで、ハートのルーザーをデスカードできます。
2 はシングルトンの可能性があるので、Kでとり、すぐ2回切札をドローします。オポーネンが共にフォローしました。切札は3−2の分れです。これで、ドローイングを止めて、ダイヤモンドを走りハートのルーザーを捨てます。


例3 デクレアラーがラフしてエスタウリッシュする例

4H/W.   OL=Q
K3
AKQJ952
2
A85
94
1084
A10954
Q32

ルーザーは4です。
(S=2; H=0; D=0; C=2;)

ダミーに短いスーツが無いので、ルーザーはラフで消せません。
オポーネントのダイヤモンドは7枚です。4−3の分れなら、最後のダイヤモンドはウイナーになります。Aでとり、すぐAでラフします。ダミーの切札10,8,4がエントリーになります。次のように、エントリーを確保します。
9→10(2回目のラフ)、5→8(3回目のラフ)、2→4(最後のダイヤモンドでルーザーを捨てる)。

3回ラフすれば,ダイヤモンドがエスタブリッシュし,最後のダイヤモンドでクラブのルーザーを捨てます.


 
 

■ フィネス

フィネスはスート・コントラクトでもよく使われます.

例1

4S/W.   OL=K
AQJ64
32
K63
AKJ
8753
76
A972
Q65

ルーザーは4です。
(S=1; H=2; D=1; C=0;)

オポーネントはK,Aのあと,5をリードしてきました.Aでとり,Jをフィネスします.成功すれば,Qでダミーに入り,Qをフィネスします.

例2

4S/W.   OL=Q
A10987
A654
A3
A2
QJ5
Q72
K72
K765

ルーザーは4です。
(S=1; H=3; D=0; C=0;)

オープニングリードをダミーのKでとり,Qをリードします.成功すれば,続けて,Jをリードします.

失敗すれば,Qの活用を検討します.

例3

4S/W.   OL=Q
A8743
Q54
A83
K2
J9765
J72
K7
A76

ルーザーは4です。
(S=2; H=1; D=1; C=0;)

ダミーのKで勝ち,1回,Aをプレイします.オポーネントはホローしました.ここで,切狩りは止めて,ダイヤモンドとクラブをクリアします.その後で,切札をリードします.オポーネントがハートをプレイすると,QかJのどちらかが生きます.ハート以外をリードすれば,ラフして,ハートを捨てます.(エリミネーション・プレイです.)

例4

4S/W.   OL=Q
8743
A4
Q83
AK52
AQ105
72
AKJ
7643

ルーザーは5です。
(S=2; H=1; D=0; C=2;)

ハンドのAで勝ち,10をフィネスします.オポーネントがJで勝ち,ダイヤモンドをプレイし,その後,クラブをリードしてきました.Aで勝ち,Qをフィネスします.

失敗すれば,クラブが3-3の分れであることに期待します.


 

■その他の手法

ホールドアップ、アボイダンスなどノートランプで使った手法も使われます.

□ホールドアップ

ノートランプでストッパーが不足の場合に、オポーネント間の連絡を遮断するためにホールドアップを使いました。

スートコントラクトでは切札がストッパーの役目をするので、この手法は不要と思われますが、使うことがあります。

例1

4S/W. OL=5
AQJ64
KQ
A63
1092
K105
76
942
AQJ65

ルーザーは4です。
(S=0; H=1; D=2; C=1;)

S1NTオーバーコールをコールしています.オポーネントの絵札は殆どSにあります。オポーネントのダイヤモンドは7枚。5−2の分れで、リードバックできなければ、クラブのフィネスに失敗しても、Sはダイヤモンドを返せません。

1回ホールドアップすると、案の定、S K,Jとプレイしたので、JAで勝ち、クラブのフィネスをします。これが失敗しても、オポーネントは3枚目のダイヤモンドが取れないので、ルーザーはハート、ダイヤモンド、クラブが各1で、コントラクトはつくれます。

□ダッキング

エントリーが足りない時,勝てるのに最初のトリックをわざと負ける手法です.スートコントラクトでは有効です.

例1

4S/W.   OL=4
AKJ954
A64
A
432
Q3
K972
Q7652
J5

ルーザーは5です。
(S=0; H=1; D=0; C=3;)

ハートが4-3の分れなら,コントラクトをつくれる可能性があります.オポーネントはクラブを2トリックとり,次に,他のスートをリードしてくるでしょう.ハート以外なら,ハンドで勝って,ダイヤモンドを1回負けます.このあと,切狩りを実行し,ハートで走ります.

 

□アボイダンス

アボイダンスは、ストッパーが弱いときに、危険なオポーネントへのリード権を与えないようにする手法です。スートコントラクトでも、切札が使えない場合には、この手法は有効です。

例1

4S/W.   OL=J
AQ1075
A9
K105
K65
K96
KQ
A8432
432

ルーザーは4です。
(S=0; H=0; D=1; C=3;)

クラブはSから攻められるとKはストッパーになりません。
オポーネントのダイヤモンドは5枚ですから、3−2の分れなら1回ダックすれば、エスタブリッシュできます。ハンドのAで勝ち、すぐ切狩りをしてダミーで終わるようにします。そして、2をリードし10をフィネスします。これでフィネスが失敗しても、Kはストッパーとして働きます。


□モートンフォーク

オポーネントのAの後に位置するアナーを確立するこの手法はスートコントラクトでも有効です。。

例1 

4H/W.   OL=10
K3
KJ1093
KJ83
Q5
542
Q872
AQ4
K32

ルーザーは4です。
(S=2; H=1; D=0; C=1;)

N1Sとオーバーコールしています.残りのAはすべてNにあると仮定します。

クラブでエクストラウイナーをつくるか、またはNからスペードをリードさせるとルーザーを1つ減らすことができます。

Aでとり、切札をドローします。 NAでとり、再びダイヤモンドをリードします。Qでとり、切狩りをつづけます。オポーネントの切札は2−2でした。ここで、ハンドからクラブのローをリードします。NAでとれば、クラブでエクストラウイナができるので、スペードのルーザーを捨てることができます。
Nがローをプレイしたら、Kでとり、ダイヤモンドでハンドにはいり、4枚目のダイヤモンドでクラブを捨てます。この状態で、クラブをプレイします。NAで勝ちますが、スペードをプレイせざるをえません。クラブをリードすれば、デクレアラーからスペードのルーザーを捨てます。

 

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