マイナースートのオープンに対し、レイズはレスポンスの最後の手段です。
ビッドできるメジャースーツがなく,またNTハンドでもない時に使います.
標準方式では,シングルレイズはミニマムレンジで使い、ダブルレイズはメデウムレンジ(リミットレイズ)で使います. ゲームフォーシングビッドはありません。
競技用ブリッジでは,パートスコアでの競り合いが重要です.
マイナースーツはメジャースーツに比べてランクが低いので,競り合いでは不利になります.
このため,レイズのポイントレンジを逆にするトリートメントが考案されました.すなわち、シングルレイズを強いハンドで、ダブルレイズを弱いハンドで使います。これがインバーテッド・マイナー・スーツ・レイズ[Inverted
Minors Suit Raises](Kaplan-Sheinwold
system,1958)です。
この方式を使えば,弱いハンドではオポーネントのオークションを妨害し,強いハンドでは3NTを探しやすくなります.
例1 |
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例2 |
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N |
E |
S |
W |
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N |
E |
S |
W |
1 |
/ |
2 |
/ |
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1 |
/ |
3 |
/ |
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強いハンド |
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弱いハンド |
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パートナーがレイズしたとき、オプナーは次の要領でリビッドします。
□ シングルレイズの場合
パートナーのシングルレイズはF1です。
強さは
10ポイント以上、ビッドできる新スーツがなく、サイドスーツにストッパーのないハンドと推定されます。
したがって,リビッドでは、自分のハンド情報がよく伝わるようにビッドを選びます。
その心得は、
- 3NTをねらう。このため、ストッパー情報を知らせる。
- NTコントラクトが難しいければ、スートコントラクトを目指す。
- スートコントラクトでゲームやスラムがありそうなら、コントロールを示す。
ということになります。
サイドスーツにストッパーのあるNTハンドはNTビッドをします。
ストッパーが十分でないバランスしたハンドは、ストッパーのあるスートを下からビッドします。
この場合、3NTを超えたビッドはスーツによるゲームトライまたはスラムトライになります。
ジャンプシフトはキュービッドでコントロールを示し、ダブルジャンプシフトはスプリンターになります。(合意事項)
リビッドの意味は流派によって違いますが,ここでは上述のルールに則り、次のように決めます。mはマイナースートを意味します。
□ ダブルレイズの場合
パートナーのダブルレイズは9ポイント以下です。
Minレンジなら、パスします.Medレンジ以上で、ゲームの可能性があれば3NTか、4mか5mでゲームを狙います.
3レベルの新スートはストッパー表示で,3NTトライです.
レスポンダーの心得について説明します。
レスポンダーは自分のハンドがMedかMaxか分かっているので、パートナーのハンド情報を聞けば、コントラクトを決めることができます。
□ オポーネントが介入したとき
オポーネントが介入したとき、このトリートメントを使うか否かは、流派によって違います。
ここでは、オポーネントが介入したとき、このトリートメントの使用を中止し、次のように対応します。
● オーバーコールの介入
1CオープンにRHOが1Sとオーバーコールした場合を例にとります。
レスポンス |
Pレンジ |
サポート |
説明 |
2C |
6-9 |
5枚 |
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2S |
10+ |
4枚 |
F1.キュ^ビッド |
3C |
5以下 |
6枚 |
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● テイクアウトダブルの介入
1Dオープンに
RHOがテイクアウトダブルをした場合を例にとります。
レスポンス |
Pレンジ |
サポート |
説明 |
2D |
6-9 |
4枚 |
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XX |
10HCP以上 |
不定 |
F1. (注) |
3D |
5以下 |
56枚 |
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(注)リストBのコンベンションが使えるなら、10ポイント以上でサポートがあれば、2NT(トラスコット)を使います。また、1レベルの新スーツはF1になります。
□ 前にパスしているとき
これも、流派によってその対応はまちまちですが、本講では、このトリートメントを使うことにします。ただし、シングルレイズはNFになります。
W |
N |
E |
S |
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/ |
/ |
/ |
1 |
/ |
2 |
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A6
K109
984
A10532 |
12ポイントあり、サポートも十分。
パートナーはこのビッドであなたのハンド情報を正確に読み取るでしょう。 |
□ CRISS CROSS
1C,1Dのオープンに対し、標準方式ではゲームレイズビッドがありません。
まず、スーツテイクアウトをします。そして、あとでレイズをしてフィットを示すことになります。
ジャンプシフトは17ポイント以上のスラム指向のFGですが、このポイントレンジを下げた、マイナースート・ジャンプシフトをゲームレイズに使う方法があります。この場合、新スートはアーテフィシャルで4枚を保証していません。
このビッドをクリス・クロス・レイズ[CRISS-CROSS
RAISE]といいます。
クリスクロスの例
例1 |
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例2 |
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N |
E |
S |
W |
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N |
E |
S |
W |
1 |
/ |
2 |
/ |
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1 |
/ |
3 |
/ |
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ACBLの百科事典によると、SPLINTERを使うので、これを単独で使用するプレイヤーは少ないようです。
これをインバーテッド・マイナーと組み合わせて使う場合は、下表のように、CRISS-CROSSをリミットレイズに割り当てるプレイヤーが多いようです。
この場合の各ビッドの役割は次のようになります。
(注)サポート欄の括弧はダイヤモンドの場合。
レスポンス |
Pレンジ |
サポート |
説明 |
SINGLE RAISE |
13+ |
4(4)枚 |
FG |
CRISS-CROSS |
10-12 |
5(4)枚 |
INV |
DOUBLE RAISE |
9以下 |
6(5)枚 |
NF |
つまり、シングルレイズの機能を分割し、Medレンジをクリスクロスが分担することになり、Max以上のレンジをシングルレイズが分担することになります。
これをFGに使い、シングルレイズをリミットレイズに使う例もあります。(BERRY)
□ 参考図書
- 25 MORE BRIDGE CONVENTIONS YOU SHOULD kNOW
( SEAGRAM & BIRD )
- BRIDGE CONVENTIONS FOR YOU ( KLINGER
& KAMBITES )
- MODERN BRIDGE CONVENTIONS,
( ROOT & PAVLICEK )
- TWO OVER ONE IN A NUTSHELL ( BERRY )
- THE OFFICIAL ENCYCLOPEDIA
OF BRIDGE ( ACBL )
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