プレイ計画

2004/01/20  2005/04/19  

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トランプ・コントラクトの場合

トランプ・コントラクトでは、最初に数えるのは、トップトリックではなくルーザーです。そのあとの手順はノートランプと同じです。


(1) ルーザーを数える。
(2) 許容ルーザー数との差を数える。
(3) 差があれば、ルーザーを減らす手法を検討・決定する。
(4) 手順を間違えないように、計画を実行する。

□ ルーザーの数え方

ルーザー(Losing Tricks)は、確実に勝てるトリックを除いたものです。(プロモーションは考慮するけど、フィネスは考慮しません。)
デクレアラー(普通、切札の長いハンド)を基準にして数えます。

次のデールで切札はハートです。

ダミー 1096 K1096 J109 Q4
デクレアラー A5 AQJ74 A32 AK3
ルーザー 1 0 2 0

クラブで、3はダミーのQで消せますから、ルーザーは0です。
ルーザーは全部で3です。

次の例は切札がスペードです。

ダミー QJ965 K75 A54 86
デクレアラー K10732 9 K32 KQ32
ルーザー 1 1 1 3

クラブで、KAを追い出せば、Qが勝てるので、ルーザーは3になります。ルーザーは全部で6です。

□ 練習問題

次のハンドのルーザーはいくつですか。番号にさわれば、答がでます。
(1) (2) (3) (4)
QJ7
1094
A86
9765
4
A1096
9872
A865
K753
A643
K972
5
64
9876
AK72
854
AK
J76
K72
QJ1082
A86
KQJ85
A4
943
A862
K75
A104
A64
AK82
A1054
83
AK6

 
 

■ルーザーを減らす方法

ルーザーを減らすには、新しい手法、ラッフィングとデスカーデングを使います。

ノートランプ・コントラクトで使った手法も、オポーネントがそのスーツをフォローできる場合や切札が使えない時に、有効です。

ラッフィングとデスカーデングの説明に入る前に、切札のドローイングを説明しておきましょう。

■切狩りのタイミング

トランプ・コントラクトでは、オポーネントに切札があるとラフされる危険性があります。従って、トランプ・コントラクトでは、まず「切狩り」を優先します。

ルーザーが許容範囲内にあれば、すぐ「切狩り」をしましょう。

ルーザーが多い時は、「切狩り」のタイミングが重要です。

二三、例を示しましょう。

(1) 次のデールはすぐフィネスする例です。

4H/W. OL=Q
4
K10732
A63
KQJ10
AQ5
QJ965
954
72

ルーザーは4(S=0; H=1; D=2; C=1;)です。 ハートとクラブのルーザーは消し様がありません。ダイヤモンドのルーザーはスペードのフィネが成功すれば、Aで捨てることができます。Aで勝ち、すぐスペードをフィネスします。Qで勝てば、Aでダイヤモンドのルーザーを捨てます。

 

(2) 次のデールはエスタブリッシュする前に切狩りをする例です。

4S/W. OL=K
AK8764
A7
K4
QJ10
32
954
AQJ1032
32

ルーザーは4(S=1; H=1; D=0; C=2;)あります。スペードは3−2の分かれで Qは3枚のほうにあると仮定します。ルーザーを消すにはダイヤモンドのエスタブリッシュしかありません。Aで勝ち、直ぐ2回切狩りをして、その後で、K-Aとプレイして、Q7を捨てます。

 
 

(3) 次のデールはすぐラフする例です。

4H/W. OL=J
A764
A1076
A2
AQ2
2
95432
K765
K65

ルーザーは5(S=3; H=2; D=0; C=0;)です。ダミーで勝ち、スペードをリードし,Aで勝ってスペードをリードしラフします。クラブでハンドに入り、スペードをラフします。もう一度、クラブでハンドに入り、最後のスペードをラフします。
これを、先に切狩りすると、オポーネントに切札のコントロールをとられ、ダミーの切札が足りなくなり3回ラフできなくなります。


■ラッフィング

切札の役目は、次のとおり、デクレアラーとダミーで違います。

デクレアラーの切札 ドローイング用
ダミーの切札 ラフ用

ラッフィングはダミーで行うのが普通です。しかし、デクレアラーでラフすることもあります。

ラフするときは、オーバーラフされないよう注意しましょう。

(1) 次のデールはダミーでラフする例です。ルーザーは5(S=3; H=0; D=0; C=2;)です。

4S/W. OL=Q
8764
QJ10
A2
AK32
109532
AK6
K76
65

オポーネントのスペードが4−0でない限り、クラブのルーザーをダミーでラフすれば、ルーザーは3に減りコントラクトはつくれます。
ダミーの切札は2枚あればよいので、クラブリードをAで勝ち、直ぐ切狩りします。そして、リード権を得るたびに、切狩りを続けます。(リード権はダミーでとるようにします)その後で、クラブのルーザーをダミーでラフします。


ダミーに短いスーツがない時は次の手段を検討します。

ルーザー 処理
許容値以下 すぐ切狩りをする。
許容値を超える時 デスカードの可能性を探す。
ダミーを基準にして、ルーザーを数える。
ウイナーを数える。

□ダミーリバーサル

(2) 次のデールはデクレアラーがラフし、ダミーの切札をドローに使う例です。

4S/W. OL=Q
KQJ75
9
AQ53
J65
A109
A872
K84
432

ルーザーは4(S=0; H=0; D=1; C=3;)です。ダミーはダイヤモンドが短いけれど、ラフするのは無理でしょう。
ルーザーをダミーで数えると、ルーザーは6(S=0; H=3; D=0; C=3;)になります。しかし、ハートのルーザーをデクレアラーでラフすれば、ルーザーは3に減ります。オポーネントの切札が3−2の分かれなら、ダミーで充分ドローできます。(この手法をダミーリバーサルといいます)


□クロスラフ

(3) 次のデールは両方でラフする例です。

4S/W. OL=4
AK873
A7632
-
J85
QJ1092
4
109543
32

ルーザーは7(S=0; H=4; D=0; C=3;)です。ダミーでハートのルーザーをラフすれば、ルーザーは3になります。ハンドへのエントリーにダイヤモンドをラフします。


□その他

(4) 次のデールはデクレアラーがラフする例です。

4S/W. OL=Q
AK652
7
A64
A743
873
AJ95
K83
K92

ルーザーは4(S=1; H=0; D=1; C=2;)です。ダミーに短いスーツがないのでダミーでラフできません。また、ダミーリバーサルのように、ダミーの切札は強くありません.ここで、発想の転換です。

ウイナーを数えると、クラブが2、ダイヤモンドが2、ハートが1、スペードが2、合計7トリックあります。デクレアラーの残りの切札をハートのラフに使えば、全部で10トリックとれます。
オープニングリードをAでとり、2回切狩りします。ハートのAでダミーに入り、1回目のラフをします。Kでダミーにはいり、2回目のラフをします。次にKでとり、3回目のハートのラフを行います。(オポーネントのスペードが3−2なら成立する。)


(5) 次のデールはオポーネントの切札の分れが予想外の例です。

4S/W. OL=Q
AKQ52
83
K64
A74
876
AK95
A103
932

ルーザーは3(S=0; H=0; D=1; C=2;)です。QAでとり、切狩りをしました。ところが、Nが2回目にダイヤモンドをデスカードしました。切札の分れが4−1です。計画の変更が必要です。
ウイナーを数えてみると8(S=3; H=2; D=2; C=1;)あります。ハンドでハートを2回ラフできれば10トリックとれます。
3回切狩りをして、Sの切札を1枚にしてから、ハートをA,K,5とプレイします。Sがラフすればクラブを捨て、フォローまたはデスカードしたら、ラフします。Sがフォローしたのでラフし、Aでダミーにはいり、最後のハートをリードします。今度は、Sがラフしたので、クラブをデスカードします。これで最後の切札とKがウイナーになります。(この手法をクー・アン・パッサンといいます)


(6) これはルーザをラフせずに他のルーザーを捨てる例です。上例でも使いました。

4S/W. OL=10
AQ105
85
J4
AKQ83
KJ7
A10632
1032
J9

ルーザーは3(S=0; H=1; D=2; C=0;)です。オポーネントはQ,Kと勝ち、Aをリードしてきました。デクレアラーがラフすると、切札が短くなります。

この場合、ラフせずハートをデスカードします。このあと、リード権を得たら、切狩りをしてクラブで走ります。

この手法はオーバーラフ対策にも使います。ルーザー・オン・ルーザーといいます。


 

■ デスカーデング

ダミーの余っているウイナーでルーザーを捨てる手法です。
ダミーでラフできないときは、デスカードをまず考えましょう。

KQJ
J107654
3
A76
A3
2
KQJ108764
32

このデールはHCPが21ですが、アンバランスハンドなので5Dでゲームを狙いました。
切札の長いEを基準にして、ルーザーを数えると、スペードは0、ハート、ダイアモンド、クラブが各1で、計3個です。許容ルーザーは2ですから、1つ多いことになります。

W KQJ   J Q K
E A3   A 3 *

ここで注意して欲しいのはスペードです。3はQで捨て、スペードのルーザーは0ですが、Kは余っています。これをエクストラ・ウイナーといいます。

エクストラ・ウイナーで、他のスーツのルーザーを捨てるのがデスカーデングです。

(a)    
KQJ
J10765
-
76
A3
-
8764
3

例題で、オープニングリードがダイヤモンドかハートで、クラブに触らなければ、リード権を取ったらすぐ切札をドローします。この状態が(a)です。
このあと、スペードのアナーでEのクラブをデスカードしますので、
10トリックとることができます。

(b)    
-
J107654
3
76
-
2
KQJ108764
-

オープニングリードがクラブなら、すぐスペードをキャッシュして、WのスペードでEのクラブを捨てますこの状態が(b)です。
これで、ルーザーは2つになります。

練習問題

(1) ルーザーは5(S=1; H=2; D=0; C=2;)です。

4S/W. OL=K
KJ1072
A62
A7
A95
Q863
875
KQ94
76

ダミーのダイヤモンドにエクストラ・ウイナーが1つあります。

直ぐAでとり、ダイヤモンドを A,K,Q とプレイして、Q(エクストラウイナー)でハートのルーザーを捨てます。その後で、切狩りをします。

これで、ハートのルーザーは1になり、クラブのルーザーはラフできるので、コントラクトはメークします。

この場合、デスカードする前に切狩りをしてはいけません。オポーネントは切札でリード権をとれば、残りのハートをキャッシュしてしまいます。

ダイヤモンドのリードなら、切狩りを優先します。

(2) すぐ切狩りする例です。ルーザーは5(S=1; H=0; D=2; C=2;)です。

4S/W. OL=K
AQJ102
AKQ
943
43
8753
5
A62
K9762

ダミーのダイヤモンドをハートでデスカードすればダイヤモンドのルーザーをラフできます。

直ぐAでとり、ハートを A,K,Q とプレイし、ダイヤモンドの6,2をすてます。それから、ダイヤモンドをラフし、Aでハンドに入り、最後のダイヤモンドをラフします。

これで、ルーザーはスペードが1、クラブが2となり、コントラクトはメークします。


 

□エクストラ・ウイナーの作り方

エクストラー・ウイナーがないときは、フィネスやエスタブリッシュで新しくエクストラウイナーを作ることができます。この場合は、オポーネントのラフやオープニングリード・スートのストッパー等を考慮しなければなりません。

(1) 次のデールはフィネスを使う例です。

4S/W. OL=Q
K10962
9
A65
KQJ10
QJ875
AQ6
432
32

ルーザーが4(S=1; H=0; D=2; C=1;)です。ダミーでラフできるスーツはありません。ハートのフィネスが成功すれば、A がエクストラ・ウイナーになります。すぐ、フィネスします。
フィネスの前に切札をドローすれば、ダイヤモンドを攻撃されます。


(2) 次のデールはエスタブリッシュの例です。

4S/W.OL=2
AK8764
A2
K5
QJ10
32
543
AQJ1043
32

ルーザーは4(S=1; H=1; D=0; C=2;)です。ダイヤモンドをエスタブリッシュすれば、ハートのルーザーをデスカードできます。
2 はシングルトンの可能性があるので、Kでとり、すぐ切札をドローします。オポーネンが共に2回フォローしたので,切札は3−2の分れです。もう1回切札をドローして負けます.あと,クラブで2トリックとられるだけです.このあと,ダイヤモンドで走り,ハートのルーザーを捨てます。
(2005/04/19)


(3) 次のデールはデクレアラーがラフする例です。

4H/W. OL=Q
K3
AKQJ952
2
A85
94
1084
A10954
Q32

ルーザーは4(S=2; H=0; D=0; C=2;)です。ダミーに短いスーツが無いので、ルーザーはラフで消せません。
オポーネントのダイヤモンドは7枚です。4−3の分れなら、最後のダイヤモンドはウイナーになります。Aでとり、すぐAでラフします。ダミーの切札10,8,4がエントリーになります。次のように、エントリーを確保します。
9→10(2回目のラフ)、5→8(3回目のラフ)、2→4(最後のダイヤモンドでルーザーを捨てる)。


 
 

■ノートランプで使った手法

フィネスはトランプコントラクトでもよく使われますが、ホールドアップ、アボイダンスなどノートランプで使った手法もトランプコントラクトで使います。

□ホールドアップ

ノートランプでストッパーが不足の場合に、オポーネント間の連絡を遮断するためにホールドアップを使いました。トランプコントラクトでは切札がストッパーの役目をするので、この手法は不要と思われますが、使うことがあります。

(1) 下図でルーザーは4(S=0; H=1; D=2; C=1;)です。

4S/W. OL=5
AQJ64
KQ
A63
1092
K105
76
962
AQJ65
  11  

SHCPは11で、オポーネントの絵札は殆どSにあります。オポーネントのダイヤモンドは7枚。5−2の分れで、リードバックできなければ、クラブのフィネスに失敗しても、Sはダイヤモンドを返せません。

1回ホールドアップすると、案の定、S K,Jとプレイしたので、JAで勝ち、クラブのフィネスをします。これが失敗しても、オポーネントは3枚目のダイヤモンドが取れないので、ルーザーはハート、ダイヤモンド、クラブが各1で、コントラクトはつくれます。

□アボイダンス

アボイダンスは、ストッパーが弱いときに、危険なオポーネントへのリード権を与えないようにする手法です。トランプコントラクトでも、切札が使えない場合には、この手法は有効です。

(2)次のデールで、ルーザーは4(S=0; H=0; D=1; C=3;)です。

4S/W. OL=J
AQ1075
A9
K105
K65
K96
KQ
A8432
432

クラブはSから攻められるとKはストッパーになりません。
オポーネントのダイヤモンドは5枚ですから、3−2の分れなら1回ダックすれば、エスタブリッシュできます。ハンドのAで勝ち、すぐ切狩りをしてダミーで終わるようにします。そして、2をリードし10をフィネスします。これでフィネスが失敗しても、Kはストッパーとして働きます。


□モートンフォーク

オポーネントのAの後に位置するアナーを確立するこの手法はトランプコントラクトでも有効です。。

(3) 次のデールでルーザーは4(S=2; H=1; D=0; C=1;)です。

4H/W. OL=10
  14  
K3
KJ1093
KJ83
Q5
542
Q872
AQ4
K32

NがオポーネントのHCPの大半を持っていて、Sには2HCPしかありません。残りのAはすべてNにあります。クラブでエクストラウイナーをつくるか、またはNからスペードをリードさせるとルーザーを1つ減らすことができます。

Aでとり、切札をドローします。 NAでとり、再びダイヤモンドをリードします。Qでとり、切狩りをつづけます。オポーネントの切札は2−2でした。ここで、ハンドからクラブのローをリードします。NAでとれば、クラブでエクストラウイナができるので、スペードのルーザーを捨てることができます。
Nがローをプレイしたら、Kでとり、ダイヤモンドでハンドにはいり、4枚目のダイヤモンドでクラブを捨てます。この状態で、クラブをプレイします。NAで勝ちますが、スペードをプレイせざるをえません。クラブをリードすれば、デクレアラーからスペードのルーザーを捨てます。

クラブマネージャーから:

ミニブリッジの面白さはプレイにあります。
この講座で説明した手法をマスターすれば、プレイするのが面白く、楽しくなります。
そのためには、覚えたことを使ってみることです。
カードを実際にデールして、ダブルダミーでプレイしてみるのもよいでしょうし、問題集を解いてみるのもよいでしょう。 EBUTAの問題集は解答もついているのでおすすめです。
(Publications/Teaching Materialsコーナーの
MiniBridge teaching hands.pdf を開いてみよう。)GO

 


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