トリックのとり方 1

2003/12/20   


 

ブリッジのプレイの基本は「フォローイング・スート」( Following suit ) です。

リード権をもったプレイヤーがリードすると、他のプレイヤーはそれと同じスートのカードをプレイしなければなりません。そして、そのなかで最高ランクのカードをプレイしたプレイヤーがそのトリックをとります。

指定スートのカードがなければ、任意のスートのカードをプレイしますが、たとえそれがエースでも指定スートのカードが2だけならば、2の持ち主が勝者になります。

ただし、トランプ・コントラクトでは,切札の2は指定ス−トのAに勝ちます。

これをまとめると下図のようになります。
(Nがリーダー、スペードが切札、◎印がウイナーです。)

(A) (B) (C)
N E S W
6 J K 9
     
N E S W
6 J K 2
     
N E S W
6 A 2 A
     

したがって、トリックをとるには

  • ハイカードをもっている
  • 長いスーツがある
  • 豊富な切札がある

と有利です。


 
 

■トリックをとる手段

トリックにとるには、基本的に次の4つ手段があります。

  手段 説明
(1) トップソリッド トップウイナーで勝つ。(AKQJ,AKQ)
(2) ハイカード プロモーションで勝つ。(KQJ,QJ10
フィネスで勝つ。(AQx,KQx,Kx)
(3) 長いスーツ スポットカードで勝つ。
(4) ラッフィング 切札でラフする。(注)
(注)トランプ・コントラクト専用。

 
 

■ トップソリッド

ペア間で、A,K,QまたはA,K,Q,JのようにAから連続したアナーがあればリード権を持てばすぐ続けてトリックがとれます。

(A)    
AK4 QJ52
(B)    
AKQ2 J5
AKQJ AKQJ

(C)    
AK2 QJ5
(D)    
AKQ J5
AKQ AKQ

(A)(B)は4トリックとれますが、(C)(D)は重複しているので、絵札が同じでも3トリックしかとれません。

●トリックの取る順序

上図で、(C)(D)はどちらからとっても3トリックとれますが、その他の場合は、とる順序を間違えるとトリックが予定どおりとれません。

例えば、(A)の場合、WからA,K ととれば4EQでとり、つづけてJをとることができます。これをEからQととれば3トリックしかとれません。これを「ブロッキング」といいます。(B)では、A,K,Q とプレイすると3トリックしかとれません。最初EJ からとれば4トリックとれます。

ダミーとデクレアラーで枚数が違う場合は、短い方の絵札から取りましょう。


■ ハイカード

トップアナーのないソリッド・シーケンスやソリッドでないアナーは効率よくトリックをとるための工夫が必要です。

□ プロモーション

ペア間で、ソリッド・シーケンスがあっても、トップアナーが無ければ、リード権を入手してもすぐにはトリックはとれません。
上位のトップアナーを追い出せば、ウイナーにすることができます。このため早めに上位のアナーに負けておくことが必要です。

(A)    
K1043 QJ52
(B)    
Q104 J975
KQJ10 QJ109

(A)では、オポーネントのAを追い出せば、3トリックとれます。
(B)では、オポーネントのA,Kを追い出せば、2トリックとれます。

このようにオポーネントが持っている上位のハイカードを追い出してトリックを確保する手法をプロモーションといいます。
 

 
 

□ ハイカードに向けてリードする

  KQJ2  
   
  543  

右図のNのハートは3枚連続のKQJ に2を加えたものです。 この組合せでは、Nからリードすると2トリックしかとれませんが、Sからローカードをリードすれば3トリックとれる可能性があります。Sからローカードをリードして、WがローカードをプレイしたらKをプレイします。Aをプレイしたら2をプレイします。成功したら、他のスートでSに入り、再びハートをリードします。

このようにプレイすれば、AEにあれば、2トリックしかとれませんが、AWにあれば3トリックとれます。

他の例をみてみましょう。

(A)   (B)   (C)  
  K5     QJ5     KJ6  
           
  43     432     543  

いずれも、Sからローをリードし、
(A)では、Kをプレイします。
(B)では、最初J をプレイし、次にQをプレイします。
(C)では、最初J をプレイし、次にKをプレイします。

このように、絵札が不連続やトップレスの時に、オポーネントの絵札の情報が明らかでない場合は、

絵札のあるハンドに向かってローカードをリードする。

のが基本です。

● 絵札が両方にある場合

ソリッドシーケンスが両ハンドに分かれている時、リードのガイドラインは次のとおりです。

  • 絵札の多いほうに向けてリードする。
  • 絵札が1枚なら、短い方に向けてリードする。
(A) KQ62   (B) 1054   (A)SからNに向けて、 2回ローをリードする。

(B)NからSに向けて、 2回リードする。
       
  J43     QJ32  

(C) K862   (D) Q6   (C)NからSに向けて、ローをリードする。

(D)SからNに向けて、 ローをリードする。
       
  Q4     J732  

(E) K862  
   
  Q543  

絵札が1枚で枚数が同じ時は、自分で状況を判断して決めます。
4枚ならオポーネントの分布とアナーの位置を考えてリードを決めます。(E)では、オポーネントが3−2の分れで、2枚はAxと仮定します。AxがWの可能性が強ければ、Kをフィネスし、次にダミーからローをリードしてダックします。これでQと4枚目がウイナーになります。

(F) Q62   (G) A54  
       
  J43     J103  

右図のように3枚なら、自分から行動しない方が得策でしょう。

オポーネントにリードさせるようにします。


現在では、この手法は次項のフィネスの一部として包括されています。間接フィネスということもあります。

□ フィネス

AQのように中間が抜けている組合せをテナス( Tenace )といいます。
テナスに向けてローカードをリードして下位のアナーを勝たせるプレイをフィネス( Finesse )といいます。

フィネスのパタンの主なものはつぎのとおりです。

(A)  Simple F. (B)  Double F. (C)  Combination F.
  AQ     AQ10     AJ106  
           
  43     432     543  

(A)では、Qをプレイします。
(B)では、最初10をプレイし、次にQをフィネスします。
(C)では、最初10をプレイし、次にJ をフィネスします。

(D)  Simple F.
  A32  
   
  QJ10  

(D)はこれまでの例と異なり,Sにシーケンスがあります。この場合は、SからQをリードし、Wがローカードなら、そのまま通します。これも、シンプル・フィネスです。

アナーからリードするのはシーケンスのときだけです。

(E)  Deep F.
  AQ9  
   
  432  

(E)は(B)に似ていますが、アナーが3つぬけています。この場合も、最初9をフィネスします。

 

 


練習問題 1

3NT/W 10  
643
AQ4
AQ7
AKJ8
KQ52
862
543
Q63
  3  

N3をリードしてきました。7トリックは確実です。S3HCPなのでAはありません。
したがって、ANにあります。
最初、Qで勝ち、スペードのローをリードし、Kをフィネスします。クラブをAでとり、もう一度スペードをフィネスします。これでは9トリックとれます。

練習問題 2

3NT/W 5  
A986
K3
A954
A42
KQ5
65
K73
QJ1053
  9  

N6をリードしてきました。6トリックは確実です。ダミーのKで勝ち、Q をリードします。



●絵札が分散した場合
(A)  Simple F.
Q932 AJ74

Jをフィネスし、次にAをキャッシュする。(NKxを期待して)


(B)  Combination F.
J96 K105

Jをリードし、Nがカバーしなければそのまま通す。カバーしたらKをプレイする。(965-KJ10)と等価。


(C)  2 Way F.
K109 AJ5

Qの所在が分かれば、フィネスの方向を決めることができるパタン。
QがNにあれば、Jをフィネスし、Sにあれば、10をフィネスする。

(D)  Backward F.
KJ9 A75

Qの所在がわかっていて、オポーネントがQでカバーした時のプレイ方法。
J-Q-Aとプレイする。Eから5をK9に向けてリードし、9をフィネスする。


□ よくでるパタン

(a)
62 AQ
2⇒Q。
(b)
62 K4
2⇒K。
(c)
Q6 A84
4⇒Q。
(d)
32 KJ4
2⇒J。
(e)
QJ9 A76
KがNにある確率が大きい時。
Qをリードし、Nがカバーしなければ次にJを続けます。QにKをカバーすれば、Aでとり、J9に向けて6をリードします。
(f)
K62 AJ9
QがSにある確率が大きい時。
Jをリードし、SがQをかぶせればKでとる。そして、2をリードして9をフィネスする。
(g)
KJ2 A109
Qの情報が分かってから、フィネスする方向を決める。

 


 
 

■長いスーツ

これは、オポーネントの札の分かれを利用して、長い スーツのスポットカード(アナー以外のカード)をウイナーにする手法です。
ブリッジの基本ルールはスーツ・フォローですから、オポーネントがフォローできなければ、2でも勝てます。
自分達のスートが8枚なら、オポーネントのカードは5枚です。その分布は5−0、4−1、3−2の3とおりですが、普通、3-2の分かれの頻度が一番多いのです。

      1 2 3 4 5 6  
N KQ5432   2 K Q 5 4 3  
S A6   A 6 *        
E J109   9 10 J        
W 87   7 8 *        

右図を見てください。3回ドローすれば、オポーネントのカードはなくなり、N5,4,3 がウイナーになります。

この方法は、トランプ・コントラクトでも、オポーネントに切札がなければ有効です。

この手法をエスタブリッシュメントといいます。

練習問題

1NT/W 8  
K65
K753
A103
AK8
32
642
Q75
Q7642
  11  

N10をリードしてきました。SはAでとり、J をリターンしてきました。
5トリックは確実です。オポーネントのクラブが3−2なら、クラブで走れます。
A,Kとキャッシュして、8でダミーに渡します。

 

□ オポーネントのカードの分かれ

13から自分達のカード枚数を引けば、オポーネントの枚数が分かります。この分かれ方、即ち分布の確率は次表のようになっています。

エスタブリッシュする時に、頭から取ったほうがよいかフィネスしたほうが良いかの判断をこの表を参考して決めます。

枚数 分布 確率(%)
6 6-0 1
5-1 15
4-2 48
3-3 36
5 5-0 4
4-1 28
3-2 68
4 4-0 10
3-1 50
2-2 40
3 3-0 22
2-1 78
2 2-0 48
1-1 52

(2005/03/28)

 
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