トリックのとり方 2

2003/12/6  2006/08/26  


■切札の使い方

スート・コントラクトでは、切札はオールマイテイーです。自分達だけが切札をもち、オポーネントに切札を持たせなければ理想的なプレイができます。

従って、トランプ・コントラクトのときは先ず切札をドローして、オポーネントの切札をなくすることを検討します。これを「ドローイング・トランプ ( drawing trumps )」(以下、「切狩り」と略称。)といいます。

当然、切札をドローすると、こちらの切札枚数も減りますから、切札を使う必要があるときは、このタイミングが大切です。

切札を使う必要がなければ、すぐ切狩りをしましょう。

□ 切札の役目

トランプ・コントラクトでは、切札枚数の多い方(普通はデクレアラー)でドローし、切札の少ない方(普通はダミー)でラフするのが原則です。

初心者は何でもラフしたがりますが、デクレアラー側でラフするのはドローする力を減らしていることになり、実質的にトリックは増えません。

デクレアラーがラフするのは@クロスラフとAダミー・スートのセットアップ等、特別な場合に限られます。

ダミーに短いスーツがなければ、すぐ切狩りをしましょう。

4S/W 11  
KQJ32
AK
QJ4
K32
10984
762
K73
A64
  7  

このデールでは、ルーザーは3つあります。
ダミーでラフできるスーツがありません。リード権を得たら、すぐ切狩りを開始します。

 

4S/W 11  
KQJ32
AK54
Q4
K3
1098
62
K732
A764
  7  

このデールでは、ルーザーは4です。
ダミーでハートのルーザーをラフできます。リード権を得たら、ハートをラフした後に切狩りをします。


ラフする必要がある時は、ラフが終了してから切札をドローします。

□ ドローの仕方

切札を使う必要がなければ、すぐ、切札をドローします。
キャッシュする時は、短いほうの絵札からとりましょう。

ドローするためのアナーが不十分な場合はオポーネントに制御権をとられないよう注意しましょう。

4S/W J764
(13)
 
AKQ53
83
K5
AJ63
109
J42
AQJ62
Q72
  82
(0)
 

このデールでは、ルーザーは3つあります。
オポーネントはK,Q,Aとプレイしてきました。デクレアラーはラフし、切札をA,K,Qとドローしました。Sはフォローしなかったので、JがNに残りました。

K,A,Qとプレイし、オポーネントに残っている切札でラフさせます。


■ラッフィング

切札でオポーネントのカードに勝つことをラフするといいます。

普通、ルーザーはダミーでラフします

4S/W 11  
AK943
1054
AK
QJ5
Q752
8
8432
K632
  7  

このデールで、ルーザーは4つあります。ハートが3、クラブが1、ダイヤモンドとスペードは0です。
オポーネントのスペードは4枚で普通
1−3の分れです。

ダミーのハートは1枚ですから、2ルーザーはダミーでラフできます。従って、リード権をとったら、すぐハートをプレイして、ダミーのハートをボイドにします。そのあと、切狩りしながら、ハートのルーザーを2回ラフします。

結局、ルーザーは2ルーザーに減り、コントラクトはできます。

□ラッフィング・フィネス

(A)はシンプル・フィネスのパタンですが、トランプコントラクトでは(B)のパタンがこれと同じ働きをします。
SからQをリードし、WKをカバーしたら、切札でラフします。カバーしなければ、他のスートをデスカードします。

(A) A43   (B) -
432
 
       
  QJ10     QJ10  

□ クロスラフ

ダミーの切札をドローとは関係なくラフ専用に使えれば、その枚数だけトリックがとれます。

4S/W 7  
AKQJ7
AJ873
-
A32
109842
2
QJ108
876
  12  

このデールで、ルーザーは6です。ハートが4、クラブが2、ダイヤモンドとスペードは0です。
Nはダミーのハンドをみて5をリードしました。

デクレアラアーはAでとり、AAととり、ハートの4ルーザーをラフします。デクレアラーはダイヤモンドをラフしてハートをリードします。

交互にラフするのでクロスラフ ( Cross Ruff ) といいますが、デクレアラーのラフはエントリーのためです。

クロスラフの前に、ラフ対象外のスートのウイナーをとっておくことが大切です

■ デスカーデング

味方のウイナーでルーザーを捨てる手法です。

KQJ
J107654
3
A76
A3
2
KQJ108764
32

右図は、HCPが21ですが、アンバランスハンドなのでコントラクトをにしました。
切札の長いEを基準にして、ルーザーを数えると、スペードは0、ハート、ダイアモンド、クラブが各1で、計3個です。許容ルーザーは2つですから、1つ多いことになります。

W KQJ   J Q K
E A3   A 3 *

ここで注意して欲しいのはスペードです。3Qで捨ててスペードのルーザーはすべてなくなります。しかし、Kはウイナーとして働きます。これをエクストラ・ウイナーといいます。

エクストラウイナーで、他のスーツのルーザーを捨てるのをデスカーデングといいます。この例では、ルーザーの23を捨てることができます。

(a)    
KQJ
J10

76
A3

8764
3
(b)    

J107654
3
76

2
KQJ108764

オープニングリードがダイヤモンドかハートの場合は、リード権を取ったらすぐ切札をドローします。(a)。
このあと、スペードのKでEのクラブをデスカードしますので、11トリックとることができます。

オープニングリードがクラブなら、すぐスペードをキャッシュして、WのスペードでEのクラブを捨てます。(b)。
これで、ルーザーは2つに減るのでコントラクトを作ることが出来ます。

練習問題

4S/S Q873
875
KQ94
76
 
7  10
  KJ1072
A62
A7
A95

Sを基準にしてルーザーを数えます。
スペードが1、ハートが2、ダイヤモンドが0、クラブが2で、合計5あります。
ここで、ダミーのダイヤモンドにエクストラ・ウイナーが1つあります。

ハート以外のリードなら、リード権をとれば直ぐ切札をドローして、ダイヤモンドのエクストラ・ウイナーでSのハートのルーザーを捨てます。

ハートのリードなら、切狩りせず、直ぐダイヤモンドをキャッシュしてハートのルーザーを捨てます。

□ エントリー

プロモーションやエスタブリッシュで注意しなければならないのは、エントリーの確保です。
次の例はS1NTです。

例03b A96
QJ4
A872
1062
5  12
  832
A53
Q5
KQJ84

クラブはAを追い出せば、4トリックとれます。しかし、オポーネントが3順目にAでとったとしたら、Aがなければ、残りの2トリックはとれません。W2をリードし、ダミーからQEKをプレイした時は、3をだして負けます。Aは、クラブのプロモーションのエントリーとして温存しておきます。Eがハートをリードバックしても、ダミーのJで勝ち、10をリードします。相手側がホールドアップしても、最終的にAでデクレアラーにリード権がはいります。

□ ホールドアップ

 これは、トリックを増やす手法ではありません。オポーネントのトリックをとる力を押さえ込むものです。
例えば、
    A65  
  KQJ109 876
    43  


Wはハートをプロモートしょうとして、Kをリードします。

サイドスーツにエントリーがないときは、デクレアラーは直ぐにはとりません。
Aでとって、後で、Eにリード権が移りハートを返されると、ハートで4トリックとられてしまします。
では、何巡目にAで勝てばよいのでしょうか。このガイドとして、「7のルール」というものがあります。

7のルール:
 
ホールドアップする回数 = 7-(そのスーツの味方の枚数)

この例では、2回ホールドアップし、3回目にAでとります。
ノートランプでストッパーが1つしかなく、ストッパーを使ってしまうと、リード権が相手側にとられた時、独走されてしまう場合があります。

次のディールはコントラクトが3NT/Sで、オープニングリードはKです。

742
52
A65
AJ1097
 
9  6
  AK63
A86
K92
Q43
 

目標は9トリック。ウイナーは6なので、3トリック足りない。
補充策はクラブのエスタブリッシュしかない。
SからQをリードしてフィネスがうまくいくと、4つとれる。失敗しても、3トリックはとれる。
しかし、オープニング・リードがハートなら、ストッパーは1つしかないので、フィネスに失敗して、Eにハートをリードされたら困る。
ハートは相手側に8枚あるから、4−4の分れなら、問題ないが、5−3の分れなら、ハートで4つ、クラブで1つ取られて1ダウンしてしまう。
この場合は、「7のルール」から、(7−5=2)、3巡目にAで勝ち、Qをリードします。失敗しても、Eがリードバックできるのは、 ハートが4−4の分れのときで、この場合は、ハートで3トリックしかとれない。5−3のわかれなら、Eはハートを返せない。
したがって、3NTを作ることができます。

(2006/08/26:「デスカーデング」書き換え)


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