リストB カペレッテイ 2006/12/29
  1. 説明
2. 使用条件
3. アドバンス
  4. オーバーコーラーのリビッド
5. 参考事項
 

 


1.  説明

カペレッティ( Cappelletti convention ) は1NTオープンに対するデフェンス用のコンベンションです。
このコンベンションの目的は「安全にオポーネントのオークションを妨害する」ことにあります。

このために、強い6枚の1スーターと良い5枚の2スーターがあるときに使います。
2が1スーター・オーバーコール、2222NT が2スーター・オーバーコールを示し、ダブルは特定の強いハンドを示します。


 
 

2.  使用条件

右隣オポーネント(RHO)1NT(15-17HCP)でオープンした場合、下表の条件で2レベルのオーバーコールとダブルを使います。
3レベルのオーバーコールはナチュラルです。

コール スーツ 保証枚数 HCP
2 単一スーツ 6

10-14

(注)

2 ハートとスペード 5+5
2 ハートとマイナー 5+5
2 スペードとマイナー 5+5
2NT クラブとダイヤモンド 5+5
3/// 単一スーツ 7 9以下
ダブル 7トリックとれるハンド. PEN
15HCP以上の, 走れる,強いスーツとサイドにエントリーのあるハンド。
(注):強いスーツの時や有利なバルネバビリティの場合は8HCPまで下げることがある.

【使用例 】

N E S W
1NT ?    

   Eのハンド ?
(1)   QJ985  AQ873  93  3  ( 2)
(2)   32 K73  AQ10984  92  ( 2)
(3)   AJ932 73  KQ984  9  ( 2)
(4)   3  KQ753  KQ985 65  ( 2)
(5)   AQ32 K73  A1095  Q9  ( / )
(6)   KQJ1032 K7  A4  Q92  ( X )
(7)   AQ2 KQ3  AQ84  Q92  ( X )
(8)   QJ7653 K93  84  92  ( / )

 
 

3. アドバンス

オーバーコールしたプレイヤーのパートナーをアドバンサーといい、そのコールをアドバンスといいます。
パートナーは特定枚数(6または5)のスーツを保証しているので,特別の理由がない限り,2枚でもサポートします.

3.1. 2 に対して
N E S W
1NT 2 / ?

2は6枚の良いスーツを持っていることを示しています.これに対し,2とつなぎ,パートナーに自分のスーツをビッドさせるのが原則です.

しかし,自分のハンドの状態によっては,他のコールを選ぶことができます.

 パス =良い6枚クラブの弱いハンド。
 2/2 =良い6枚メジャーの弱いハンド。
 2NT =11HCP以上、4-3-3-3。INV
 2 =上記に該当しない場合.(標準)

2NTは3枚サポートと11HCPを保証しているので,パートナーは自分たちの最適コントラクトを決めることができます.

【例題】    (1NT):2C:(/):?

   Wのハンド ?
(1)   85 65 982 KQ9753  ( / )
(2)   86 AK1086 85 9643  ( 2)
(3)   AQ8 765 982 8542  ( 2)
(4)   AQ84 K65 983 Q54  ( 2NT)
(5)   KQ865 76 984 852  ( 2)

2RHOが介入したとき
A.
N E S W
1NT 2 X ?
ダブルに対し,
7 HCP以上で,フラットなハンドなら
リダブル. これ以外はパス.
B.
N E S W
1NT 2 2 ?
オーバーコールに対しては,
原則,パス.
3.2. 2 に対して
N E S W
1NT 2 / ?

2は5枚の両メジャースーツと10-14 HCPはを保証しています.

10 TP 以下なら,2枚でもサポートします.レイズ・レベルはサポート枚数に応じて決めます.

サポートが3枚以上で,11HCP以上のハンドは2NTをビッドし,パートナーのリビッドに対しメジャー・スーツをレイズします.

この2NTは,アニュージャルNTで,パートナーはどちらかのマイナーを選択します.

レイズできない場合,または自分のハンドが良い場合,下表の コールを選び,ハンド情報を伝えます.


パス =良い6枚ダイヤモンドで,サポートが1枚以下。
 2/2 =2または3枚サポート。
 3 =良い6枚クラブで,サポートが1枚以下。
 3/3 =4枚サポート。プリエンプティブ.
 2NT @ 5+5 マイナー.F1.
A 11HCP以上、3枚サポート。F1
 4/4 =5枚サポート。プリエンプティブ.

【例題】    (1NT):2D:(/):?

   Wのハンド ?
(1)   854 65 KJ98 QJ53  ( 2)
(2)   K6 QJ108 J985 1064  ( 3)
(3)   52 5 A10982 KQ1082  (2NT)
(4)   K865 A876 A3 832  (2NT)
(5)   5 6 AQJ10852 8532  ( / )
(6)   5 52 982 AQ109853  (3 )
(7)   J6 1083 J985 A1064  ( 2)
(8)   - Q10852 J985 A863  ( 4)
3.3. 2/ 2 に対して
N E S W
1NT 2 / ?

2/ 2は,ビッドしたスーツが5枚,どちらかのマイナー・スーツが5枚,10-14 HCPを保証しています.

サポートがある場合は,下表の要領でパスまたはレイズをします.

サポートができない時( ただし,両マイナは3枚保証 ),またはマイナー・スーツを切札にしたほうが有利な場合にも,2NTをビッドして,マイナー・スーツ・アスキングをします.
強いハンドは2NTをビッドし,次回にレイズします.


 パス =2乃至3 枚サポート。7 TP 以下.
 レイズ =3 枚サポート。8-11 TP.
 2NT @ マイナー・スーツ・アスキング.F1.
A 11HCP以上、3枚サポート。F1.

【例題】    (1NT):2H:(/):?

   Wのハンド ?
(1)   54 K65 Q983 9753  ( / )
(2)   A6 J108 AJ85 964  ( 3)
(3)   854 6 QJ98 KJ654  ( 2NT)
(4)   A54 J1087 QJ9 KJ6  ( 2NT)
(5)   KQJ74 96 J98 K54  ( / )
(6)   KQ109854 87 74 62  ( 2)
(注)(6)はまれな事態.
3.4. 2NT に対して
N E S W
1NT 2NT / ?

アニュージャルNTに対する応答と同じ要領で,長いほうのマイナースーツをビッドします.

 3/3 選択.
 3/3 良い6枚スーツ.マイナーのサポートなし.NF
 4/4 アンバランス・ハンドでよいサポートあり.G/T

【例題】    (1NT):2NT:(/):?

   Wのハンド ?
(1)   654 KQ5 J98 9753  ( 3 )
(2)   2 AK2 Q9865 J1096  ( 4)
(3)   532 AQJ952 65 k6  ( 3)
3.5. ダブルに対して
N E S W
1NT X / ?

原則はパスです.


【例題】

   Wのハンド ?
(1)   54 KQ5 Q983 9753  ( / )
(2)   Q854 865 KQ3 975  ( / )

 
 

4. オーバーコーラーのリビッド

カペレッティを使った時,残されたHCP9-15の範囲です.

アドバンサーのビッドは2NT以外は10HCP以下ですから,オーバーコーラーは,キャプテンとして,コントラクトを決めなければなりません.

2NTに対しては,2枚でも,マイナーを選択します.

4.1. 2 の場合
  • 2に対しては,自分のスーツをビッドします.
  • 2/2に対しては,通常パスです.
  • 2NTに対しては,自分のスーツがメジャーで強さが上限ならゲーム・ビッドを選びます. マイナーなら,自分のスーツに戻します.
  • リダブルに対しては,ハンドの強さでコントラクトを判断します.
4.2. 2 の場合
  • 2/2に対しては,パスです.
  • 2に対しては,パスです.
  • 3/3に対しては,パスです.
  • 2NTに対しては,ベター・マイナーをビッドします.(2枚でも可)
    この後,パートナーがメジャーをレイズしたら,ハンドの強さが上限ならゲーム,下限ならパスします.
  • 4/4に対しては,パスです.

【例題】

N E S W
1NT 2 / 2NT
/ 3 / 3
/ ?    
KQ854
AK652
8
97
(4 )
KQ854
KJ652
8
97
(パス )
4.3. 2/2 の場合
  • レイズに対しては,ハンドの強さで「パス」か「ゲーム」を決めます..
  • 2NTに対しては,ベター・マイナーをビッドします.(2枚でも可)
    この後,パートナーがメジャー・スーツをレイズした時は,ハンドの強さが上限ならゲーム,下限ならパスします.

【例題】

N E S W
1NT 2 / 2NT
/ 3 / 3
/ ?    
KQ854
52
8
AK975
(4 )
AQ854
52
8
QJ1097
(パス )
4.4. 2NT の場合
  • 3/3に対しては,パスです.
  • 3/3に対しては,原則.パスです.
  • 4/4に対しては,ハンドの強さで「パス」か「ゲーム」を選択します.

 
 


5. 参考事項

5.1. 参考文献

本稿を作成した時点(2002/12)では,Landy Convention より使いやすいものがある程度の紹介でした.その後, カペレッティに関する資料を入手するにつれ,いろいろなバリエーションがあることを知り,このコンベンションを使いこなすために,記述内容を改訂しました.

カペレッティは大きく分けると,「穏健派」と「積極派」になります.

「穏健派」とはスーツ枚数が1スーターが6枚,2スーターが5枚を保証する流派を指します.

本稿では,「穏健派」に準じて,このコンベンションの使い方をまとめてみました.

参考にした主な図書は次のとおりです. (資料(1)をベースにしました.この資料は他のコンベンションの解説もあり,ACBLHPで見ることができます.)

(1) ACBL :
    THE BIDDING TOOLKIT (Cappelletti over 1NT).

(2) N.KANTAR & D.DIMITRESCU :
    The Encyclopedeia of Bridge Conventions.

(3) M.CAPPELLETTI & E.LEWIS :
    Cappelletti over No Trump

(4) B.SEAGRAM & D.BIRD:
    25 More Bridge Conventions You Should Know

(5) R.DICK:  Better Bidding for Improving Players

5.2. The Trick Ratio Principle

競り合いビデングでは「どのレベルまで競り合うか」の判断が重要になります.この手がかりの一つは「トータル・トリック則」ですが,W.JAGO"The Trick Ratio Principle " も参考になります.

これは 「9枚フィットなら23HCPで、10枚フィットなら20HCPで、10トリックをとれる」 というものです.

カペレッティを使った場合,「スーツの枚数とHCP」の情報が限定されているので,このガイドは役にたちます.

パートナーがカペレッテイで2でオーバーコールしたとき,4枚サポートなら,HCPが8-13の範囲にあれば,ゲームの可能性があることになります.

( W.JAGO: THE TRICK RATIO PRINCIPLE )

5.3. パートナー間の合意事項
5.3.1. バランシング

パートナーとの合意で,カペレッティをバランシング・シートでも使うことができます.

HCPの3点減とスーツ枚数の条件(2スーターを4+4,1スーターを5枚など)を打ち合わせておく必要があります.

5.3.2. ダブル

カペレッティのオーバーコールは強さの上限を14HCPとしているので,15HCP以上のハンドの処理を決めておく必要があります.

15HCP以上のハンドをダブルで示す流派が多いようです.

本講座のように,ダブルをペナルティとしている場合は,15HCP以上の強いハンドは2NTでオーバーコールする方法を使います.( 資料(3),(5)).

これは,3.23.3 のように,パートナーの応答に対し,新スーツをビッドして,15HCP以上の「1スーター」または「2スーター」を示すことになります.

5.3.3. オポーネントの介入

本講では,2 のオーバーコールにオポーネントが介入した例を紹介してありますが,これもパートナー間の合意事項で,流派によって処理が違います.

パートナー間で詰めておく必要があります.


(2006/12/29)

 

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