忘れ得ぬ鳥達
10,小笠原航路 
 アカオネッタイチョウ 2011・7・8  セグロミズナギドリ  2011・7・8
2011年7月6日に竹芝桟橋を出港した小笠原丸は翌7日午前中に父島に到着、その日の夕刻に南硫黄島を目指して出航しました。そして8日早朝水平線の彼方に南硫黄島の三角形の島影を望む海域まで南下していました。船が南硫黄島に接近すると島の周囲を飛ぶアカオネッタイチョウの姿を遠望することが出来ましたがやがて1羽が船に向かって飛来、殆ど船の真上を横切るように飛んでくれました。かなり大きい鳥だと感じました。太い大きな赤い嘴と長く伸びた赤くて細い尾羽が印象に残っています。その後のクルーズでも毎回この鳥を見ることが出来ました。この鳥は意外に北の海域まで飛来するようで、三宅島海域でも幼鳥を見たこともあります。
 初めて南硫黄島海域入った2011年7月8日の早朝、羽ばたきが早く直線状に飛ぶ小型のミズナギドリの群れに遭遇しました。見られればすごくラッキーと思っていたセグロミズナギドリとの出会いはあっけなく実現しました。その時まではこの鳥の鮮明な写真を持っている人はとても少なく画像は貴重なものだと聞いていたので凄く嬉しかったのです。しかしその後はこの航海でも、その後の小笠原クルーズでも比較的頻繁に見られました。この鳥はその後2018年1月25日に世界中に広く分布するこの仲間の1亜種ではなく、独立する別種であるとの論文が公表されました。日本鳥類目録の次回の改定では別種として登録されるかもしれません。このことについては「こちら」
1   クビワオオシロハラミズナギドリ 2015・9・26 ヒメクロアジサシ  2014・7・9 
3回目の小笠原航路に乗った時、航海2日目、早朝の小笠原諸島海域でこの鳥に出会うことが出来ました。この時は複数個体を見ることが出来ましたが、いずれもかなりの距離があり、鮮明な写真を撮ることは出来ませんでした。それでも下面は朝日を反射して眩しいくらいの白さが非常に目立ち、遠距離であっても見失うことはありませんでした。日本鳥類目録ではこの種名は掲載されておらずオオシロハラミズナギドリということですが、この海域で見られるのは多くの場合クビワオオシロハラミズナギドリのようで、別種とする説もあります。 硫黄島で繁殖するこの鳥は初めての小笠原、硫黄島3島クルーズの際にも硫黄島付近で見ることが出来ました。近縁のクロアジサシも同時に見ることが出来ましたが、ヒメクロアジサシの頭部の白はクロアジサシに比べてよく目立ちました。2014年7月の2回目の硫黄島3島クルーズでは硫黄島付近でこの鳥が至近距離で船を追い抜くように並行して飛んでくれ、鮮明な画像を撮影することが出来ました。クロハラアジサシと違って繁殖域が極めて限られており、見るチャンスも少ないので非常に嬉しかったです。
2011年7月に初めて小笠原、硫黄島3島航路のクルーズに参加しました。南の大海原に生活する鳥達との出会いがどんなものになるのか、高まる期待に胸が踊ったものでした。それまでは航路の経験は前年の歯舞、色丹諸島クルーズのみで南の海の鳥には会ったことはなかったのです。出発の前、この航路探鳥では6種類くらいのライファーのケットを期待していました。しかし小笠原諸島の島々の鳥も含めて期待を大きく上回る10種類もの鳥を初めて見ることが出来ました。その他このクルーズではアカアシカツオドリ、シロハラミズナギドリ、オナガミズナギドリ、シラオネッタイチョウ、シロアジサシ他など、このクルーズならではの鳥達に会うことが出来ました。現在までに3回小笠原航路に乗っていますがこの間にオガサワラヒメミズナギドリが新種として登録(日本鳥類目録改訂第7版)され、さらにはセグロミズナギドリの1亜種とされていた鳥が別種であるとの論文が発表されるなど、この航路の鳥達への興味は尽きません。特にオガサワラヒメミズナキドリは未見の種でもあり、是非もう一度この航路に乗ってみたいと思っています。(2020・6・6 記)