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Chusanの
鳥撮り見鳥 旅日記
2002年5月3日〜5日 立山室堂 戸隠

ハイマツから顔を出したライチョウのツガイ
みくりが池から大日岳方面の展望
立山の最高峰雄山の頂上をデジスコ撮影
芽吹き始めた林に姿を見せたコルリ
水浴びの後の羽繕いに余念のないコムクドリ
戸隠森林植物園のカタクリ

調布にお住まいのIさんから、連休の立山行きのお誘いを受けたのは、もう何ヶ月も前で、それ以後ライチョウが見られるかもしれない立山行きが待ち遠しくて仕方がありませんでした。。 家内に言わせると、もう10年以上前に乗鞍岳で夏のライチョウを見ていて、そのとき私が家内にライチョウを教えたというのですが、私の記憶からはそこのところが抜け落ちてしまっていて、本人の記憶に無い以上、ライチョウは未だ見ぬ鳥なのです。I さんの仲間に私が入った合計6人のおじさん集団で行くことになったのですが、千葉、東京組の4人と茨城組の2人が別々に目的地に向かい、立山駅の駐車場で午前6時に待ち合わせることになりました。 以下、日記風に楽しかった鳥見旅を綴ってみました。

5月3日
約束通り前夜、午後10時少し前に調布のI さんの家に到着、首都高が連休後半のスタートで渋滞しておりやきもきしましたが何とか間に合いました。 やがて練馬Oさん、西新井のOさんも相次いで到着、Oさんのピカピカのフォレスターの新車に乗り込んで、いざ出発。 東京組は4人で交代で運転することになりました。 八王子を過ぎても車がかなり多いようです。 後部席でうとうとしていて気が付いたら笹子トンネルにさしかかるところでしたが、トンネルを出るとさすがに車の数もややへったようですが、夜中にしてはやはり多いきがします。 順調に松本インターを降り、上高地方面に向かい、安房トンネルを抜け、R41を北上、富山に向かいます。

途中神岡付近から一時間ほど運転を担当させてもらいましたが、我が家のオンボロ車とは比べるべくも無いのですが、やはり気分がいいなぁ。 フォレスター、実は買い換えの候補No1だったのです。予定よりかなり早、4時半頃には駐車場に到着、茨城組もほぼ同じ時刻に到着し、バス乗り場に急ぎました。 早朝というのにもう駐車場は満車状態、ケーブルやバス乗り場にもたくさんの登山者が集まっています。 Oさんの事前チェックのおかげで、すべて行動はスムース、切符買う列、バスに乗る列など、列の先頭には常に我々6人のおじさん達の姿があったのでした。 
5月3日から運行されるという、室堂への直通バス、約1時間で2000mの標高差を登り切るのだからびっくりです。 常願寺川沿いの広葉樹は若葉を広げ始めており、新緑がまぶしい程でしたが、標高を上げるに従い、ブナ、白樺、ダケカンバ、そしてシラビソやモミなどの針葉樹に変わっていきます。 驚いたことに1000m以上の道路沿いに杉の老木がたくさん見られました。立山杉というのだそうです。 車窓のハイライトは有名な雪の壁、雪の大谷と言われる場所ではバスの高さの3倍はあろうかという雪の壁が見られました。

室堂を降りて目の前に広がる雄大な景色はまさに、息をのむばかり、言葉では言い表せません。 雪焼けと、雪目になるのを防ぐため、日焼け止めクリームをたっぷり塗った上に、目出し帽をすっぽりかぶり、サングラスをかけてさらに鳥見撮影用のヘッドルーペを付けた私は、いったい何者? さぞかし大げさで不思議な姿だったでしょうね。 宿に向かって歩き出し、しばらく行くと観光客が多い遊歩道のすぐ近くのハイマツの切れ目に雷鳥のツガイが姿を見せていました。 我々は待ってました戸ばかりザックをおろし機材を整えて早速写真を撮り始めました。
観光客も一緒になってカメラに収めるのは良いのですが、標準レンズなど短いレンズなので、ドンドン近づいていくし、私は逆に望遠鏡にデジカメを押し当てて撮影するので近すぎてしまい、ドンドン遠ざかる。 当然私の前に何人もの一般観光客が入ってしまい、「すみませーん、どいてくださ〜い。」等と叫ぶはめになってしまうのでした。 

お昼過ぎまでライチョウさん達に遊んでもらってから相談の結果、撮影目的は殆ど達したも同然だし、明日の天気は悪そうだし、立山での2泊3日を一日縮め、戸隠に一泊することに衆議一決。 こう言うことになると、すぐ衆議が一決してしまうのがこの世界の常でして、後はIさんのドタキャンとドタ予約の腕前に期待がかかります。この難題を、雪の高山から携帯電話一本でまとめ上げてしまったIさんには感心することしきりでした。 

方針決定で安心して宿にはいり、一休みしたあと再び外へ。今度はライチョウだけでなくカヤクグリ、イワヒバリといった高山の小鳥を観察しました。 
彼らはあまり人を恐れないので撮影にもそれほど苦労はしません。 ちょっと離れた所に現れたカヤクグリは他のと比べるとちょっと綺麗な個体でした。 Oさんも私も「とても綺麗な個体ですね。」 と、カヤクグリであることを信じて疑いません。 しばらくして別の仲間が近くに降りた鳥を見て、イワヒバリだ! それを一緒に見ていたOさんが「Chusan さっきの綺麗なカヤクグリはイワヒバリじゃないのかな?」 と それに対して私、「じゃ図鑑見てみましょうか」 とザックの奥から図鑑を引っ張り出す。 「あっやっぱりイワヒバリだ!! 得したーっ」。 いくら初めて見た鳥とは言え何とも間抜けな、バーダー、鳥撮りカメラマンにあるまじき行状なのでありました。 

期待した夕景は雲が厚く広がり空振りに終わりましたが、夕食を楽しみ、温泉につかって、昨夜からの強行軍の疲れをゆっくりと癒したのでした。 あっそうそう夕食を待つ順番もこの6人の男達は列の先頭に並んでいたのでした。 しかも指定時間の30分も前から。 この人達は何を考えてんでしょうねぇ。 でも仕方がないのです。 普段いつ姿を現すかもしれない鳥を何時間も何日もひたすら待ち続けるという習性があるのですから、つい正体を現してしまっただけなのです。

5月4日
翌朝はやはり激しい雨、予定通り朝食をとって早々に下山です。 やはり始発のバスに一番で乗り込んだ事は言うまでもありません。 下りは美女平でケーブルカーに乗り換えです。 9時半頃には再び車2台を連ねて、北陸道経由で戸隠に向かって走っていました。 立山連峰を右手に仰ぎ、黒部川を渡り、親不知の難所を通過、ひたすら走ります。雨は殆ど上がっているので午後からの戸隠での鳥見に期待がかかります。

上信越道信濃町で高速を降りた2台の車は取り付け道路から一般道路に出たところで、それぞれ反対方向に曲がってしまいました。 なんで〜っ つまり2台の車のカーナビシステムの指示が全く逆だったのです。 ここで゜カーナビシステムの仕組みについてみんながわいわいがやがや一頻り盛り上がって、ご主人様(ドライバー)に忠実なカーナビに感心することしきりとなったのです。 なにしろOさんなど、カーナビの指示など平気で無視するのですから。 無視されたカーナビさんはそれでも必死でドライバーの気持ちをくみ取り、けなげにも次々と新しい道を提案してきます。

そんなこんなで走っているうちに戸隠に近づき、同時にお昼も近づいて来るという仕掛けになっていて、名物戸隠ソバを探すことになりました。 何たって鳥よりダンゴですから。 でもどこも満杯のように見えたので、裏道には行って一見のヨサゲなそば屋に。 ところがここでは大した行列ではなかったのに、一杯のソバに費やした時間は1時間半あまり、 待つこと1時間20分、食事はたったの10分という悲惨さ、普段女房殿から「もっとゆっくり食べなさい」というご指導がこの時ほど身にしみたことはありませんでしたが、ここでも我々は並ぶ達人たる所以を遺憾なく発揮したのでした。
昼食後は先ず今夜の宿泊場所を確認した後、森林植物園を下見、私が2年前に訪れたときとは違い、雪は全くなく、ミズバショウも見事に満開になっていました。 鳥もそのときとは見られる場所も種類もかなり違っており、現地での情報に頼るしかないようです。 クロツグミの歌声、ミズバショウの湿地を歩くアカハラ、目の前で一心に囀りを聞かせてくれたアオジ、等々鳥見の名所の片鱗を見せてくれました。 


その後Oさんの案内で戸隠牧場へ、ここは彼が地面に降りてエサを採るアカゲラを初めて見たところだそうです。 ありゃっやっぱり居ました。 アカゲラが地面に降りて、一心にエサを採っています。 スコープを車に置いてきてしまったのが悔やまれました。 次いでコムクドリが数羽現れました。 営巣する穴を探しているのでしょうか? 
下見は程々に切り上げて、突如予約した宿へ。宿泊客は我々6人を含めてたった10人。 ちょっと心配になりましたが、心配ご無用、夕食は美味しいし、ボリュームも十分、風呂もいつでも入れます。 6人で12畳部屋を2部屋使えました。


5月5日
翌朝は朝食用におにぎりを用意してもらい、いざ出陣、最初に出会ったのは美しい声で囀るクロツグミでしたが、何処にいるのかわかりません。 やがてI さんが遠くの高い梢で囀る鳥を発見する。 スコープではアイリングまでもくっきり見えるようで、しばしその美しい声と姿を堪能しました。
 その後現地で偶然お会いした八王子のAさんからコルリのポイントを教えてもらったので、そこに急ぐことにする。 コルリの囀りを聴きながらの観察、撮影は今回の鳥見旅行のもう一つのハイライトになりました。 コルリは今までは水場でしか見たことがなかったのですから。

その後宿泊したホテルのおばちゃんからOさんが巧みな話術で聞き出したオオルリのポイントに移動しました。
おばちゃんの言うとおり、見事なオオルリの♂♀が現れてくれました。 近くで見つけた水場に来るマヒワなどをチェックして、次なる目的地、戸隠牧場に急ぐことにしました。 到着早々くだんのアカゲラ君に再会するも、チト遠すぎるので証拠写真程度。 あとはコムクドリの登場を待つのみとなりましたが、これが待てど暮らせど出てこない。 昼寝などしても未だ来ない。 3時半杉にやっと姿を見せたとおもったら、すぐ側を流れる水に入って水浴びを始めてしまいました。 しばらくして行水を終えたコムクちゃん、今度は羽繕いを始めました。 やがてこのコムクも飛び去り、再び「もう帰ろうか」気分が高まったのは午後4時を少し回っていたのでした。

と言うわけで連休のUターンラッシュのまっただ中に乗り入れたのですが、またまた2台のカーナビのご託宣が違ってしまいました。 しかしどうせ帰る場所は違うし、どうせ分かれるのならば早いほうがいいとばかり、おのおののカーナビの指示を尊重することにして、そこで分かれたのです。 ここでもOさんはカーナビの言うことを聞かずに裏街道を走り抜け、高速のネックを巧みに回避したのです。 戸隠森林公園では、ミズバショウが満開の他、カタクリもそこここに可憐な花をみせ、アズマイチゲ、キクザキイチゲ、リュウキンカなどの花も丁度見頃になっていて、たくさんの観光客が訪れていました。

名前や顔は知っていたのですが初めてご一緒させていただいた5人の鳥仲間の方々、本当に楽しい鳥見を有り難うございました。 また機会がありましたら声をかけてください。


5月6日22時40分  Chusan記