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Chusanの
鳥撮り見鳥 旅日記 −その2−
2002年12月29日〜1月1日 九州放浪 の巻

出水の鶴
アネハヅル
ホシムクドリ
アトリの群れ
オオズグロカモメ
カササギ
マヒワの群れ

本格的に鳥見を始めて以来、石垣島に行く以外には関東甲信越の範囲を超えて遠出をしたことはありません。 でも年末年始、まとまった休みが取れるとなると憧れの九州、北海道を踏破してみたいという思いは日増しに募るばかりでした。 第一タンチョウを除いてはまだツルを見たことがないなんて許せない。 ということで先ず九州に遠征しようと心に決めたのが秋口に入った頃でそれからの情報収集や旅行の手配も楽しみながら、ついに実現した九州鳥見旅。 以下、日記風に楽しかった鳥見旅を綴ってみました。

12月29日
今年の年末はいつもの年より一日早く休みに入ることもあって殊の外あわただしく、殆ど直前まで準備が出来なかったため休日1日目の28日はポイントの地図や現地での連絡用資料などの準備に追われました。 朝の飛行機に間に合うためには、羽田から遠い千葉県からでは始発電車でも間に合わず、JRの駅までタクシーをとばすことになります。 カメラマンの方とは比べものにはなりませんが、それでもスコープ、三脚などの機材と4日間の着替えなどで結構な荷物を背負い込む羽目になってしまいました。 そういえば今年の夏に故障して修理に出していた我がライカのスコープがなんと奇跡的に出発の3日前にはるばるドイツから戻ってきたのでした。 福岡空港でレンタカーを調達、九州鳥見旅のスタートです。
目指すはいきなり出水、しかしなんせ始めてのポイントばかりなので途中の球磨川河口の場所の確認をするために八代に立ち寄りました。潮時は干潮から上げに転じた頃で当然オオズグロカモメの姿無し。 でも、もしかしてなどと思うのでした。 そんなこんなで出水に到着は午後3時過ぎとなったのですが、鳥見民宿の駐車場に車を入れて支度を始めてひょいと隣の車をみてビックリ。 いつもお世話になっているS名さんとS石さん、高江からここへ来たとのこと。 なにかあったら情報交換することにしてとりあえず東干拓に行くことにして走り出したらすぐSさんグループから電話で民宿の前にアネハとのこと。即引き返し先ず民宿の前に居るアネハヅルをゲットできました。 少し遠いけれど優雅な姿を堪能、その後東干拓へ向かい監視小屋の付近でクロヅルを発見しました。、今度はSさんグループに連絡、さらに正面にカナダヅルを確認。 おいおい到着後まだ1時間そこそこだよってな感じで出水で見られている5種全てを見ることが出来ちゃったのです! 初めての鶴たちをジックリ観察しているとまたまたSさん達からホシムクドリの連絡があり、電話での誘導に従って狭い道や農道を走り無事ポイントに到着、初めてのホシムクドリを観察できました。 夕暮れの干拓地を2台の車を連ねて鳥見宿に帰り、夕食後は近くの温泉公衆浴場でゆったりと暖まり、スーパーでちょっとしたツマミを調達してSグループの部屋にお邪魔し、S石さんのノートPCで今日の成果を確認しながらの楽しい反省会となりました。 明日の高江行きを約して第一日目の終わりです。

12月30日
朝まだ暗いウチから民宿前の鶴たちが鳴き交わしながら次々と東干拓のエサ場に飛び立つ姿が薄明るくなった空をバックにシルエットとなって浮かび上がります。 私もそれを追うように東干拓へ向かいました。 監視小屋前のエサ場には西干拓や東干拓の奥の方から次から次へと鶴の群が降りてきてひしめき合ってエサを啄んでいます。不思議なことにあれだけ沢山の鶴たちが帯状に散布されたエサを決して手当たり次第に採るのではなく、奥の方から順序よく食べていて、決して先を争って手つかずのエサに殺到したりしないのです。 しかし狭い範囲に撒かれた餌に集中するツルの群はそれは壮観で圧倒されてしまいます。 その中からクロ、カナダ、アネハを探し出そうと試みましたが、あまりのツル込みのすごさに探し出すことなど不可能に思え、それよりもツルのマスゲームを楽しもうと、しばらくは鶴たちに見とれていたのでした。 そのうち少し奥の方に白い鳥影が現れ、確認するとクロツラヘラサギが2羽姿を見せていました。 監視員の方の話では見られるのは早朝だけで、ツルが動き出すとまもなくどこかに行ってしまうとのことでした。 今日はSさんグループが高江のカラフトワシのポイントにご一緒していただけるとのことで、宿に戻り朝食、その後民宿前でエサ場から戻ったツルを確認するとアネハヅルは昨日とほぼ同じ場所に戻ってきていました。さて、そらは雲が低くたれ込め、今にも雨が落ちてきそうな雲行き、カラフトワシのポイントに着いてみると、先着の車が一台居ます。なんと顔見知りのKご夫妻の野営用の車で、前日から見張っているのに見られないとのこと。 気温は低く、気流もなく、とても飛びそうな雰囲気ではありません。仕方なく周囲のアトリの群れやホオアカなどと遊んでもらって早々に出水に引き上げることにしました。 午後からはSさんグループの本領発揮の場面が続きます。出水周辺のポイントをくまなく案内していただき、色々な鳥を見ることが出来ました。 ハイライトはツリスガラ、久し振りにこの鳥をジックリ見ることが出来ました。さらに極めつけはキマユムシクイ。 S名さんの「あっムシクイ」の声、ついで「翼帯2本」っとポイントを突いた指摘があり、一同4人で目の前数メートルの草むらに双眼鏡を向けます。 やがて数秒間ですがはっきりと全身を見せてくれました。少し緑がかった、眉班がはっきりしたムシクイ。 S石さんがはっきりと「キマユムシクイ」と断定、車に撮影機材を取りに戻ります。しかし残念ながらその間に飛び去ってしまいました。しばらく飛んだ辺りを捜索しましたが見つからず、場所を移動、ここでキマユムシクイを再捜索するというSさんグループと分かれて再び東干拓に行きツルを観察しました。 夕食前に宿に戻りました。夜も宿泊予定であったSさんグループは一泊短縮して福岡方面に移動しましたが、今夜も夕食後再び温泉に身を沈めて疲れを癒したのでした。

12月31日
翌朝は八代の満潮が7時頃、従ってオオズグロカモメの観察時間はせいぜい9時頃までと予想して早めの朝食早々に宿を出発しました。 球磨川河口のポイントに着いたのが9時少し前、居ました居ました。スコープで干潟の上のセグロカモメの中をスキャンするとすぐに見つかりました。 確率は高いとわかっていても、やはりお目当てが見つかるとホットしますね。 ちょうど居合わせた岡山のSさんご夫妻としばらく観察、しかし一頻り観察した後安心して目を離した僅かの間にもう姿を消していました。 やはり結構きわどい時間だったようです。 その時今朝朝食をご一緒させていただいた兵庫のSさんご夫妻から連絡が入り、高江のカラフトワシが上空を飛んでいるとのこと、折角九州まで来て見ずに帰るのは悔しいので、約100キロの距離を急遽逆走して高江に向かいます。 そういえば普段お世話になっているGさん一行も連絡を入れると高江に向かっているとのこと。 約2時間後、Gさん、Nさん、Mさん等の知り合いと共にめでたくカラフトワシをジックリ観察することが出来ました。 この日は晴れ間が覗き気流がよかったせいか、ハイタカも姿を見せ、時折アトリの群の中に突入して狩りをしていました。 成功率50%位かな。 今日の宿泊予定地は福岡、高江から一挙に福岡まで走り、夕食をとったのはもう8時を過ぎていたのでした。 そして再びSさんグループと連絡を取り、明日飯田高原のキアオジで再度ご一緒していただけることになりました。 こうして九州最後の夜、大晦日は更けていったのですが当初太宰府天満宮に初詣を敢行しようなどと考えてみたものの、やはり旅の疲れがドット出て、紅白歌合戦の画面も朦朧となるうちに眠ってしまいました。

1月1日
早めに朝食をとって早々に大分道の九重ICに向かいました。 ICを降りてからは道路の凍結が心配でしたが、全く凍結しておらず快調に高度を稼ぎ程なく、9時前には現地に到着しました。 Sさんグループはすでに到着して観察ポイントに入っており、到着後すぐシラガホオジロの小群を観察できたのです。 これとて誰もいなければ探すのにも結構手間取るに違いありません。 しかしサスガに空気は身を切るように冷たく、手袋無しの手指はすぐかじかんでしまいます。 しばらくシラガホオジロの群を観察していたのですがキアオジは現れず、Sさんグループが移動した後も昼前くらいまで粘りましたが結局見ることが出来ず、次回のお楽しみと言うことで、佐賀に移動しました。 折角九州に来たのでカササギを見たいと思ったからです。 九州最後の探鳥ポイントは佐賀市の森林公園となりました。 お目当てのカササギは沢山見られ、写真も撮ることが出来て目的達成だったのですが、思いがけずマヒワの群れやキクイタダキの小群を間近に見ることが出来て、鳥見旅行掉尾を飾ってくれたのです。 後は福岡から帰るだけ、レンタカーを返し、空港で夕食をゆっくり取り、余裕を持って帰りの便に乗ることが出来ました。 元日の便だというのに満席状態です。 みんなどのようなサイクルで過ごしているのだろうなどと、自分を棚に上げて不思議に思えてきます。 この次九州を訪れるのはいつになる事やらですが、今回は全くスケジュールに入れなかった干潟にも行ってみたいし、日向灘側のポイントにも寄ってみたい・・・・・ 等々 夢が膨らむ帰りの便でした。

1月10日  Chusan記