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Chusanの
鳥撮り見鳥 旅日記 −その6−
2014年4月17日〜23日 与那国、石垣島再訪 の巻

与那国空港で
与那国で最初に出会ったヤツガシラ
宇部良岳山頂から祖納の集落
ヨナグニサン
シロガシラトビ
リゾートホテルのビーチにて
リュウキュウアカショウビン
ヒバリシギ
やいま村にて
クロツラヘラサギ
ますます増えているように感じるインドクジャク

プロローグ
前回は2010年10月、秋の与那国島を訪れてから4年。今回は春の与那国、そして半分鳥見、半分孫の顔を見るということで、石垣島を組み合わせて出掛けることにしました。色々初めての試みもありました。4月の上旬に与那国春の定番のオオチドリを確実に見ようか、それとも珍鳥狙いで下旬にしようか・・・悩んだ末に下旬にしたのですが、結果としてはこれが思わぬ鳥を石垣島で見ることになったのでした。羽田−石垣、成田−石垣をLCCが運航しています。新石垣空港が開港して以来、便の選択肢もぐ〜んと増え、決して遠隔の地ではなくなったと感じました。羽田を早朝の便で出発、那覇ワンストップ、石垣で乗り継ぎで与那国島へは13時半頃に到着しました。LCCにしたことにより1時間半ほど時間がかかりましたが費用的メリットは大きいものがあります。

4月17日(木) 与那国島へ そして探鳥開始
与那国島の天気 晴れ

前回は石垣−与那国便は羽田−石垣便と同様ジェット機(B−737)が飛び、知らなかった私は随分驚いたものですが、今回はプロペラ機でした。聞いてみると2年前からジェット機の運航は廃止されたとのことでした。空港でレンタカーを借り、機材の準備を整えていよいよ出発です。取り敢えず主なポイントを回りました。各所でお会いした先着バーダーからの情報では昨日午後、カタグロトビが見られたとのこと。期待感が高まります・・・・が、ポイントを回ってみても鳥がいません。唯一久部良漁港の草地に愛想のよいヤツガシラが出ている位でした。ムクドリ類、セキレイ、タヒバリ類、ホオジロ類が居ません。コムクドリの小群を見たのみでした。夕方近くになってカタグロトビが見られたという山裾をパトロールしてみましたがその気配はなし。姿を見せる場所も決まっていないようで、偶然に一人の方が見られたという話をあとになって聞いたにとどまりました。結局あちこち回って何も見られず、しかたなしにヤツガシラのポイントに戻って、しばらく観察してまたパトロールを続けるということを繰り返していました。明日合流する鳥友に予備情報を流しました。曰く「何もいません」と。結局ヤツガシラ以外には遠くをとぶアカガシラサギを見たくらいで与那国らしい鳥を見付けることは出来ませんでした。
それでも午後6時半頃までは走り回り宿に入ってシャワーを使いリフレッシュして、食事です。ここで思いがけず与那国と言えばこの方とも言えるU氏にお会いすることが出来ました。今までも何度かお会いしたことがありますが、食事をとりながらゆっくり色々な話を伺うことが出来ました。今年は3月、4月を通して鳥が非常に少なく、訪れたバーダーも予定を早めて島を離れることも多いとのことでした。 U氏御自身も翌日18日には一旦石垣島に移動するとのことでした。というわけで1日目は残念ながらさしたる成果もないまま終わってしまいました。

4月18日(金)  狙い:なんでもいいから鳥が出てくれれば・・・
天気:快晴

朝6時半、朝食前の探鳥は宿から程近い田原川湿地からスタートです。水田の間をゆっくり流してみても、見られるのは元気に飛び回るセッカ姿のみ。たまにシマアカモズの姿が。しかも換羽進行中のちょっとみすぼらしい姿です。朝食まで時間があるので島の東端まで足をのばしてみました。前方のブッシュの際に小さな影を見付け、慎重に近寄ってみるとキビタキ♂。当地では通過するキビタキよりも、石垣では留鳥として頻繁に見られるリュウキュウキビタキの方が見る機会は少ないとのことでした。その後朝食に戻りがてら、いくつかのポイントを確認しましたが、田原川の水田に降りていた2羽のムナグロを確認したくらいで変化はありせん。朝食後、島に展開している他のバーダーに電話で様子を尋ねてみましたが結果は同じで大げさでなく途方に暮れるとはこのことでしょうか。仕方なくまたヤツガシラを見に行ってしばらく様子を見ていたら色々なパフォーマンスを見せてくれました。鳥が居ないので島の最高峰、宇部良岳の山頂に登って絶景を堪能することにします。頂上直下の駐車スペースに来てみるとすでに先着の車が3台も来ていました。この辺りは蝶の採集ポイントとしても知られているので蝶屋さんも多い所ですが山頂に登ってみるとそこにはSさん、Tさんなど何日も前から島に入っているベテランの鳥やさん達が。しばらく景色を見ながら雑談するのですが、つい嘆き節となってしまいます。こうなったら出会いの確率は低いですがカタグロトビを探すしかないとばかりに山腹の林道を流したり、ここと思わん場所で待機して見たりと行動自体全く冴えません。このままの状態が明日も続くとなると時間がもったいなすぎるので明日昼の便で1日半ほど早めに石垣に移動することに決めました。朝の情報では、今までは見ることが難しかった石垣のシロガシラトビもやや出が良くなっているとのことで、昼前に到着する鳥友グループと合流がてら空港で変更手続きをとることにしました。満席で変更は難しいと聞いていましたが、幸いわずかな空席があり明日の13時30分の便で石垣島への移動を決め、レンタカーの手配などを進めました。午後は今まで足を踏み入れていないポイントも含めて歩いてみたのですが結果は同じでした。仕方がないので以前から気になっていた世界最大の蛾「ヨナグニサン」の資料館であるアヤミハビル館を訪ね、ヨナグニサンの生態などを勉強させてもらいました。館長さんが色々丁寧に説明してくれましたが、鳥についても知識をお持ちで、やはり今年の鳥の少なさは今までにないことだとのことでした。という訳で今日は早めに宿に引き取り時間に余裕をもってシャワーを浴び、部屋でゆっくりしてしまいました。夕食は今日合流した6人グループも一緒です。彼らもさしたる成果もなく1日目を終えたようで、久しぶりにお会いしたこともあり、夕食後も話が弾んでずっと食堂を占拠してしまいました。

4月19日(土)   狙い: 石垣島に移動して、出来たらシロガシラトビを見たい
 天気:晴れ

昨日の早朝、宇部良岳の山裾でズグロヤイロチョウの声を確認したとの情報がありましたが、再度早朝に確認に行ってみるとのことで朝まだ暗い5時半前に現地に行ってみました。我々を含めて10名以上のバーダーが集まり、声を頼りに探したものの結局は確認出来ず、その後はまた思い思いに散って行きました。我々は一旦朝食の為宿に戻り、荷物を纏めて午前中のみの探鳥に出発です。出発時間が迫った11時前、空港に程近い山裾で翼のフラッシュが目立つ大きくゆったりと羽ばたく猛禽を見ることが出来ました。オオノスリです。暫らくまた飛ぶのを期待して待っている間、サシバ、チョウゲンボウと立て続けに飛んでくれ与那国最後のわずかな時間を楽しませてくれました。その後予定通りの時間に石垣行に搭乗、ベテランのSプロも同じ飛行機で石垣に移動です。石垣に14時過ぎに到着すると空港からレンタカーですぐさまシロガシラトビのポイントに直行しました。空港から20Km以上離れた島の最北部の放牧場のようで、国道からダートの悪路に入ると車の下部をぶつけないようにコースを選びながらの慎重な運転です。途中放牧場の境目にあるゲートが2カ所。牛が隣の牧場に紛れ込まないように作られた鉄製の扉を開け、車を通してからまた閉めるという作業をしながらの長い悪路で本当に疲れてしまいました。しかしその途中で道が小さな流れを横切るような場所で思いがけずオオクイナを見ることができました。比較的ゆっくり車の前を横断しましまたが、身動きが取れない狭い悪路のことで撮影などは出来ませんでした。空港を出発してからおよそ1時間、ようやくポイントに到着しましたがそこには前日石垣に移動したU氏もおられ、地元のNさんや知り合いの方も残っておられました。今日は午前中から繰り返し姿を見せたそうで今まででも最高の出だったそうです。この何日か現地入りしていたMプロは我々が到着前に満足してポイントを離れたとのことでした。遅くに到着した我々とSプロ、の二人に加えU氏、T氏の5人がこの日最後の登場を期待して待つことになりました。そして待つこと約40分、16時40分過ぎについに登場してくれました。午後の半逆光で、決して良い条件ではありませんでしたが、山の稜線付近を繰り返し帆翔、時々木の枝についている虫などを捉えて飛びながら食べているように見えます。カラスにモビングされたりもして姿を見せてはまた稜線の向こうに姿を消すということを4回ほど繰り返しました。 翼を除いた頭部から上半身が真っ白でなんともかっこいい鳥です。 今夜の宿は娘の家、石垣市街の真ん中にあるのでここからだと1時間以上かかってしまいます。夕食を一緒にとることになっているので、まだ粘るというSプロを残して他の4人はポイントを離れることになりました。帰路は来た時とは違って北側から国道にでることにしました。悪路は同じですが悪路の距離は来た時の1/3程度です。国道に出てからはひたすら走りましたが、空港を過ぎて市街地が近づいてくると、車が多くなり時には渋滞するようになってきました。15年前に初めて石垣島に来た時と比べると車も大幅に増え、人口も多くなり、スーパーやコンビニなども考えられないくらい多くなって、地元の生活基盤は著しく改善されてきたようです。ということで娘とその旦那様、まだ1歳半の孫娘に迎えられて石垣島の第一日目は終了です。

4月20日(日)  狙い  取り敢えず地元の定番の鳥を見る   
天気:晴れ

この日からは鳥見一辺倒ではなく家族それぞれのスケジュールを尊重しての行動になりますが、基本的には朝食前の朝探。朝食後から午後2時頃までは孫の外出におつきあい。その後夕食までは鳥見ということになりました。今日の早朝は市街地から程近い平田原(ひらたばる)と呼ばれる水田地帯です。この季節に石垣を訪れたのは初めてのことで、稲の背丈がかなり伸びており鳥は見つけにくいのですが、それでもシロハラクイナ、ハンをはじめチュウサギ、アマサギなどが見られます。しかし前回12月や3月に訪れた時のようなツメナガセキレイ、ムネアカタヒバリ、ギンムクドリなどは全く見られません。新川河口でもアオアシシギが見られた程度であまりぱっとした朝探とはなりませんでした。朝食後は一家そろってリゾートホテルのプライベートビーチに水遊びに出かけました。白いサンゴのかけらが多い砂浜と波打ち際で水遊びをしている間、私はリゾートホテルの庭を偵察しました。目に着くのはオサハシブトガラスばかりでしたが、アカショウビンらしい声を聞いたような気がしてもういちど探してみると、居ました。リュウキュウアカショウビンが2羽。近づくと飛んでしまいそうで、今日のところは双眼鏡で観察するだけでした。ホテルのランチを楽しんだ後は一旦帰宅。前日からの疲れもあり午後は昼寝です。夕方宮良川の河口を偵察に行ってみました。聞いていたクロツラヘラサギは留守の様でしたがクロサギの白色型、少数のシギチが見られました。その周辺の住宅地を歩いているとき、なんと前方30m程の舗装道路上に黒いシルエットが現れました。間違いなくオオクイナ♂でした。こちらに気が付いてすぐ道路際の低木に飛びあがりその奥の草むらに姿を消してしまいましたが、このあたりでは夜間オオクイナの声がよく聞こえるとのことで、もしかしたらこの個体の行動パターンかも知れないと思いました。明日の同じ時刻に今度は待ち伏せしてみようと思いました。 この季節石垣島の山裾では八重山ホタルの競演が見られます。今夜は夕食後に揃ってホタルを見に行くことにしていました。島の最高峰というか沖縄県の最高峰でもある於茂登岳の登山道の入口付近の林道でその光の競演は繰り広げられました。19時半過ぎ、一つ、また一つと光りはじめ、まもなく周囲一帯が小さな光の点でいっぱいになりました。柔らかく点滅する内地の蛍と違い、小さなしかし黄色の鋭い光が点滅する感じで暫らく見ていると眼がチカチカとしてきます。暫らくヤエヤマボタルを楽しんだのち殆ど車の通らない広い道路を帰宅の途につきました。今日の鳥見は偵察程度でした。

4月21日(月)曇り、22日(火)曇り雨後(雨のち晴れ)  狙いはリュウキュウアカショウビン
この両日早朝と午後の探鳥でした。 21日の午前中バンナ公園に遊びに行きました。私は娘の紹介でバンナ公園の昆虫館の館長さんを訪ねます。氏は少年の時からの蝶ファンで現役時代も蝶に取りつかれ、定年とともに建てた印西のマイホームを処分して石垣島に移住、氏の膨大な蝶のコレクションや知り合いから寄贈された甲虫その他の標本を沖縄県に寄贈し、その資料施設である昆虫館を館長(ボランティア)として管理しているのだそうです。家内、娘、孫が外で遊んでいる間、館長さんと色々な話をさせて頂き、話が尽きることはありませんでした。午後はリュウキュウアカショウビンをさがしましたが、声は聞こえるのですがなかなか姿を見せません。時期的にも渡来のごく初期でこれからが見やすくなるとのことでした。 山ではなく昨日姿を見たリゾートホテルの庭に行って安直に撮影することにしてリゾートホテルの庭に向かいました。今度は簡単に見つかり簡単に撮影することができました。ここには毎年決まって何個体かが滞在するとのことです。ホテルの庭で見られるほど地元では馴染のある鳥なのです。夕方昨日オオクイナが現れた場所に行き、約1時間半ほど待ちましたが姿を見せることはありませんでした。この日見られた鳥はレンカク、カンムリワシ、インドハッカ、アカショウビンなどでした。
翌22日は早朝平田原のタンボでムラサキサギ、ウズラシギ、ヒバリシギ、ジシギ(多分ハリオシギ)など。朝食後は観光施設の「やいま村」を訪れ八重山の古民家と芸能などを見学し、アンバル干潟に程近いパスタやさんでスパゲティーを食べました。凄い量で私も食べきれず持ち帰りをお願いしたほどです。
午後はバンナ公園内の深い森の中を辿る遊歩道を歩いてみました。今までに歩いたことのない道です。狙いはアカショウビンで、深い森の方が沢山見られると思ったのですが、結果は思いがけずリュウキュウコノハズクやアオバズクに出会うことが出来ました。その後ズグロミゾゴイ、クロツラヘラサギなどのポイントを回り、最後に再度オオクイナの待ち伏せに挑戦するも不作でした。 今回の石垣島最後の夜なので、夕食は近くの割烹居酒屋さんで一家揃ってのちょっと贅沢な食事でした。
4月23日(水)曇 
いよいよ午後の便で帰る、その日です。この日の早朝鳥見、特にはっきりした狙いはなかったので、またしてもオオクイナの場所に行って早朝の待ち伏せをすることにしました。まだ暗いうちに家を出てポイントに車を止めて1時間程待ちましたがまたしても空振り。朝食に戻る途中にズグロミゾゴイのポイントに寄ってみると、やはりいました。小さな芝生の広場の隅っこにぼーっとたっていました。朝食後身支度を整えて、4日間世話になった娘の家族に別れを告げて、最後の鳥見です。家内はこの4日間は孫につきあっていて鳥見をしてないので、レンカク、ズグロミゾゴイなどのポイントに行ってみました。幸い両方とも同じ場所に居てくれました。その道中カンムリワシなども見ることが出来ました。最後にもう1か所、2日目に行ってみたツルクイナのポイントに行ってみました。しかし、小さな川の両側が深い草で覆われている場所で、たまたま鳥が飛んでくれなければ踏み込んで追い出すことでもしなければ見ることは困難です。時間ももったいないので鳥見はこれで切り上げて最後の昼食をANAホテルのランチにすることにしました。最初に石垣島に来た時に話のタネにと一泊したデラックスホテルです。ランチを食べ終えて庭を散歩していると結婚式の記念写真を撮るカップルに出会いました。地元の伝統的な婚礼衣装、おそらく琉球王朝時代の士族の婚礼衣装なのでしょう。最後に素敵なカップルを見ることができました。15時20分発のLCC。ほぼ定刻の離陸でしたが羽田ではかなり上空での待機時間がありました。羽田空港ではオバマ大統領が到着したあとらしくまだなんとなく騒然としていました。そんな中最後のハプニングがおこります。なんと1週間前に車を置いた場所を完全に忘れてしまっていました。結局2階に止めてあったのですが、そこにたどりつく前に5、4、3階を全て探してしまい自動精算して出庫する時間枠をオーバーしてしまい150円の超過金を払う羽目になってしまいました。

見られた鳥の種数 : 
見られた鳥は与那国で44種類、石垣も含めて70種類 やはり与那国での少なさが響いています。石垣でもセキレイ、タヒバリ、ホオジロ、ムシクイ、ムクドリ類は全くと言ってよいほど見られなかったので、やはり時期的なこともあるのでしょう。与那国でも石垣でもサシバの姿を見掛けましたが、私が住んでいる千葉県では3月末にもなると毎年サシバのつがいが姿を見せます。石垣のサシバはどこに渡っていくのか、千葉のサシバはどこから渡って来るのか、しかも時期的には1か月近くもずれています。興味の尽きない渡りの実情です。

期待していて外した鳥 : 
時期が遅いので難しいとは思いましたがオオチドリは是非見たかった鳥でした。

思いがけず見られた鳥 : 
なんといってもシロガシラトビでした。 今後2度と見ることは出来ないでしょう。出会いの不思議さを実感させてくれた鳥でした。

フィールドノートに確認種のリストと画像の一部があります。

4月27日  Chusan記