「ガォ〜〜〜!」

ちょっとおどけた言い方。
両手をあげて赤ずきんちゃんを襲う狼の図を再現させた。

「ガォ〜ガォガォ〜ン!」

初めてだからって緊張するのは私には似合わない。
どうせなら、明るく、楽しくしたい。そのほうが私達らしいもの。

そりゃ、もちろん、静寂に支配されそうな部屋で、
厳かに儀式を行うように行為を進める自分達を想像した事だってある。







「祐巳・・・愛してる・・・」

リビングのソファーで祐巳の方に腕を回しながら、
それこそ耳の中に言葉を注ぎ込むような感じで囁く愛の言葉。
すでに窓の外は明かりを受け付けぬほどの漆黒の闇。
聞こえるのはそれこそ二人の呼吸と心臓の音ではないかと
思えるほどの静けさが漂っている。

そんな中で、私は祐巳の体温と肌の柔らかさをその手で感じている。
少し頬を紅色に染め、耳に受けた言葉と、吐息とに夢心地になりつつあるその姿を見て、
私もあと少しで山頂に辿り付く登山者の気持ちになっている・・・目的地まで上りきるってね。

軽く耳朶を舐めると、ピクッと動いた。
面白くて、同じ動作を少し場所を変えながらやってみたら、
ピクッ、ピクピク・・・と、素直な反応が返ってくる。
チロチロっと舌で耳のいたるところを突いたり、舐めたりすると、
今度は体が震えているのが振動で伝わってきた。

(感じてるんだ・・・)

喜びと、興奮とが入り混じってそれこそ軽いハイな状態になる自分。
中毒になりそうだと感じながら、祐巳の首筋にそって舌を這わせたり、
耳に軽く息を吹きかけた。

体の震えが大きくなる。
・・・といきなり祐巳の口からそれまでの静寂を破るだけの音が飛び出した。

「く、苦しいですよ〜、聖さま〜!!」

思いっきり大口を開けて、それまでの行為を耐えていたものを全て吐き出すかの笑い声。
お腹に両手を宛て、もう耐えられませんといった感じで涙まで出して笑っている。


「・・・ゆ、祐巳?」

こっちは思いっきりムードに浸りながら、行為にふけっていたのに、
祐巳、それはないんでないかい?

同じように口を開け、両手をだらんとさせて、それこそ放心状態に陥っている自分がいる。







・・・なんて間抜けだ、私。

私が勝手に想像しているんだから、私の思い通りに動いてくれればいいのに、
見事にその期待を裏切ってくれた想像の中の祐巳。
その時からかな。なんとなく初めての時は明るく、楽しくしたいなんて思ったのは。
と言うか、祐巳とはそれこそ子猫がじゃれあうような軽いスキンシップにしたいなんてね。
結論から言っちゃえば・・・私たちにシリアスは似合わないってね。


「へっへっへ・・・お嬢さん、とっても可愛いから、おいしく食べてあげましょう♪」

いきなりの豹変ぶりに始めはきょとんとしていた祐巳だけれど、
それはもう阿吽というか、ツーカーの仲。
肩に入っていた力を抜き、軽く息を吐き出すと、私のノリに合わせ始めてくれた。

「きゃ〜、狼さんやめてください。私はおいしくなんてありませんから」

ちょっと体をよじって狼に襲われる娘を迫真の演技で演じる祐巳。
よっ、この千両役者・・・じゃなくって・・・

「ふっ、ふっ、ふっ。おいしくないと言われてはいそうですかと言うと思っているのかい。
やっぱりしっかりと味見をしないとね〜」

そう言って顎に片手を添えるとそのまま唇を味わい始めた。






ちょっと独り言・・・
珍しく2日連続で更新しましたが、明日は更新なし。3日ほど家を空けるので。
んで、「独立している」と言う意味わかりました?思いっきりぶっ飛びそうだから。
まったく後先を考えずに思いつきで書いてますけど・・・自分もハイかも?
なんか、思いっきりの18禁レベルにこれからなると思いますけど・・・いいですよね?
(ちなみに某ゲームから思いついたんじゃないですよ、狼ネタは)

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