私と彼女はダイニングのテーブルに座わっている。
お互い、すでに服を身につけて。

お気に入りのウエッジウッドのティーカップに入った、
私の大好きなアッサムのミルクティーを飲みながら、
1時間ほど、私は彼女に話しをしていた。
話しを終えると、ティーカップにゆっくりと手を伸ばし、
すでに冷めたミルクティーを一気に飲み干した。


「・・・これが浜松のサンタの話です」

ちょっと照れ笑いをしながらお姉さまの返事を待つ。
「紘子、その人のこと・・・今はどう思っているの?」
意外にも、お姉さまはとても真面目に聞いてきた。
まだ・・・「妬く」という感情をもってくれているのだろうか・・・。

「今ですか?どうも思っていませんよ。同じ会社にいる同期。
それ以上でも、それ以下でもないです。もっとも、その後、
一度も話していないので、相手がどう思っているかはわかりませんが」
実際、今も同じ会社にいるのだけれど、店舗も、営業部も違うため、
会うという機会がまったくないのだ。・・・逆にそれが良かったとも思うが。

「もし・・・もしその人と、上手くいっていたら・・・」
ちょっと怯えた感じで、私に尋ねるお姉さまの姿を私は複雑な思いで見ながら、
「『もし』の話は止めましょうよ。現実として、私はその人と何もなかった。
ただ、『誰かを愛したい』その感情を自分がもっているということを
自覚したんです。その人との付き合いの中で」とはっきりと告げた。

私のきっぱりとした答えにホッとしたのか、笑顔を向ける。
「それじゃあ、その人に感謝しないといけないわね」
「なぜ?」
首を軽くかしげると、彼女は楽しそうに笑いながら、明るい声で、
「だって、紘子と私の出会うきっかけを作ってくれた、
一番初めのきっかけが彼だからよ」
今更、もうどうでもいいだろうにと思いながらも、
そう言ってくれる彼女がとても微笑ましく思えた。

「そうですね・・・」
「フッ」と鼻で笑うような笑いをすると、
私はティーカップを意味もなく見詰めていた。
その表情が寂しそうに見えたのか、彼女も少し目を細めると、
「紘子がHPを作り始めたきっかけ、もう一度話してよ。
・・・最後に、私と出会ったきっかけを・・・話して」
と涙声のような声でお願いをされた。

少し影があるような、彼女には似合わない笑顔が私の目に入った。
私は自分がしていることが間違っているのではないかと、一瞬、心が揺れた。
彼女の寂しそうな笑顔を・・・私はほとんど見たことがなかった。
付き合ってから、今まで、見たことがあるのは初めて会った日だけ・・・。
彼女はいつも明るい笑顔だけを私に見せてくれていた。どんなに私が落ち込んだり、
イラついたり、怒ったりしていても・・・彼女のその笑顔に抱かれるだけで、
私は落ち着いていた。・・・その笑顔を私はもう見ることが出来ない。
私は・・・心の支えを失う・・・のだろうか。

彼女は私が考えていることがわかったらしく、
立ち上がると、背中からそのまま抱きしめてくれた。
柔らかく・・・温かい・・・安心する・・・私だけの・・・場所。
私もそのまま、きついながらも、何とか彼女の背中に手を回す。
涙は出なかった。どうしても別れるべきだと・・・信じていたから。

「私がHPを作るきっかけになったのは、自分が同性しか愛せないかも知れないと、
自分自身で認めること・・・からでしたね・・・」
食事もせず、私は彼女と話しつづけた。出会うきっかけになった2次小説の話。

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面白いです。実は私は白×紅中心の白×祐、白×祥好きなのですが、
「再会」を読んで思わず「う〜ん、まったり♪」とほのぼのとしてしまいました。

本編(?)もとても楽しみです。

それと、18禁のことですが、私はかまわないと思っていますよ。

愛の無い「やるだけ小説」ならともかく、相思相愛の末の行動ならば

それもまた良し!と思っています。

シリウスさまはシリウスさまの話を好きに書いていけば良いと思います。

 

はっ!初対面(?)なのに偉そーな事言って申し訳ありませんっ(汗)

今からオリジナルの方を読んできます。

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小説に対する感想文・・・それが彼女からの初めてのメールだった。
たったこれだけのメールを読んだ瞬間に直感が働いたのだ。
「この人・・・なのかな?」と。どんなのかと聞かれても上手く答えられない。
本当に・・・心が震えたとしか。

その後、お礼のメールを出したが、そこには感想に対するお礼と、
できたら、この後もメールを欲しいという事のみを書き記して送った。
別にその後、しばらくはメールのやりとりはなかった。

・・・その後、二人とも引き寄せられるように同じ運命の歯車を動かし始めた。
ちょっとした理由から、3日間だけ限定の小説をHPに載せた。
そこに、「これでいいのか作者がわからないので、ご意見ください!」と書いた。
そうしたら・・・彼女が久しぶりにメールをくれたのだ。

覚えている・・・。初めてメールをもらったのが・・・8月の頭。
2度目のメールをもらったのが、その1ヶ月後の事。
そして・・・毎日メールを交わすようになったのが・・・その半月後。
交換日記のように毎日メールを交わすようになったきっかけは、些細なものだった。
彼女の方が年齢が上ということがわかり、半分冗談で「お姉さま」
と呼んでいいかとお願いしたこと。HPを離れたメールを書いてもいいかと
尋ねて承知してくれたこと。・・・それだけだった。

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いきなり謝っているのは、お約束の話を書けていないため。 
正直、「マリア様」話を書くときは、
気持ちが落ち着いていないと書けないんです。
つまり、今は書ける状態ではないわけでして…。 

これでも、毎日でもメールを送りたいぐらいの気持ちはあるんです。(迷惑?)

精神的に不安定…家や、仕事の問題ではなく、自分自身の問題です。

これをお姉さまにお話していいものか悩みますが、

どうも、恋愛対象がいない恋のようなものをしている感じでして。

話を書いて、ある意味頭の中で擬似恋愛をしているためか、

それとも…本当に恋愛をしたいのか。

 

「もうひとつ」の方に話を書き始めたのも、

その思いが強くなったからぶつけたいのかも。

 

「誰かに愛されたい。誰かを愛したい。」

人間なら当たり前のことですか?

 

―と、いきなり変な話から始めてしましたね。

戸惑っていまして、はい。(戸惑う年じゃ本当ならないんでしょうけど…)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
>お約束の話を書けていないため。
いや〜そんなに焦らなくてもいいっスよ〜(汗)
暇な時にでも書いたらいいんですよ♪

>毎日でもメールを送りたいぐらい〜
も〜全っ然迷惑なんかじゃないですよ〜♪嬉しい位ですわ♪
も〜何でも話していいですよ♪
それでシリウスさまの心や悩みや憂さが晴れるんなら、何でも来いってね♪
(ってホンマに晴れるんかいな?)

>「誰かに愛されたい。誰かを愛したい。」
>人間なら当たり前のことですか?
相手がいよーがいまいが人間は愛を求める生物だと思いますよ
そーゆー私も15年来の友人(元恋人現人妻)にもう終わったことと
思いながらもつい、心を求めてしまいますね・・・
それに、戸惑うのは心が前に進もうとしてるからだと思いますよ。
(諦めてたり、絶望してる人は戸惑うことすら無いと思うし)
大丈夫、年は関係ないですよ♪
愛を求めるから、人は自分を磨こうとしたり自分を振り返ったりして
より素晴らしい自分になろうとするんじゃないかな・・・と

それに、擬似恋愛でも戸惑いでも、自分の思いや考え、悩みは
どんなことであれ、全て自分の財産になると思いますよ♪

私は、悩むことの出来るシリウスさまはもっとイイ女になると思いますわ

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 ・・・全てがここから始まった。同時に私は自分の気持ちに戸惑っていた。
(私・・・初めて人を愛し始めているのか?)メールが来るたびに逸る気持ち。
それ程、内容的には長いものではないにしろ、お互いを素直に出しているメール。
まるで、いつもと同じような振る舞いを見せているように、何の忌憚もなく書かれている。
まだ知り合ったばかりの私へのメールでそれら出してくれる彼女に、
私は何時しか自分の気持ちを打ち明けたくなっていた。「好きです」と・・・。

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>「夢」の話がほぼそのまま自分が若かりし(?)日のことですよ。
>だから、あれは小説じゃないと。かなりフィクションをまぜましたけど。
>ただ、好きになった人の話しそのものは全部ホント。
さっき読み直してみたよ。まあ、此処からは単に私の考えだから
聞き流してね?

忘れられないことは忘れなくて良いし、ムリに忘れようとすると苦しい
だけだし、それが今の自分とこれからの出逢いを作っているんだったら
辛くても傷ごと受け止めて、その分、人には優しく出来て、そして死ぬ
ときに「でも又、出逢いたいな」って思えれば、まあいいか・・・
って気楽に考えるようにしてます。

まあ、今は割り切れたけど、この頃の自傷行為の傷痕(カッター痕)が
体に幾つも出来ている私が言っても説得力が無いんだけどね(笑)


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このメールを読んで・・・私の想いが確実なものとなった・・・。
その事を告げようと決心して想いを書いている間、私は震えていた。
怖かった・・・。生まれて初めての・・・自分からの告白だから。
(拒否されたらどうしよう)と、直接的に「好きです」とは書けなかった。

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思い切って言っちゃいますけど、この前悩んでたときあったじゃないですか?
あのとき、思いっきりお姉さまに抱かれている所想像してました。もちろん(?)、
18禁バージョン…。うーん、私って欲求不満だったのかな?
今はもう落ち着いてますけどね。

ついでに告白しますと、私、キスもしたことないんです。マジで。
(それでも話は書けるらしい…)
純潔を守りたいなんて気持ちは持ってなかったけど、同性異性含めてそこまで真面目
につきあった人がいないということの結果かな。

…私が嫌がってただけなんですけどね。人を愛する事なんて出来ないって考える人だから。
別にあせってないからもあるのかも。「自分は一生一人だ!!」と心で叫んでるし。
自分で言うのも変ですけど、暗いですよね、私。でも、普段は、明るいですよ。
バカばっかりするし。(そこらへんは、独り言でも書いてますよ)

お姉さまからメールをいただいたじゃないですか?
初めから、ちょっと気になってたんです。お姉さまのこと。
「どう」と言われると上手くいえないのですが、そうですね…
私という人物をわかってくれるかな…って予感。

だから、少し時間がたってからメールをいただいた時、
嬉しかったんですよ。…それからは、うーん、憧れの人?
で、恋しちゃった感じでしょうかね。…迷惑ですよね。こんなの。
メールを数回交わしただけでこんな気持ちを持っちゃうなんて。
でも、気持ちを持ったことは本当です。それだけは伝えたくて。

またまた長々と変なことを書いてますね、私。
でも、書かないと余計変になりそうで…。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

>思いっきりお姉さまに抱かれている所想像してました。
>で、恋しちゃった感じでしょうかね。…迷惑ですよね。こんなの。
>メールを数回交わしただけでこんな気持ちを持っちゃうなんて。
>でも、気持ちを持ったことは本当です。それだけは伝えたくて。
では、私もはっきり言いましょう・・・
迷惑なんかじゃないっ!嬉しかったよ・・・
私は、何か、こう、上手く言えないんだけど・・・それだけの告白(?)を
してくれたことにすっっごく嬉しさを感じてる・・・本当に・・・
そして紘子のことをもっと判りたいとも思ってる。
だから、思ったこと・・・感じたこと・・・怒りも悲しみも・・・わがままも・・・
全てをぶつけてくれていいよ・・・私は無力で何も出来ないけど、
受け止めることだけは出来るから・・・

だから、好きなときに好きなことを言ってね♪(何か照れくさいな(笑))

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そして、彼女はその気持ちに答えてくれた。
私は初めて恋人と呼べる人が出来たのだ。
相手が年上のそれも同性ということは、自分の中ではどうでも良かった。
心から好きになってしまった人が、たまたまそうだっただけなのだから。
・・・まるで小説や、ドラマの主人公に自分がなってしまったような気持ちだった。

メールを交わし始めた頃、直接二人が会えるのは年が明けて、
彼女が広島から、東京に引っ越してからと話していた。
・・・が、実際に初めて会えたのは、その年の11月のことだった。
たまたま彼女が上京する用事があったので、その日にあわせて私が連休を取り、
そしてお互いの存在を確認し、その日のうちに・・・愛し合った。


・・・・・・何時間という時間が過ぎていく。
それでも、初めてメールを交わしてから、今日という日を迎えるまでのことを
全て振り返るに十分の時間ではなかった。すでに時間は夕刻に近い。
私は明日、早番。彼女も明日から新しい仕事が入ることになっていた。

・・・もう・・・別れの時が来たのだ。

私達に湿っぽい別れは似合わないと思っていたが、
結果的に感傷に浸ってしまうような別れとなってしまった。
笑顔で・・・別れるなんて・・・無理・・・なのか・・・。

二人とも空になったティーカップにうつろな視線を向けながら、
ポツリポツリと過ごした時間を語り合った。
・・・本当は、こんな形で語り合いたくなかった。

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>それでもいいですけど・・・やっぱり、ベッドで横になりながら、
>「あんなこともあったね・・・」って語り合いたい・・・かな?
判ったわ♪じゃあ、いつかそうやってゆっくりと語ろうか♪

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「お姉さま、私・・・忘れない。お姉さまにもらった全てのものは・・・私にとって生きる糧だから」
静寂な時が訪れた為、私の方ががまんできなくなって、
別れを迎える為の言葉を投げかけ始めた。

「紘子、それは私も一緒よ。紘子のいない人生なんてもう考えられなかったもの」
カップから視線を上げると、彼女は私の方をじっと見詰めていた。
まるで、私の全てをその瞳の中に記録しておくかのように・・・。

「・・・・・・」
(私も・・・そうです。今だってそうです。お姉さまのいない人生なんて、考えられない)
私が再び下をむいてしまったので、どうやらその言葉で私が機嫌を損ねたと思ったのか、
「あっ、別れる時にこの言葉は相応しくなかったわね」と、
慌てて笑顔をつくると、言い訳がましく言葉を付け足した。

「私も・・・同じですよ、今だって。でも、私がもう我慢を出来ないんです。
お姉さまを愛している気持ち。それに・・・嘘も偽りもありません。
けど、世間体を気にしすぎる私には、その気持ちを持っていることが、
重荷になってしまうんです。そして・・・その重荷をお姉さまと
一緒に背負いたいと思ったこともあるけれど・・・」
「背負いきれない・・・そう思ったのね。・・・そうね、確かにそうかも知れない。
言葉でいくら奇麗事や理想論を言っても、現実の前にそれはもろくはかないもの。
それが・・・紘子の優しさだものね」

「優しさ・・・。違う、優しいんじゃない。自分勝手なだけ。
本当は二人で乗り越えていく勇気がないだけです。
それを優しさだなんて・・・」
「私は・・・現実をしっかりと見詰められる紘子が好き。
そのあなたが見る未来を、私は出来る限り優先させるわ。
たとえ・・・別れだとしても、私はしっかりと受け止められる。
それが・・・二人の為だから」
「お姉さま・・・」
「な〜に、その顔。紘子には笑顔が一番よ。お願い、見せて・・・」
お姉さまが・・・涙している。付き合って・・・初めて見た・・・涙。いつも、私が泣いていた。
優しく、背中や、頭を撫でてお姉さまが慰めてくれていた。

彼女の前では、私はいつも子供でいられた。
大人になることを拒否していた自分。
子供のままの心と精神とを持ち続けてしまった自分を、
彼女はそのまま受け入れてくれたから・・・。

「紘子・・・私が最後に・・・愛した人・・・」

「お姉さま・・・私が最初で・・・最後に愛した人・・・」

二人とも、きっと同じメールの文章を思い出していたに違いない。

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> まあ、確実に言えるのは「抱きたい」って思う人は、きっと紘子が最後
> ってことかな(照れ)
それはわからないですよ。人生まだ長いんだもん。(笑)
もちろん、今は私にもお姉さまだけですよ。他の人のこと考えられないもの。

>それはわからないですよ。人生まだ長いんだもん。(笑)
まあ、確かに人生まだ長いけどね(笑)
でも私、めったに恋愛感情に発展しないから、「その次」はホント〜に
いつになるのやら(笑)


> でも私、めったに恋愛感情に発展しないから、「その次」はホント〜に
> いつになるのやら(笑)
お互い、きっと「次」はないでしょうね。そう思いません?


>お互い、きっと「次」はないでしょうね。そう思いません?
そりゃ・・・そう思うよ。
紘子はきっと私の「最後の人」だ・・・ってね・・・(照れ)

> 紘子はきっと私の「最後の人」だ・・・ってね・・・(照れ)
そっか、そうなると、お姉さまは私の最初で最後なのね・・・。


>そっか、そうなると、お姉さまは私の最初で最後なのね・・・。
「最初で最後の人・・・」なんかドキドキする響きだね・・・
私も、私の今までの過去はきっと、紘子に出逢うためだったんだね。

> 「最初で最後の人・・・」なんかドキドキする響きだね・・・
「お姉さまは私が心から愛せた最初で最後の人・・・」あれ、なぜ過去形?
そっか、「最後の人」をつけると、過去になるのか。・・・過去にはさせない。
どんな形でもいい、続けてみせる。せっかくモノにできた(失礼!)人だもん!

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立ち上がると、正面を向き合い、強く・・・想いを込めて抱きしめた。
二人とも・・・わかっていた。これが最後の抱擁だと・・・。

私は彼女のお陰で自分の過去を未来の為に生かすことを出来るようになった。
そう思わせてくれた彼女と、未来を共に歩むことを望んでいないはずがない。
・・・が、周りの環境がそれを許さない。

そろそろ会社が私に責任のある立場へと着かせようとしている。
もちろん、それを捨て、今もっている全てを捨て、ゼロから彼女と生きることを
考えたことだってある。・・・が、何も持たない私が、今の生活と仕事を捨て、
果たして彼女と生活が出来るのかと考えると・・・どう考えても、答えは一つだった。

私には自信がなかった。彼女だけを愛して一生を終える自信なら・・・ある。
しかし、全てを捨て去った後の生活を頭に思い浮かべることが出来ない。
仕事・お金・立場・世間体・・・そして家族・・・それらを私は・・・捨てきれない。


抱きしめている間も・・・私は声に出すことなく、心の中で何度も呟いていた。

(お姉さま・・・私は・・・あなたしか愛せない・・・)

夢のような出会い。嘘のような告白。信じられないほどの愛。
それらは全て現実に起きた。そして・・・それは生きている限り・・・私の心の中にある。







パソコンの画面を食い入るようにして見詰め、一言も言わずに読み続けていた彼女が、
ようやく読み終えたらしく、手を頭の上で大きく伸びをしたので声を掛けた。

「どうです?まだ書き途中ですけど、どう思いますか?
私とお姉さまのメールのやりとりをモチーフにした話ですよ」
背中から抱きつくと、そのまま胸の前で手を交差した。
その手を彼女は握り締めると、力を少しこめて引っ張った。
頭が下がると、彼女は口を耳元にもってきた。

「手紙のやり取りしている二人と、実際の二人とのギャップがありすぎ・・・」
「しょうがないじゃないですか。本当は、手紙の方に多少手を加えようとも思いましたけど、
加えたくなかったし、実際の私達もそうだったじゃないですか・・・」
「そうだけど・・・読んでいる人は違和感を感じるかもしれないわよ。
それに、創作じゃなくて実体験だと思われるわよ、この書き方」
「・・・別にどう思われてもいいですよ。実際に私のことを知っている人はいないんだし。
それに・・・お姉さまと私との記録代わりなんですから。・・・ダメ?」

上目遣いで彼女の方を見詰めると、口を真一文字に結び、
目を閉じるくらいまで細めると、いつもの「困ったな」という表情を見せた。
「紘子がいいならいいけど・・・それより、これって、最後は『別れ』よね?」
ひそひそ話をするような小さな声で囁かれ、ついでに耳に息を吹きかけられた。
「・・・どうでしょうかね?読む人次第だと思いますけどね」
一瞬、身を「ぴくっ」とさせると、一度体を震わせ、手を彼女から
離すとまだくすぐったさが残る耳元へとやりながら、私は答えた。

そう、私自身は「別れ」とは思っていない。
まだ書いていないけれど、この二人は、どんなに離れていても、
お互いの存在を認め、それを糧に日々を過ごしてきていた。
だから・・・ある意味、この二人は「自由」になると思っている。
愛したことを後悔しない。むしろ、それを誇りに
未来を生きることが出来ると書いた私は信じているから。

「これが・・・紘子が望んでいるか、見ている未来なの?」
私は笑っていた。そんな笑顔に答えるように、彼女も笑っていた。
「私からは別れることはないわよ」

小説として書いたけれど、それは嘘偽りのない私がもっている気持ち。
将来に不安を実際に抱いている私の本当の気持ち。
上手く口で伝えられないから、文章の形を取っただけだった。

でも、私も彼女も知っている。
私達の未来が小説のようになるかは、全て自分達次第だということを。
そして、小説のようになったとしても、二人とも後悔などしないことを知っているから・・・。


あとがき

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