佐藤聖様は一人で歩いていた。

えっと・・・新しいカーテンも買ったし、お揃いのカップも買った。そうそう、バスタオルを買わないと・・・
私は慌てて今来た道を戻り、デパート内の生活用品売場、6Fを目指した。
一人エレベータに乗っていると、自然に笑みが浮かべてしまう。
私がこんなにもウキウキしてショッピングをしてるだなんて、蓉子や江利子が知ったらビックリするだろうな?

などと、考えている内にエレベータは6Fに着き、扉が開いた。
扉が開いた瞬間、目の前は人、人、人。
今日は日曜日。流石に混んでいた。


えっと、バス用品はどこかな?確か、あっちの方だったかな?
まあ、行ってみれば分かるか。
と言うことで、私は前に進んでいった。


あ、あった。バス用品。
可愛い小物まで揃っている。


私は目の前にあったアヒルの置物を手に取った。
ふぅん、これが噂のアヒルちゃんか・・・可愛いかも。
よし、これはキープしておき、目指すはタオル。
どんなものがいいかな?
やはり、あの子に似合うのは可愛い柄だろうな・・・


私はいくつか候補を選んだ。
うーん、このお花も可愛いし、動物も捨てがたい。
それとも・・・・このバスローブかな?
これを着て出てきたあの子、少し髪の毛は湿っていて、頬を上気させ・・・・うん、いい!
これもキープだね。

私はかごいっぱいに入れたものをレジに持っていった。
店員さんがバーコードを通している間中、私は幸せの気持ちいっぱいになっていた。


両手に持った紙袋。中にはこれからの生活用品が入っている。
これから幸せな日々が待っている。

マンションに帰る途中、一軒のお花屋さんが目に留まった。
私は引き寄せられるように、店内に入った。

そして、私を引き寄せた花を見つめた。

「ねえ、これくれる?」

私は店員さんにこの花を綺麗に包んでもらった。



福沢祐巳ちゃんは何かを悩んでいた。


う・・・ん、スリッパはお揃いがいいけど・・・・嫌がるかな?
ベットカバーも可愛いものにしたいし・・・
でもあの人はシックなものが似合いそう。

わたしは少し重くなったかごを見つめた。
中には食器類が数点入っていた。
あの人は私わたしの好きなもので良いと言ったから、ほとんど可愛い柄の物ばかり。
もっと、大人っぽい柄にすれば良かったかな?

わたしは再びキチン用品売場に戻った。
そこで、もう一度食器類を見ていた・・・あっ。
わたしは、少し離れたところにあったエプロンをみた。
・・・そうだよね、料理を作るんだから、エプロンも必要だよね。

わたしはいくつもかかっているエプロンを見た。
可愛いものがたくさんある、どれにしようかな?
このデニム生地なんて、あの人に似合いそう。
でも、あまりあの人はエプロンは付けないかな?
この花柄も可愛いな、あ、犬もいいなぁ・・・
う〜ん、これだけあると迷っちゃう・・・

わたしは一つのエプロンを手に取った。
これにしよう。
わたしはこのフリルが沢山ついているエプロンをかごに入れた。
これはなんだか・・・・新婚さんみたい。

わたしはお会計するためにレジに向かった。
店員さんがバーコードをスキャンしている間、わたしはずっと幸せ気分だった

学園生活、お姉さまと一緒にいるときも幸せだったけど、今の気分は違った幸せ。
幸せにはいくつも種類があることを、わたしは最近知ったような気がする。


わたしは買ったものを手に持ち、マンションに向かって歩いた。
これから始まる新生活に胸を弾ませながら。

途中、一軒の花屋さんが目に留まった。
わたしは引き寄せられるように店内に入っていった。

そして、わたしを引き寄せた花を見つめた。

「あの、これください」

わたしは店員さんにこの花を綺麗にラッピングしてもらった。





「ただいまー」
祐巳はマンションのある一室に入っていった。
「おかえりー」
なかから、聖の声がした。

「遅かったね。うわぁ、いっぱい買ってきたんだ」
「聖こそ、人のことは言えないじゃない?」
「はは、そうかな?少し買いすぎちゃったかも」
聖と祐巳が待ってきた袋は合計で4つ。
どれも中に沢山ものが入っていた。

二人はこの紙袋を見て、笑い合った。

「あれ?祐巳も買ってきたんだ」
「そういう聖も・・・・?」

聖と祐巳はお互い、あるものを見つけた。

聖は白い薔薇を。

祐巳は紅い薔薇を。

それぞれ一輪だけ綺麗に包装されていた。


「だって、聖は白薔薇さまだったもの」
「だって、祐巳は紅薔薇さまだったしね」

祐巳は白薔薇を、聖は紅薔薇を手に持ち、軽く口付けた。
そしてお互い、薔薇を交換した。

『これから、よろしくね』




二人の新生活。
玄関にある一輪挿しには紅と白の薔薇が二本、挿さっていた。



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