「祐巳、いいわね…」
「……」
「怖いの?」
こくんと素直にうなづく祐巳。
思わずそのかわいらしい頭に手を伸ばして
「いい子いい子」をしてしまう。
「そうよね、初めてだものね…」
その言葉を聞いて頬を紅色に染める祐巳。
その姿を見せられて、相手はそのまま祐巳を胸に抱きしめた。
まともに目の前にいる人物の方に顔を向けられない。
緊張と、恥かしさ、不安、怖さに戸惑うと同時に、
期待と、興奮も感じている自分。
(鼓動が早くなってる…)
大好きな人に抱きしめられているのだから当然だよね。
柔らかい…それに温かい。…安心するのはなぜかな?
…きっと相手の全てを感じられるから。
呼吸も・・体温も…相手の鼓動も…愛情も…全てを。
目を閉じる祐巳。
相手の全てを感じたい。
相手に全てを委ねたい。
そんな意思表示も含めて。
「祐巳…」
相手の人物はゆっくりとその顔を祐巳に近づけると、
眉間に軽く口づけをした。これからすることの開始を求めて。
祐巳もそれがなんのための行動かはわかっている。
だって、感じられるから。
どんどん早くなっている鼓動。
気のせいか、抱きしめられているその手が汗ばんでいるし。
自分を…求めてくれているんだね…聖。
セミダブルのベットに生まれたときの姿で横たわる二人。
もちろん、「寝る」ために二人はここにいる。
「欲しい…祐巳の全てを。…もらっていい?」
興奮しているからか、聖の声がかすれてる。
「…もちろんです」
すでに覚悟は出来ているのだから、こうして私はここにいる。
だって…私も欲しいから。目の前にいる人物の全てを。
愛したいし…愛されたい。身も、心も、全部。
背に回されている聖の片腕を自分の体の前にもってくる。
そして、その手をそのまま今もっとも求めている部分へとあてがった…。
続く???
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